インタビュー

新作ブランド品をプレオーダーでリーズナブルに「d. code」|(2/3)日本市場を選んだ韓国スタートアップ

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2022年10月、東京で行われた韓国最大のスタートアップ支援NPOであるStartup Alliance主催の「JAPAN BOOT CAMP 2022」に参加した韓国スタートアップから3社のインタビュー記事を公開いたします!

グローバル展開の地として日本市場を選んだ韓国スタートアップは、日本市場をどのように見ているのか、多種多様なスタートアップのインタビューをお楽しみに!

Startup Alliance(スタートアップアライアンス)とは?

Startup Allianceは、韓国のスタートアップエコシステム活性化し、スタートアップエコシステムにいる人々を繋げるために2014年に発足した民間非営利機関です。Startup Allianceは、創業家やエコシステムのメンバーを繋ぐネットワーキングプログラム、海外のエコシステムと交流ができるプラットフォームを提供するグローバル事業、バランスの取れたエコシステム情報を提供するためのリサーチ活動など、スタートアップエコシステムの好循環を作る多様な事業を行っています。

(Startup Allianceホームページstartupall.kr

JAPAN BOOT CAMP(ジャパンブートキャンプ)とは?

JAPAN BOOT CAMPは、韓国の有望なスタートアップを日本市場に紹介するグローバルアウトバウンドプログラムです。韓国のスタートアップはJAPAN BOOT CAMPを通じて日本市場を理解し、日本市場へ進出する機会を模索することができます。 また、日本のベンチャーキャピタル、アクセラレーター、大企業など、現地のビジネスネットワーク構築のためのサポートをしています。これまでJAPAN BOOT CAMPに参加した韓国のスタートアップの中には、Hyperconnect、Watcha、ZIGZAG(現Kakao Style)、カンナムオンニなどがあります。


d.code(ディーコード)

海外デザイナーブランドの来季新作をプレオーダーすることでリーズナブルな価格でブランド品を販売するd.code。 学生時代からファッションに関心が高かった韓国本社の創業者であり代表のチョン・ジュニョンが、アメリカの大学に在学中、イタリアでブティックを運営する方と知り合い、同じ大学内の学生を対象に海外ブランドの商品を購入代行するようになったことが事業のきっかけ。2015年にd.codeを設立し、2018年からプレオーダーを通じて来季の新商品をリーズナブルな価格で販売するビジネスモデルを確立し事業を展開している。2021年末には物流ハブの機能を果たすドイツ支社、2022年3月には日本支社を設立し、日本事業を展開中。


ーd.codeはどのようなサービスを提供していますか?また、どのような強みと特徴がありますか?

海外のデザイナーブランドの商品をプレオーダー販売するプラットフォーム「d.code」を開発/運営しています。デパートで販売される商品を単にオンラインで販売するのではなく、まだ一般販売される前の来シーズンの新商品を予約販売するサービスです。

ブランド商品のプレオーダーは、実際に古くから存在していた方式です。ただし、一部のバイヤーのみが、パリ、ミラノ、ニューヨークなどのファッションウィークで初めて発表される来シーズンの新商品を、プレオーダーを通じて注文し、生産が完了するとデパートやセレクトショップなどに流通して一般消費者に販売されるというのが今までの一般的な流れです。d.codeは、これまで閉ざされていたプレオーダーの流通方式を一般顧客にも公開し、顧客がより速く、合理的な価格で購入できるという価値を提供するサービスです。 

プレオーダーは単に顧客に価値を提供するだけではありません。ファッション業界には、これまでもそうでしたが、今後最大の問題として在庫問題が存在しています。特に高級ブランドにとってブランドイメージは非常に重要であり、大量の在庫が残ったとしても、価格を大きく下げてブランド価格のイメージを損なうリスクを取るよりは、廃棄をするケースが多く見られます。

d.codeは、プレオーダーでこれらの在庫問題を解決できると信じています。商品の大量生産に入る前に、プレオーダーを通じて新商品を販売し、顧客の反応から実需を予測することで、過剰生産を抑えて不良在庫を減らすことにつなげます。

私たちd. codeは、プレオーダーを通じて持続可能な新しい消費形態が定着するように、今後もプレオーダーで購入できるブランドをさらに増やし、より多くの顧客がプレオーダーを利用することで合理的で、誰にとっても価値のある消費をリードしていきたいです。

 

ープレオーダーを始めるきっかけはなんでしょうか?

 プレオーダーは「どうすれば良い商品をよりリーズナブルな価格で顧客に対して『持続的に』提供できるだろうか?」という悩みの末に見つけた結論でした。

2015年の創業から2017年まで、さまざまな試行錯誤をし、海外輸入ブランドを安く販売するサイトとしてある程度名が知られるようになりました。会員数や売上もやはり右肩上がりの成長をしていました。ただ、このように成長する中で、多くの競合他社が生まれ、生き残るための価格競争はさらに激しくなり、販売すればするほど赤字が発生する状況まで追い込まれるようになりました。

このような状況を打開するためにさまざまな方法を模索している中、「顧客に来シーズンの商品を、現地の価格で誰よりも早く購入できる価値を提供できるなら、他社との差別化にもなり、無益な価格競争をせずに事業を持続させることができるのでは?と考え、同時に、迅速に受け取った注文データを活用して実需を予測していくと、過剰生産や在庫問題を解決するヒントになるのではないだろうか?という仮説を導き出すことになり、実験をしました。

当時、百貨店で1足当たり、5万円程で販売されていたBUTTEROというブランドのスニーカーを注文から配送まで3ヵ月かかるプレオーダーの販売方式で3万円で販売した結果、販売開始16時間で100足が完売しました。この実験を通じて、「良い商品に価格的なメリットがあれば、多少の待機時間があっても購入する人いる」と確信し、販売方式をプレオーダーに集中し事業を展開し始め、毎年200%以上の成長率を記録しています。



ーなぜ、安い価格で販売することができるのでしょうか?

日本や韓国などで販売される海外輸入ブランドの定価は、海外現地の定価より1.3~1.4倍程度高く設定されて販売されています。これは国内に輸入する過程で発生する物流費用と中間マージン、そこに店舗賃貸及び人件費などが含まれて必然的に形成された価格帯です。

一方、d. codeは海外現地で直接購入し、直接すべての物流を管理し、オフライン店舗なしで直接オンラインを通じて販売をするので、海外現地の定価で販売をしても収益を出すことができる仕組みとなっています。

これに加えて、プレオーダーの場合は追加的な割引を適用します。一般的に新商品が販売され始め、2〜3ヶ月後には残りの在庫を対象に、必ず20〜30%の最初のセールが行われるのが業界の一般的な慣例です。d. codeはプレオーダーで顧客により多くのメリットを提供すれば、それだけプレオーダーを通じて購入するユーザーが多くなり、これは結局ブランドの需要予測や生産/在庫管理の最適化につながるという発想で、シーズン初セールをあらかじめプレオーダーに適用する方式をとっているので、シーズン新商品でも割引価格で提供することが可能です。


-日本市場をどのように見みていますか?

日本は世界で3番目に大きいデザイナーブランド市場として、私たちにとって大きな可能性がある市場です。矢野経済研究所の発表(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3074)によると、2021年の日本市場の規模は2兆1,940億円で前年比13.8%増加し、日本訪問者の減少量を排除した場合、コロナ発生前の2019年時点とほぼ同じ水準に回復したと分析しています。 全世界8位程度の市場規模である韓国は現在、月の売上が3.5億円水準であり、私たちにとって日本は非常に大きな可能性を持つ市場です。

ただし、好みに関しては、ブランドの多様性やスタイル、トレンド、そしてお客様の商習慣などにおいて、私たちがこれまでに学習した韓国とは多くの異なる点があるので、できるだけ早く日本市場に合わせてブランド及び商品を選別し、日本のお客様に快適に安心して購入できる経験を強化していくことが、私たちが日本でどれだけ成長していけるかのカギになると判断しています。
 

-次の計画や目標は何ですか?

事業初年度だった2022年は、プレオーダーのビジネスモデルが日本のお客様にも通じるという仮説を検証できる意味のある一年でした。年間売上高においても、サービスローンチから8ヶ月で1億円を達成し、良いスタートを切りました。

2023年は昨年より取り扱いブランドを大幅に増加させ、顧客が好むブランドとスタイルをできるだけ早く把握し、これに基づいて販売戦略などを最適化し、2022年より3~4倍成長する目標を持っています。これに加え、日本の現地ブランドを韓国や海外に輸出する部分においても力を注ぐ予定です。





d.code(ディー・コード)

会社HPリンク:https://itsdcode.jp/

Instagram:https://www.instagram.com/d.code.official_jp/


画像提供:d.code


/media/KORIT編集部
記事を書いた人
KORIT編集部

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