インタビュー

アーティストへの投資環境を整備するプラットフォーム「YEATU」|EverTresasure -チョ・ヨンリンCEO

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EverTresasure -チョ・ヨンリンCEO

プロフィール

西江大学校経営学/英文学(複数)学士、• 西江大学校法学専門大学院修士(弁護士資格取得)。 中国にて、中国建設銀行の資金部外国為替ディーラーおよび資金運用、 ADVANCED MARKETS LLCにてDirector of Asian FX salesに従事、中国農業銀行の資金部にて外国為替ディーラー及び資金運用を経験。その後韓国にて8PERCENT戦略室長(機関投資)および弁護士として勤務後、メタバース関連企業であるギャラクシーコーポレーションのグローバル戦略本部本部長として従事。2023年、EverTresasureを立ち上げる。


EverTresasurehはどのような経緯で設立されましたか?

EverTreasureは、2023年4月4日に韓国で設立され、1年が経過したばかりの企業です。私はもともと中国農業銀行と中国建設銀行で外国為替ディーラーと資金部門の運用を担当していました。長年にわたり金融分野に携わっており、その後アメリカでも金融業界で経験を積みました。その後、韓国に戻ってきてからはロースクールに進学し、スタートアップの世界に足を踏み入れました。初めて参加したスタートアップは、フィンテック企業であり、そこでは戦略室長および投資本部長を務めました。その間、史上最高額の400億ウォンを誘致するなどの業績を上げました。その後、メタバースの会社に移り、韓国で急成長中のメタバーススタートアップでグローバル戦略本部長を務めました。

EverTreasureのプロダクトのアイデアは、私の周辺にアーティスト活動をする友人が多いことや、父がテレビ局に勤務していたことから浮かびました。しかし、私が知るアーティストたちは、ほぼ全員が大学を卒業しているにも関わらず、収入が少なく、アーティストとして活躍できずにいます。この課題を対処するため、自分自身の経験分野である銀行を基盤としたファイナンシャルソリューションの提供を考えていました。セキュリティトークンの法制化と合わせて、この問題に取り組む必要性を感じ、アイデアを練り上げてきました。

また、私自身も高校時代からバンド活動をしており、また現在ではドラマや映画の脚本家としても活動しており、アーティストの芸術を非常に尊重しています。私自身もアーティスト活動をする中でアーティストが生き残るための芸術のエコシステムを構築する必要性を感じ、このプラットフォームの立ち上げに至りました。


-提供するサービスについて教えてください。

EverTresasureが提供しているプロダクトは「フィンテック・プラットフォーム」です。このプラットフォームには2つの主要な機能があります。1つ目は、個人投資家や機関投資家がアーティストに直接投資をし、その収益をシェアできるように設計されたインベスト機能です。2つ目は、グローバルネットワーキングシステムです。

実はアーティストたちはみな孤立しており、お互いに交流する機会が乏しく、マーケティングやPRを行うことを得意としないケースも多くあります。また、従来から存在するギャラリーや、芸術系の協会などは独占的で不透明な市場で構成されており、アーティストが生き残ることが困難な構造になっていると考えます。

私たちは、投資機能とネットワーキングシステムの2つの機能を通じて、アーティスト同士がグローバルプロジェクトやコミュニティを形成し、直接的な収益を持続的に生み出せるようなネットワーキングマッチングを提供しています。

例えば、大学を卒業した後にアーティストが収益を得る方法について考えるとき、当社のプラットフォームに参加することで、他のアーティストやグローバルプロジェクトとのつながりを作り、ギャラリーや協会とも交流することができ、さらには直接投資も受けることができるということです。


-EverTresasureの強みや他のサービスとの差別点はありますか?

私たちのサービスの強みは、従来のアーティストへの投資の概念を一新していることです。これまでアーティストへの投資という概念自体が一般的ではなく、主にアーティストの所属事務所、絵画などの分野ではギャラリー、美術作家などが関与していました。しかし、EverTresasureでは、あらゆる分野のアーティストに対して投資が可能なシステムを提供しています。ミュージシャン、画家、DJ、俳優など、すべてのアーティストが対象です。

さらに当社のサービスはブロックチェーンベースで提供されるため、従来のようなトレッキングの難しさや作品管理に関する問題を解決します。アーティストは自身の作品をトレッキングし、コンテンツを正確に管理することが可能です。これにより、アーティストは作品に対する所有権とコントロールを強化することができます。

YouTubeで配信者が自分の収益を明確に確認できるように、アーティストが投資を受けた際、その収益を明確に確認できる透明性と利便性を提供しています。

また、個人投資家の視点から見ると、ほとんどの人が実際に絵を購入したり、映画やドラマに投資したり、アーティストに投資した経験がほとんどないはずです。これは、市場が一般に開かれていなかったためです。しかし、私たちのプラットフォームでは、この市場を一般の方にも開放し、個人投資家が簡単に参加できるようにすることで、個人の投資経験を可能にしています。


-今回ローンチするプラットフォームについて教えてください。

「YEATU(イェトゥ)」という名前のプラットフォームを立ち上げました。「YEATU」とは韓国語で芸術投資(예술 투자/yesul tuja)の略です。



会社名であるEverTresasureは「永遠の宝物」という意味を持ち、頭文字だけを取った「ET」は未知の生物という意味も含んでいます。このような会社名から、YEATUに登録しているアーティストのことをETonian(イートニオン)と呼んでいます。そして、今後メタバース上でETonianと投資家が出会うコミュニティを作るときは、そのコミュニティの名前を「ETopia(イートピア)」と名付ける予定です。ETonianがプラットフォーム上で自ら投資連携の申請や、ネットワーキング、投資を受けることができるプラットフォームを立ち上げました。


-芸術市場におけるペインポイントはどんなところでしょうか?

実は芸術はレストランやビル、広告制作など、さまざまな場面でアーティストの才能が活かされています。こうしたプロジェクトを進める方々や大企業は、新たアーティストを見つけ出したいと考えていますが、そのための時間やリソースが限られており、アーティストとのつながりを構築するための適切なプラットフォームも不足しています。

芸能事務所も同じで、例えば韓国大手の芸能事務所でも、BLACKPINKのような大スターだけでなく新たなアーティストを発掘し、新しいコンテンツを作らなければならないという課題があります。しかし、そのような才能を見つける場所が不足しており、アーティストがどこにいるのかわからないため、適切な才能を発見することが難しいのです。

私たちは、アーティストが一覧化されたプラットフォームを提供し、アーティストの発掘プロジェクトを支援し、直接投資も行います。これまでテレビ局やYouTubeがこの市場を独占してきましたが、今ではアフリカTVや他のプラットフォームでも、個人のインフルエンサーが成功している事例が増えていますよね。私たちも同様に、新たな才能の発掘や育成に貢献できる役割を果たせると考えています。


-日本市場をどのように捉えているのか、そして日本に進出しようと思った理由があれば教えてください。

日中韓を考えると、日本は芸術分野が韓国よりも非常に成熟していると感じました。韓国は1兆ウォンを超えたばかりの市場ですが、日本の市場ははるかに大きいです。また、初めて日本を訪れた際、アートギャラリーや国立近代美術館を訪れ、日本人の芸術への情熱は本当に素晴らしいと感じました。実は、日本の方々はかなり鑑賞眼が高く、芸術に対する関心も多いのです。

さらに、日本では古いギャラリーも多く存在しアートコラボレーションなどが数多く行われてきたにも関わらず、関連するスタートアップエコシステムや、プラットフォームなどが不足していると感じました。そのため、従来のやり方に縛られてしまっている状況だと思っています。なので、グローバルなプラットフォームが整備され、日本のギャラリーが世界市場に進出するための足がかりが提供されることで、新たな展開が期待することができると思います。

現在美術の市場は、アメリカ市場が全世界の50%を占めていますが、日本や韓国にもすばらしい作家が多く存在し、成長の可能性が高いと考えています。そのため、内需市場に留まらず、グローバル市場へ進出していくことが重要です。特に、日韓交流を促進し、日韓交流プログラムやアートレジデンシープログラム、共同コンテンツによる収益モデルの構築を目指しています。

しかし、日韓のアーティストたちは、お互いの国の芸術文化についてよく理解していないため、アーティスト同士のアプローチが難しい場合もあります。こういった部分をEverTresasureが連携することができれば、日韓共同のドラマや映画、そしてコンテンツがさらに充実し、より良いものが生まれる可能性があると考えています。


ー日本進出においてどのようなことを重視しているのか教えてください。

昨年、日本で開催されたIVSに参加し、そこで大和証券と出会いました。大和証券はトークンベースで不動産投資ができるサービスを3年ほど運用しており、そのサービスユーザーの中には芸術分野に興味・関心を持つ方も多いとのことで、EverTresasureに関心を示していただきました。

証券会社のサービスにAPIを導入すると、トークン証券として取引されることになるということになります。つまり、投資家が参加すれば、その証券の価値がアーティストの価値によって変動する可能性があるということです。これは、スタートアップへの投資と同じ考え方です。

そして、日本進出において特に重視しているのは、言語的なローカライズです。日本では英語ではなく日本語での提供が必要だと感じています。

また、日本国内の数十のギャラリーを訪れましたが、皆様がプラットフォームを利用したいという興味を示してくださりました。これからは、日本と韓国の作家やギャラリーとのコラボレーションを含め、さまざまな関係を築いていきたいと考えています。そのためには、適切にローカライズを進めることや、PR活動の強化、銀行との連携を通じた普及を加速させることが必要だと感じています。


-最後に、今後の展望やビジョンについてお聞かせください。

昨年4月に韓国で法人を設立してからわずか8か月しか経っていない段階で、韓国の文化体育観光部や韓国観光公社中小企業ベンチャー部などからの支援を受ける選定を受けました。また、法人設立の前段階である予備的な創業段階でも、4社しか支援を受けられない制度の中で最高額の支援を受けた経験があります。昨年は、急速にチームメンバーを増やし、ネットワーキングも拡大しました。そして昨年の目標を達成し優秀なスタートアップとして表彰され、賞金も受賞しました。

次の目標は海外進出であり、日本、東南アジア、アメリカの3箇所における進出を同時に行っています。

特に日本では、ギャラリーやホテル、そして芸術系の協会などとパートナーシップを結んで、ビルやオープンスペースに日本や韓国の作家の作品をはじめ、ミュージシャンやダンサー、K-POPやK-ドラマに関するイベントを開催していくことを考えています。これにより、パートナーシップを結んだ人々が私たちのプラットフォームを継続的に利用するようになり、サブスクリプション利用をしていただくことで、さらに多くのプロジェクトが生まれ、収益を生み出せるようになることも今年の目標です。

そして、私たちの将来的な目標は、5年以内にナスダックに上場することです。そのためには、アメリカ市場への進出が重要ですが、アメリカ市場でも日本や韓国と同様にアーティストは常にプラットフォームの不足に悩んでいます。また、美術品やコンテンツへの投資はごく一部の富裕層にしか利用していないのが現状です。

私たちは世界共通の課題とも言える独占的で不透明な芸術市場を透明かつ美しく変革し、コンテンツをより多く提供し、芸術を通じて人々の生活と質を向上させていきたいと思っています。EverTresasureは、アートエコシステムに革新的なアプローチを取る企業であると覚えてほしいです。


EverTreasure


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/media/KORIT編集部
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