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デジタルウォレット時代の到来、身分証なしでも自分自身を証明できる世の中となる|株式会社ホぺ シム・ジェフンCEO

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株式会社ホぺ -シム・ジェフンCEO

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(Bachelor of Science - BS, Computer Science)を卒業。HopaeのCEOとして、ユーザーがブロックチェーンから信頼を得て個人的で敏感なデータを管理できるようにする脱中央化されたアイデンティティソリューションの開発と革新をリードしている。 様々なブロックチェーンを構築したLG CNSでブロックチェーン研究員として働いた経験があり、コンピュータサイエンスとブロックチェーンに強い経歴を持っている。


-Hopae(ホぺ)について教えてください

Hopae(ホぺ)は2022年に設立した、ブロックチェーン技術を含んだデジタル身元確認SaaSとAI基盤ログイン異常探知SaaSを提供するスタートアップです。

学生時代、アメリカで勉強をしていたため韓国と米国を行き来することが多かったのですが、毎回空港での出入国手続きや留学生としての身分証明に大きな不便さを感じていました。こういった不便さを感じる度、バスや電車に乗る時みたいにタッチ一回で海外を行き来し、自分自身の身元を証明することはできないのかと悩みました。そういった中、コンピュータ工学を勉強しながら、ブロックチェーンの技術を活用して科学的に、技術的に解決する方法があると感じました。

大学卒業後、LGに入社しブロックチェーンに関連した研究開発業務を担当しました。しかし大企業の意思決定システムは簡単には動かすことのできない大きな規模であったため、短い期間で新しいアイデアを実現するのは難しいと考え、起業を決心しました。

当時私と共同設立者はLG CNSの社内ベンチャーでブロックチェーン技術に関連したビジネスの準備中であり、顧客社と政府に技術力を認められ、コロナがちょうど蔓延してきた時期に韓国政府のワクチン接種証明書アプリ「COOV」を企画し、開発して運用する機会を得ました。ブロックチェーン基盤のワクチン接種証明プラットフォームである「COOV」は約3400万人のユーザーを保有し、その中でも2700万人が1日に2回以上レストランなどを訪れる時このアプリを使用しました。

コロナが一旦落ち着くと、自分のアイデアを具体化するために一番効果的な人は自分であると感じました。そのため、起業と本人確認の問題の解決に対する胸の中の熱は誰よりも強かったです。「一回のカードタッチで電車に乗れるように、他でも円滑に速戦即決できる世の中をつくる」プロジェクトが私の人生の使命だと感じました。その為、LG CNSで志を同じくしていたキムビョンジュ合同設立者と共に「COOV」の経験を基盤にHopae(ホぺ)を設立しました。Hopae(ホぺ)という会社の名前は、韓国で最も古い身分証から由来しています。

お金を稼ぐことが目的ではなく、より便利で円滑に物事を進められる世の中をつくりたいといった気持ちで私たちはビジネスを始めました。

私たちはアイデンティティ分野で新しい革命を起こすつもりです。Visaや Mastercardが全世界で楽な決済を可能にしたようにHopae(ホぺ)はパスポートや身分証など自分の身元をより簡単に証明できる環境を作りたいと思っております。
  

-サービスについて教えてください 

 Hopae(ホぺ)は、多様な種類の認証書を信頼があり、検証可能なデジタル方式で発行・保管・運営する革新的なシステムを提供していきます。このシステムが導入されれば、国家間の飛行機搭乗の際にも、紙のチケットや旅券なしで、まるで電車に乗るように簡単に認証できるようになるだろうと考えます。米国国土安全保障省(Department of Homeland Security)で、このための技術協力課題が出ており、この課題に私たちチームも申請しているところです。結果は今年の11月に発表されます。良いお知らせになることを期待しています。

この課題に選定されることになれば、私たちは国土安全保障省のみならず、多様なアメリカ政府機関と協力し、米国のデジタル永住権、ビザ、旅券等の技術とインフラを提供することになります。

韓国では携帯キャリア会社が提供する「Pass」等を含む多様な金融機関、プラットフォームがオンライン本人認証システムを提供しています。しかし、世界的には韓国やシンガポールなどの一部国家でのみこういったインフラが整備されており、米国やヨーロッパ、日本では今の時点ではこのように楽にデジタル化した本人確認の方法がない状況です。

 Hopae(ホペ)では、携帯電話等の個人デバイスに設置及び運営可能なブロックチェーンデジタルウォレット1つですべての身分証明が可能になるシステムを開発中です。このシステムは、私たちがこれから作っていくデジタル認証書だけではなく、外国で発行された認証書でも本人を証明することができる相互運営性を持つ予定です。そのため、簡単かつ楽に銀行業務や、行政業務もしくは出入国など多様な状況で必要な身分証明をペーパーレスにすることができるようになりました。

 なお、私たちは複雑なログインに対するシステムとモジュールなどを提供するSaaS Furo IAM(Identity and Access Management)とログインに対する悪意的、もしくは不法的な攻撃であったり、試行を探知する「異常ログイン探知SaaS Furo LADS(Login Anomaly Detection System)をサービスしています。異常ログイン探知は、例えば他の国家でGoogleのアカウントにログインしようとする時、「普段とは違うIPアドレスまたはデバイスでログインを試みました」等のアラームを発信するのと同じ概念と考えていただければと思います。個人情報保護がとても重要になった時代ですが、Googleのような主体的なログインセキュリティシステムを持っている会社は多くありません。

 悪意的なハッカーたちは、ID/PWを盗用して個人情報の流出だけではなく、様々な法的・金銭的被害を生じさせます。特に最近では他の脆弱なサービスで流出したID/PW データベースを活用して攻撃するクレデンシャルズスタッフィング(credential stuffing)等が多々発生しており主体的なセキュリティチームを持つことができない、大多数の企業の立場からするとこのような攻撃は大変脅威的なものであります。私たちがサービスしている Furo LADSはまさにこういった脅威に対応するセキュリティソリューションです。

 このサービスを導入すると無断の接近をブロックし、合法的なアクセスのみ許容します。問題が発生したら、ユーザーにメールを通して案内をし、外部からの正常ではない接近が感知された場合、ユーザーが顧客支援チームに連絡をして身分を証明できなければアカウントをブロックすることができます。こういった機能は特にスタートアップ企業に必要であり、私たちのサービスは主体的なセキュリティチームがない企業だとしてもユーザーがいつでも安心してログインできる環境を提供できるようサポートいたします。


 

-貴社のサービスの強みと特徴について教えてください。

また、ヨーロッパではデータ所有者が企業ではなく個人でなければならない制度が法律で定められ、その条項に従ってサービスを提供しなければなりません。 私たちは法律上、「自己主権の信認」を実現するためのサービスを提供しています。ドイツのBMWが政府と協力して「自己主権身元」モデルを導入しましたが、1万人が使用したことでサーバーがダウンするなどの問題が発生した事例があります。私たちがCOVサービスを韓国全域に提供した時、すでに3千万人が同時に使用できるシステムの実現に成功したことで認められた部分があります。 このような理由でBMWの要請があり、現在協力してプロジェクトを進めています。


私たちの強みは、デジタル認証書を構築する方法にあります。各認証書別に専用の紙を作らなければいけないと仮定してみましょう。私たちは簡単に言うと、パスポートの場合、パスポート専用用紙、身分証の場合、身分証専用用紙1枚を作る方式をとっています。その結果、各認証書を大容量かつ高速で処理することができる固有のシステムを構築することができました。

また、私たちが提供するサービスは3世代デジタルIDである「自己主権型アイデンティティ(SSI)」を採択しました。これまでは個人情報を登録する時、企業がその情報を管理し使用しましたが自己主権型アイデンティティでは、個人がデータを直接管理し、情報提供及び閲覧を直接統制することができます。よって個人情報・プライバシーを大変高い水準で保護することのできるデータモデルを実現しました。

また、ヨーロッパでは、データの所有者が企業ではなく個人でなければいけないといった制度が法律的に決められ、当該法に応じてサービスを提供しなければいけません。私たちは、法律上、「自己主権型アイデンティティ」を実現するためのサービスを提供します。

ドイツのBMWが政府と協力して、自己主権型アイデンティティモデルを導入したものの、10,000名が利用しながらサーバーがダウンする等の問題が発生した事例がありました。

私たちがCOOVサービスを韓国の全地域に提供した時、すでに3000万人が同時に使用することができるシステムの構築に成功したことから、認められている部分があります。こういった理由でBMWからの要請があり、現在協力してプロジェクトを進行しています。

私たちのプロダクトは大変軽く早く安全であり、簡単に利用できることをお伝えしたいです。


-日本市場をどう見ているか教えてください

他の先進国に比べ、日本はデジタルトランスフォーメーション(DX)が若干遅れていると感じます。私たちは日本市場に進出してからあまり時間が経っていませんが、日本は現在DXの過渡期にあると考えられます。この段階では、頑固な基盤を形成するデジタルインフラを構築することが必須になってきます。

デジタルインフラ構築で、最も大事なのは、まず初めに自分が自分であることを認証することです。こういった認証のプロセスが円滑でない場合、サービスの利用が難しくなり、オフラインの作業が必要になることがあります。私たちの目標は、オフラインからオンラインへの転換を円滑にすることです。

例えば、韓国には携帯さえあれば、深夜2時にも家から銀行口座を開設することができるシステムが存在します。これはまさにオンライン本人認証が可能だからです。こういったシステムは日本でも実現できると考えられます。特に日本政府は現在マイナンバーに集中していますが、個人情報保護の観点から、人々は今なおマイナンバーに不安感を感じています。

現在、ヨーロッパと米国では取り組んでいるデジタルIDプロジェクトはプライバシーを尊重するシステムを既に構築しており、他の誰にも個人の行動が監視・統制できないように設計されました。個人情報保護は基本です。

COOVでも似たようなアプローチを取りました。情報は選択的に公開され、特定の細部の情報は隠されます。食堂の場合、ワクチン接種証明の有無のみ公開され、空港ではワクチン接種証明書の詳細情報を提示します。すべてのシステムは必要な状況で必要な情報のみ、個人の選択に応じて公開するか否か、また公開する範囲を設定できるようになっています。

こういった技術を活用すれば、日本政府のマイナンバー普及にも寄与することができると考え、マイナンバーを中心としたデジタル本人確認システムを構築するのに先駆的な役割をすることもできると考えます。

なお、今年11月に米国の国土安保部の課題に選定され、協約を締結することになった場合、弊社は米国の身分証明書を自己主権型アイデンティティの方式にデジタル化することができ、この結果よって日本にもこういったグローバルに検証されたシステムに対する関心度が高くなることを期待しております。

 

-今後の展望及びビジョン

ヨーロッパを中心に2024年に制定され、2年の猶予期間をおいた後2026年に強制化されるEUデジタルID関連法案はグローバルデジタル本人確認の新しい時代を開きます。私たちも米国の国土安保部の課題及びBMWとの協力、それからOpen Wallet Foundationと W3C参加等を通して、この競争に飛び込んだ状態です。2026年になると、少なくとも米国とヨーロッパでは空港に行く時、電車に乗るように早く円滑に本人確認がされるはずです。韓国も直政府直属のデジタルプラットフォーム委員会で似たような取り組みを推進しております。日本もやはりこういった流れに遅れをとってはいけないと考えており、このために弊社ができることがあれば、力を尽くそうと思います。

また、これからは決済等の基本的な資産管理機能に対する連動も検討しており、これが実現すればウォレットに入っている身分証であったり、運転免許証、クレジットカード、現金などすべてのものを電子化して、物理的なウォレットを持ち歩かず、デジタルウォレットを作ることができると考えます。

デジタル認証書を含めた次世代デジタルウォレット市場は、ヨーロッパだけに限っても、2026年から年間400億ユーロ(日本円で約6兆3千億円)規模に到達すると予想されます。弊社はこの分野では業界最高の技術力とtrack recordを持っているチームであり、これからもグローバル市場とシステムを成長させることに寄与できる素晴らしい企業になれるように最善を尽くします。


HP: www.hopae.com

住所: 8C, 172 Yeoksam-ro, Gangnam-gu, Seoul, South Korea

/media/KORIT編集部
記事を書いた人
KORIT編集部

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