23年第1四半期のベンチャー投資は9,000億ウォン、前年同期比60%減＝韓国

韓国の中小ベンチャー企業部（省）が発表した「ベンチャー投資及びファンド組成動向」によると、2023年第1四半期のベンチャー投資額は前年同期比60.3%減の9,000億ウォン（約917億8,300万円）と集計された。昨年から続いている実体景気の鈍化、高金利による資金調達コストの増加、金融市場の不確実性の拡大と回収市場の低迷などの影響があったとみられる。

ただ、ベンチャー投資が前年比約70%ずつ異例に増加した2021~2022年以前と比較すると、2019年第1四半期比では13.2%、2020年第1四半期比では14.0%増加した。同期のグローバルベンチャー投資実績は、米国が55.1%、イスラエルが73.6%減少したが、米国の場合、「ChatGPT」（チャットジーピーティー）サービスを開発したオープンAI社に対する13兆ウォン（約1兆3,254億8,600万円）規模のメガディールなど、2件の超大型投資を除くと75.1%減少した。各国の金融当局の短期金利引き上げによる流動性の縮小と実体景気の減速の見通し、金融市場の不確実性の拡大などが複合的に作用したものと推定される。

最近5年間の第1四半期における被投資企業の業種別の投資状況は次の通り。

映像・公演・レコード業界だけが唯一、前年同期比で多くの資金を調達した。K-コンテンツ需要が持続的に増加し、当該業種に対する投資心理も堅調に推移しているようだ。

ICTサービス、流通・サービス、ゲーム、バイオ・医療などの業種は投資減少率が大きかった。新型コロナウイルスの防疫緩和以降、需要が減少して成長性が鈍化したり、短期的な財務成果がない企業が資金調達に苦慮したものと分析される。

最近5年間の第1四半期における被投資企業の業種別の投資状況は次の通り。

中期（社歴3年以上7年以下）企業への投資が最も減少した。その後の資金調達が難しく、回収市場も低迷している状況で、企業価値が低評価された初期企業（社歴3年以下）や、短期間での投資回収の可能性が高い後期企業（社歴7年以上）に比べて相対的に好感度が低かったと推定される。

2023年第1四半期のファンド組成は6,000億ウォン（約611億8,600万円）で、前年同期比78.6%減、2019年同期比13.8%減、2020年同期比12.2%増だった。

最近5年の第1四半期に結成されたベンチャーファンドに対するファンド・オブ・ファンズの出資比率の現況とファンド種類別の結成と比率の現況はそれぞれ次の通り。

高金利で資金調達の難しさが増し、投資資金を短期間で回収するのが難しい状況で、民間出資者がベンチャーファンドへの出資に保守的な姿勢を示し、非ファンド・オブ・ファンズと純粋民間ファンドの結成額が前年同期比で減少した。

ベンチャーファンドの出資者構成も、政策金融と民間部門ともに前年同期比で出資規模が減少したが、民間部門の減少幅が相対的に大きかった。

最近5年間の第1四半期に結成されたベンチャーファンドの出資者現況は以下の通りだ。

中小ベンチャー企業部のイ・ヨン長官は「高金利・高物価とグローバル金融機関のリスクなど複合的な危機によるベンチャー投資の萎縮が世界的にあらわれているが、今後も市場動向を引き続き注視する必要がある」とし、「政府は現状を打開するために様々な政策手段を併用する必要があると考えている」と述べた。

また、イ長官は「第1四半期の投資は大幅に減少したが、民間ベンチャーマザーファンドの結成や企業型ベンチャーキャピタル(CVC)の戦略的投資などにより、今後は民間資金がより円滑にベンチャー投資市場に流入することを期待している」とし、「ベンチャー・スタートアップの資金支援や競争力強化策など、関連するエコシステム全般を厚く支援するため、近く対策を発表する計画だ」と付け加えた。

原文：https://platum.kr/archives/205455