【tren:be】tren:beのパク・ギョンフンが来年第1四半期の黒字転換を予想する理由
【tren:be】tren:beのパク・ギョンフンが来年第1四半期の黒字転換を予想する理由
ファッションコマースは赤字の嵐です。特にブランド品をオンラインで売る市場は。
tren:be、BALAAN(バラーン)、MUSTIT(マストイット)などの代表的な3社は、下記の実績を昨年記録しました。特にtren:beの赤字が目立ちます。売上より赤字の方が大きいです。もちろんシリーズD投資350億ウォン(約36.2億円)を受け取りもしましたが。
/朝鮮ビジネス
ちょい事情通の記者のコンテンツではなく記事として、このようなコマースの赤字構造に関する記事を書いたことがあります。もちろんtren:beも取材しました。その時、tren:beのパク・ギョンフン代表が「直接説明したい」という意思を示してきました。
来年には黒字が可能で、すでに赤字は10分の1水準に大きく減ったそうです。それで、パク・ギョンフン代表にお会いしました。
高卒のゲーム開発者、オックスフォード コンピュータ専攻修士、iPhone発売直後にアプリスタートアップとして成功的なイグジットなど、パク代表には華麗な修飾語がありますが、それよりファッションコマースの未来について集中的に聞いてみました。果たしてこの血を流す競争の終わりはどこなのかについてです。
パク・ギョンフンtren:be代表/tren:be提供
「来年第1四半期15億ウォンの黒字予想、来年の年間実績はBEPを超える」
「まず数字から申し上げれば、昨年第4四半期の営業赤字は150億ウォン(約15.5億円)でした。今年第4四半期の予想は昨年の赤字の10分の1水準、15億ウォン(約1.5億円)の赤字と予想しています。来年第1四半期には15億ウォン(約1.5億円)の黒字が見られると予想しています。来年以降は、投資に頼らずにBEP(損益分岐点)「0」を維持しながら成長することが目標です」
-ブランド品プラットフォーム、ブランド品コマースは多くあります。tren:beはどのような事業をしていて、他とは何が違うのでしょうか。見分けられない人も多いです
「ビジネスモデルは2つです。1つは、私たちの中で「直(接)ソーシング」と呼ぶモデル。ヨーロッパのパートナーが直接tren:beに入店して物を売り、tren:beは手数料を受け取ります。バッグやアクセサリーなどが中心です。もう一つは並行輸入会社を入店させて売るモデル。主に衣類と靴をターゲットにしています。
tren:beは直ソーシングでは先導ランナーであり、並行収入では他よりも遅くスタートした後発ランナーです。
差別点は直ソーシングです。ヨーロッパのパートナー企業が直接商品を売っているため、並行輸入業者では見つけることができない製品があります。パートナー企業は150社以上になります。それが可能なのは、世界6カ国に法人があり、倉庫があるためです。事業を行っているのは、イギリス、日本、アメリカ、イタリア、フランス、ドイツです。
日本ではユニークなヴィンテージ製品、ドイツやフランスのデパート、イギリスのアウトレットなど様々なパートナー企業が韓国市場に進出したいと思っており、そのルートを直接持っているという点です。tren:beだけの競争力です」
- しかし、昨年1年の赤字は330億ウォン(約34.1億円)でした。競争力があってもマーケティングにお金をたくさん使わなければならなかった?
「tren:beはもともと貢献利益の高い会社でした。(貢献利益:貢献利益=売上高 – 変動費、売上から設備投資など固定費を除き、利益獲得に貢献した金額。コマース企業において、今現在の現金創出能力を見るのに主に使う指標) 2017, 2018年財務諸表を見ると変動費を除いた純粋貢献利益が10%水準でした。
マージン率も10%超えを遵守していました。しかし、成長のために割引クーポンを配り、広告を打ち、成長を第一として走る中で、2020年と2021年は赤字にならざるを得ませんでした。150億ウォン(約15.5億円)から15億ウォン(約1.5億円)に赤字を減らすことができたのは、変動費を大きく減らしたためです。テレビ広告を全面的に止め、配るクーポンの数を減らしました」
-赤字を埋める投資を確信していたようですね
「今年の第1四半期、3月まででも、新規投資が誘致できると信じていました。こんな困難が訪れるとは思っていなかったためです。ところが今年3月からスタートアップ投資への熱気が死んでいく中で、経営基調の修正に入りました」
-赤字を1年でこんなに減らせるものですか?
「顧客を1人生み出すためにかかるお金、それを計算する指標があります。CAC、Customer Acquisition Costの略で、「顧客確保費用」とも呼ばれます。2020~2021年は1人の顧客を作るために約8万ウォン(約8,000円)使っていました。テレビ広告をたくさんしているときは10万ウォン(約1万円)も使いました。
そうして、10万ウォン(約1万円)使い顧客1人を呼び寄せれば、1年で平均100万ウォン(約10万円)使ってくれます。マージンとCACを考えると、顧客あたり2年で170万ウォン(約17.5万円)以上使ってもらってこそ、会社が顧客1人に黒字とすることができます。
しかし、2年耐える暇なく、お金が無くなりました。そのため、このCAC、コストを下げなければなりません。事業初期にやっていたように。そのため、再びCACが2~3万ウォン(約2,000~3,000円)水準に下がってきました。そうして減らした費用のほど、赤字が減少しました」
「ブランド品コマースは嗜好品、より安いものを比較して買うのではない」
-取引額が下がり、売上が落ちる可能性がありますが
「私は自信がありました。いつもこの指標が頭の中にあったからです。CACを減らせば再びBEPを合わせることができる、という。相対的に、売上はそれに対して少なくならないと予想しました。実際、マーケティング費用は10分の1レベルに減らしましたが、取引額は10%程度しか減りませんでした。
再購入率を注視していました。月の取引額基準で、再購入率は50%以上になります。ある程度の顧客忠誠度が確保されているため、新規顧客誘致全体の数が減っても既存顧客の売上は十分に維持できるという計算がありました」
-50%以上の顧客がtren:beで物を買い続ける理由は。他のプラットフォームは「この時だ!」とクーポンを沢山配っていますが
「ブランド品は安いものではありません。100万ウォン(約10万円)、200万ウォン(約20万円)の製品もあります。必需品と考えることもできますが、やはり他のコマースとは異なり、ブランド品は嗜好品です。
価格を比較して少しでも安いところで買うというよりは、数万ウォン(約数万円)高くても配送が正確で、偽物ではない、本物であることが確実なところで買うことになります。
UX/UI、だから商品を買う際の技術的な点についてもtren:beは使いやすいと自負しています。150人の人員のうち50人ほどが開発者です。もう1つ、50%以上の商品は当社で直接梱包して出荷しています。海外ブランド品購入のペインポイントは配送が不正確で、非常に時間がかかるという点です。
世界最大のプラットフォームであるFarfetch(ファーフェッチ)も自社で直接パッケージングをして配送は行いません。イタリアのブランド品なのに、ブルガリア、ブラジルから来るケースもあるでしょう。当社は直接行います。
海外法人と物流センターがあるためです。これにより、配送期間の予測がほぼ正確になり、直接出荷製品の場合には無期限に出荷を待つようなことなく、正確に来ます。
偽者であるという懸念も低いです。相対的に、tren:beは商品の品種自体は少ないこともあるでしょう。価格を諦めてでも、私たちが直接訪問して本物かどうかをチェックし、信頼できるセラーのみが入店するようにしています。クオリティで管理をしているのです。会社自体が大変になりはしますが、顧客満足度は上がります。
正規品かどうかに関しては数ヶ月前にMUSINSA(ムシンサ)とKREAM(クリーム)のファッションプラットフォーム同士で大きく揉めたことがありました。
tren:beには鑑定センターが別にあり、30人ほどの人員がいます。近頃、加山(カサン)デジタル団地への移転を準備しています。専門的に正規品鑑定センターを作り、他の事業者も正規品かの鑑定を依頼できるように拡張、ビジネスへと拡げようと考えています。
そして、正規品/偽物かどうかを確認できるプログラム、ソリューションを開発中です。2年分の、すべての正規品/偽物のデータがあるため、これを学習させました。ルイ・ヴィトンを例にとると、ルイ・ヴィトンの正規品を確認するポイントは、約7~8種類になります。偽物に見られる特徴は限られているのです。
そのため、その部分の写真を集中的にAIに学習させることで、写真のみで判別が可能なソリューションになります。
このソリューションが導入されれば、鑑定センターの人員を大幅に増やさず、コスト管理を行いながらも、作業をより効率的に行うことができます」
-コマースは比較的他のセクターに比べて人材を必要とするビジネスです。拡大はすぐに人件費の増加につながります。
「オペレーション、運用の効率化のためのソフトウェアを引き続き導入します。在庫管理ソリューションも開発完了しています。ブランド品コマース企業の難しさの1つが在庫管理です。
様々な品種の製品を少ない量で売るとなると、倉庫在庫が不正確な場合が多いです。それを正確に把握し管理して倉庫管理人員を増やさなくても大量の注文を消化できるようにするのです。技術でコストを削減できるのです」
tren:be正規品鑑定センター/tren:be提供
コロナ終われば、オンラインブランド品市場は?
-コロナで海外旅行が減り、ブランド品の在庫が多くなることで、オンラインでブランド品が多く出回るようになったという分析があります。コロナが終わったらオンラインでのブランド品購入も大幅に減るのではないでしょうか
「免税店のニーズが大幅に減り、デパートに開店次第駆け込む客が現れるという中で、実際コロナでオフライン購入ユーザーがオンラインに移ってきたことにより利益を出したことは、否定しません。しかし、オフラインからオンラインになったユーザーは、引き続きオンラインでブランド品を購入するでしょう。2つは全く違う経験なのです。
価格的な利点、多様性などがあるためです。不便を取っても必ずオフラインで買うという方はずっとオフラインで買うでしょう。全く別の市場を見ているのです。しかし、オンラインブランド品購入市場は絶対に死なないでしょう。
経験の中身が重要なのです。そしてレビューや返品サービスなどが向上し、オンライン購入の利便性と信頼性も伸びています」
-競争会社が多いです。結局、コマースでは1人の最強者、その会社が独占して規模の経済を成し遂げるのではないでしょうか
「必需品ならそうです。だから、どこで買っても価格が重要なコマース領域ではバーティカル、垂直系列化が必要です。coupang(クーパン)のようにすべての事業を行い、規模の経済を作り、価格競争力を確保しなければなりません。
ファッション、そしてブランド品は嗜好品であるため、ブランドパワーが作用します。例えば、ブランド品の中にもカテゴリーが多いというようなことです。限定版の靴を買いたい、それであればKREAMのようなプラットフォームを最初に思い浮かべるでしょう。
MUSINSAに行くときは、韓国国内デザイナーの特定の価格帯商品を期待してアクセスします。同じファッションコマースですが、それぞれの領域とブランドパワーを持っているのです。tren:beも同様です。衣類や靴ではなく高価なブランド品があるプラットフォームというブランド認識が、オンラインでブランド品を購入する人の間で地位を固めています」
-新規事業でリーセル(高級中古取引)、利用者同士で高級品を取引するC2Cモデルを行っています。KREAMと競うのでしょうか?
「従来のC2Cリーセル市場はスニーカー、限定版スニーカーに限られていました。ブランド品をきちんと中古取引する市場はないと感じました。バッグ、貴金属、時計のようなものです。
当社がしている時計中古取引マッチングでは取引額だけで月10億(約1億円)程度が出ています。製品の状態、正規品であるかなども当社が確認してお知らせします」
tren:beがイギリスで始まった理由
-開発者出身です。コマースは競争も熾烈ですし、よりテックに近い創業も可能だったと思いますが
「コマースはお金を稼ぐことができないという認識が多くあります。これまでスタートアップ市場のコマース企業は、赤字になってもとりあえず取引額を増やす方法で成長したため、よりそうだと思います。それで傾く会社が多かったのです。しかし、独歩的なソーシング力、すでに進入障壁を持っている会社は投資氷河期以降生き残れば、成長の勢いが非常に大きいでしょう」
-資金調達が失敗した際、慌てなかったとお聞きしました
「辛い出来事であり、苦しくはありましたが、感情的なものと理性的なものは異なりました。日本でヨーロッパの商品を売ろうと2年間準備していたビジネスをすべて諦めました。そのため、悔しかったですし、それを準備していた人員の一部が会社を離れるという事もありました。準備してきた人々に「これ以上このビジネスはできない」と言うのも辛かったです。人員も、今以上の追加採用はせず、契約満了した契約職の社員たちは会社を去ったりもしました。200人ほどだったチームが150人ほどに減りました。こういう感情的なことを除けば、理性的にはチャンスだと判断していました。もうマーケティングで人を集める時代は終わったんだ、基本能力で評価される時代がやってきたんだな。むしろ嬉しかったと言うべきでしょう」
-tren:beの創業はイギリスで行われました
「高校を卒業し、浪人の準備をしていたんですが、特に大学に行く理由が分からなかったんです。知人の中にコンピュータに詳しい人がいたことから、プログラミングを始めて…。プログラムを作るのは面白く、才能があることがわかりました。それで大学に行かず、ゲーム会社に就職しました。2002年でした。netmarble(ネットマーブル)などの様々な会社で3年ほどゲーム開発をし、その後も高卒の開発者として、あちこちのソフトウェア会社に勤めていました。
それから勉強をしなくちゃいけないと思い、認定機関で試験を通して単位を取り、イギリス留学の入学願書を書きました。イギリスだった理由はアメリカより授業料が安かったためです。オックスフォードに願書を出したのですが、オックスフォードコンピュータ工学の修士課程に実務経験のある開発者を探していました。私が主にやっていた分野でした。ぴったりとマッチし入学することになりました。それで、イギリスにずっと居たため、創業もイギリスですることになりました」
-オックスフォードのコンピュータ専攻であれば、他の創業アイテムも多かったでしょうが、なぜブランド品コマースを?Farfetchを真似した?
「あれやそれやの創業に、CTOとして共同創業もしてみました。そのうちの1つが世界中のスポーツ競技のリアルタイムスコアを見せるサイトでした。なのですが、ブランド品の価格も同じロジックでコードを組むことができるように思いました。それで作ってみたのですが、海外ではブランド品の価格がとても安いのです。イギリスから持ち込めばマージンが30%は行くようでした。 「わぁ、これを使って創業すれば、すごく楽しそう!」 貯めていた3000万ウォン(約310万円)を全て使って創業したのですが、2年ほど経って月取引額25億ウォン(約2.6億円)を記録することになりました。投資を受けずとも、開発者10人を採用しました。それから韓国に行くことになり、投資も韓国で受けました」
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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