【東京スタートアップフォーラム】Spoonの売り上げの60%以上が日本から出ている?
【東京スタートアップフォーラム】Spoonの売り上げの60%以上が日本から出ている?
11日、東京の駐日韓国大使館で東京スタートアップフォーラムが初日を迎えました。東京スタートアップフォーラムは、「日本に支社を設立しなければならないが、広大な東京の中で、どこから始めればいいのか?」 このようなスタートアップの創業者やチームメンバーの行き詰まった疑問を解決し、悩みを一緒に解決しようという趣旨で始まったプロジェクトでした。今回のイベントは駐日韓国大使館と一緒に主催を担当し、Xenon Partners(ゼノンパートナーズ)、D・CAMP、STARTUP ALLIANCE(スタートアップアライアンス)の方々の協力を得て大使館で開催することができました。
合計33社の韓国スタートアップと日本の代表的なベンチャー投資会社(VC)Global Brain(グローバルブレイン)をはじめ、Z Venture Capital(Zベンチャーズ)-DG Daiwa Ventures(DGダイワベンチャーズ)-PKSHA Capital(パクシャキャピタル)などの日本のVC、Alois Ventures(アロイスベンチャーズ)-Shinhan FUTURE'S LAB(新韓フューチャーラボ)などの投資会社も東京スタートアップフォーラムを訪れました。 この日のイベントでは、Global Brain百合本安彦代表、個人ラジオ放送プラットフォームを運営するSpoonRadio(スプーンラジオ)のチェ・ヒョクジェ代表、日本のユニコーンであるTBMの山口大地最高戦略責任者が登壇しました。今日のレターでは、この日の講演の中で、日本で成功的に定着したチェ・ヒョクジェ代表のノウハウを紹介します。
東京スタートアップフォーラムの最初のイベントに参加したスタートアップは以下の通りです。いずれも日本進出を果たしたか、それだけ日本進出に本腰を入れている会社です。東京スタートアップフォーラムはまだこれからです。ちょい事情通の記者は東京スタートアップフォーラムがより堅実なフォーラムへと発展し、実際にスタートアップに役立つよう、力を尽くします。多くのご関心をお願いします。
▲Olive Union(オリーブユニオン)▲Karrot(タングンマーケット) ▲Techlabs(テックラボ) ▲The Founders(ザファウンダーズ )▲The Pinkfong Company(ザ・ピンクポンカンパニー)▲AgileSoDA(アジャイルソーダ) ▲Quad Miners(クアッドマイヤー )▲Mathpresso(マスプレッソ) ▲SpoonRadio(スプーンラジオ) ▲Healing Paper(ヒーリングペーパー) ▲Alicorn(アリコン ▲H2O Hospitality(H20ホスピタリティ) ▲Gaudio Lab(ガウディオラボ) ▲MOIN(モイン) ▲INBET(インヴェット) ▲ Urbanbase(アーバンベース) ▲Holix Factory(ホリックスファクトリー) ▲Treasure Hunter(トレジャーハンター) ▲Upstage(アップステージ) ▲KAFLIX(カフリックス) ▲Bespin Global(ベスピングローバル )▲BEARROBOTICS(ベアロボティクス)▲MEGAZONE CLOUD(メガゾンクラウド) ▲Allganize(オルガイズ)▲NRISE(エンライズ) ▲Metascalecorp(メタスケール) ▲SWEET BIO(スイートバイオ )▲MEDIQUITOUS(メディクォーターズ) ▲Travel Wallet (トラベルウォレット) ▲HOMES COMPANY(ホームズカンパニー)▲CLASS101(クラス101)▲Channel Talk(チャンネルトーク)▲bitsensing(ビットセンシング)
駐日韓国大使館の晩餐会場に集まった東京スタートアップフォーラム参加スタートアップと関係者 /駐日韓国大使館
チームメンバーの3分の1が外国人であるSpoon、FMラジオのデジタル化とグローバル進出
「今日は会社の自慢ではなく、サービス立ち上げ以降、紆余曲折を経験し、成長痛を経験している内容を共有しようと思います。まずは簡単な会社紹介から始めましょう。会社名はSpoonRadio(スプーンラジオ)で、現在約120名の社員で構成されています。そのうち3分の1は外国人です。本社はソウルに位置し、海外法人として日本とアメリカの2つの支社を運営しています。2018年に日本ローンチを準備する際にソフトバンク・アジアから投資を受け、2019年に米国ローンチを準備する際にSBI Investment(インベストメント)から投資を受けた例があります。そのため、韓国のスタートアップですが、韓国系、米国系、日本系の3つの資金を約680億ウォン(約69.8億円)ほど投資を受けて事業を展開しています。」
「サービスについてお話します。私もそうですし、この場にいる方のほとんどがSpoonのターゲットユーザーではないのでご存じないかもしれません。私たちのターゲットユーザーは10代後半から20代半ばの大学生で、日本のユーザーが実際にTwitterやSNS上で「お父さんやお母さんはFMラジオを聴いて、私たちの年代からはSpoonRadioを聴いている」と言っています。世代を分ける新しいラジオメディアとお考えください。アプリストアからアプリをインストールすれば、誰でも個人ラジオ放送を生放送ですぐに開けるサービスです。
このサービスは、既存のラジオ、FMラジオに代わることを目標に始まりました。テレビはYouTube、MP3などは音楽ストリーミングサービスに取って代わられましたが、既存の伝統的な周波数を合わせるFMラジオはまだデジタル化されていないという点で、このサービスを作ることになりました。」
「実際に放送をしたいが、顔出しは負担に思うユーザーが多かったのです。YouTubeや動画プラットフォームでラジオ放送を行うのが嫌な人にはポッドキャストを使うことを勧められますが、ポッドキャストは作業手順が約2週間ほどかかり、かなり面倒でした。そこで、アプリで簡単に放送できるサービスをサポートしようと始めました。」
「Spoonの最初のMVPモデルでは、録画してアップロードする機能一つだけをローンチして韓国でマーケットテストを行いました。2015年8月から2016年7月までの約1年間、54回のアップデートを経て現在の画面に発展しました。1年間のアップデートの成果によって韓国でオーディオ部門売上1位を達成しました。この頃から本格的に投資家に会い始め、オーディオ市場の限界について否定的な意見が出されました。会社もこれに賛同し、海外進出の目標を持つようになりました。」
「韓国市場を基準にテレビとラジオを比較すると、ラジオはテレビ市場に比べて5分の1程度の規模しかなく、どの国も似たようなレベルの市場規模を持っていました。別のベンチマークサービスであるSpotifyが当時約70兆ウォン(約7.2兆円)、SoundCloudが約10兆ウォン(約1.26兆円)の市場価値が認められていました。グローバルにサービスを展開して成功すれば、有意義な結果を出せると判断し、海外進出を決意しました。2017年にシリーズA投資を受けた後、インドネシアとベトナムに同時に進出を開始しました。」
東京スタートアップフォーラムで発表するSpoonRadioチェ・ヒョクジェ代表 /イム・ギョンオプ記者
「すべてのKPIのうち60%が日本で、重課金ユーザーが最も多い市場」
「この2カ国(インドネシアとベトナム)を選んだ理由は、ターゲットとするZ世代が多い国であり、社会主義国家とイスラム国家という構成が異なる環境で、製品を検証できる良いテスト制度だと考え、決めました。」インドネシアとベトナムのサービスを立ち上げたとき、会社全体のチームメンバーは20人程度でした。
現地の人材を一人ずつ採用し、ジャカルタとホーチミンからチーム長を採用しました。資金が不足していたため、韓国より現地で若くて優秀な人材を採用し、韓国に連れてくることがコスト削減に役立ちました。韓国とソウルの地位が上がっており、現地の若い人材にソウルでの3ヶ月間の実習期間を飛行機と宿泊施設を提供する、ということで、多くの人材が会社に応募し、良い人材を連れてくることができました。」
「現在Spoonは海外ローンチの準備をする際、現地で3~7年目くらいの事業開発担当者を採用し、ソウルに連れてきて韓国本社メンバーと一緒にローンチを準備する戦略を採用しています。すべての国と地域に共通して適用する戦略です。インドネシア、ベトナムローンチの際、周りのローンチされているスタートアップやB2C企業からはインドネシアとベトナムは止められていたんです。その理由は、GDPや購買力が韓国の10分の1、多くても20分の1しかなく、韓国より多くのユーザーを獲得しても、売上は20分の1に過ぎないためです。今現在、インドネシアとベトナムでは事業性がないため終了した状態であり、2018年初めに市場性のある国でのローンチを準備しながら、日本市場のドアを叩きました。」
「日本での成長は韓国より早く、資金調達も早く行うことができました。進出する国を拡大していきながら、内部で経験したことや試行錯誤を会社で「海外進出プレイブック」のように記録しています。現在100ページほど記録されています。実際にこのように積極的に海外に進出し、昨年の営業売上高は430億ウォン(約44.1億円)、営業利益は60億ウォン(約6.1億円)程を記録しました。会社によって状況は少し違いますが、SpoonRadioは昨年1月からすべてのKPIを営業利益に合わせ、すべての国別に利益を出せるか、出せないかを最優先基準にしています。マーケティングをはじめ、すべての業務の目標として営業利益を出すこと自体に重きをおいています。その中でも日本は最も頭角を表している市場です。特に日本に行っていなければ会社が傾いていたというほど、すべての指標の60%以上が日本で出ています。
Spoon日本サービスの様子 /SpoonRadio
Spoonの日本ローカライズQ&Aセッション
「人材採用?違法でなければ手段を選ばず"ファーストマン"を連れてくるべき」
「日本のスタートアップのアプリとばかり...そんな風に言われる時まで全て日本のチームメンバーに任せろ」
「日本進出に関するよくある質問をまとめ、お答えします。」
Q.日本進出、どのタイミングで進めるべきでしょうか?
「私たちは韓国でPMF(Product Market Fit)を見つけたらすぐに海外進出の準備をし、サービスのマーケットキャップが明らかに存在していたので、海外進出が必要な状況でした。続けて6カ国で立ち上げましたが、うまくいった国、特に日本を振り返ってみると、韓国本社の立場からすると「小さく、軽く、そして無資金」で運営した日本が一番良い成果を出しています。
Q.日本ローカルオペレーションの秘訣は?
「日本は世界で唯一声優のファンダムがある国です。「声」に熱狂的な国であるため、有利な点があると思って入りました。しかし、運営してみると韓国と違う点もあり、大変なこともありました。Spoonベースでサービスの信頼を得るのに3年ほどかかりました。例えば、法人を設立したのにPG決済会社が決済を開いてくれなかったんです。韓国よりも評判を大事にするビジネス文化があります。ソフトバンクの投資を受けることで、「私たちはゴーストカンパニーじゃない、日本で認知度の高い大企業が投資した会社だ」とお話したことで、ミーティングやパートナーシップが進み始めました。
Q.日本のユーザーの特殊性?
「独特な体験といえば、入会時に見る個人情報保護方針。そんなのほとんど読まないでしょう?日本のユーザーはそうした長文のテキストをすべてきちんと読むのです。」
「日本のコンテンツ消費の高い先進的な文化も体験することができました。例えば、DJが放送で音楽を流すと、放送終了後に自発的に音楽リストを提出します。これは日本で一般的な現象です。こうして集められたリストを使って、Spoonは四半期ごとに日本の著作権協会格の団体に著作権料を支払っています。」
「日本市場はユーザー獲得が難しい分、一度獲得したユーザーは長く財布を開くという市場の特殊性があります。社内では重課金ユーザーと呼ばれています。1万ウォン(約1000円)から5万ウォン(約5000円)程度を毎月使う重課金ユーザーの割合は、日本が一番高いです。」
Q.日本市場の採用は?
「Spoonはあらゆる国の海外進出において、チーム構成や採用、海外BD(事業開発)担当者を採用するためにあらゆる手段を尽くします。私はチームメンバーに「違法でなければ、あらゆる手段・方法を尽くせ」と言っています。特定の地域に一番最初に出かけるチームメンバーを私たちは「ファーストマン」と呼んでいます。この人材がその国への進出の成否を左右するのです。投資家に助けを求め、現地の人材を紹介してもらったり、優秀な大学のホームページや掲示板に求人情報を掲載したりします。また、韓国の語学学校や外国人ローカルコミュニティを通じて求人広告を出すこともあります。」
「日本のSpoonの場合、最も採用が難しい市場の一つです。会社で最も満足度が高いのは、既存の日本人社員の推薦による人材発掘です。また、ヘッドハンターやLinkedIn(リンクドイン)のビジネスプランを活用して人材を採用しています。チームメンバーを選んだら、日本でインターン期間を経た後、韓国で3ヶ月のインターン期間を共に過ごすようにしています。日本語はできませんが、日本人インターンの働く姿勢を確認するためです。」
Q.日本人が作ったような、製品ローカライズの秘訣は?
「日本ローンチ直後、kakao(カカオ)とLINEの役員の方とお会いする機会がありました。LINEの役員の方に聞いた話ですが、LINEの成功の秘訣は「現地の優秀な人材を採用し、徹底した日本でのローカライズが成功のポイントだった」とおっしゃっていました。その言葉を聞いてすぐに実行しました。例えば、ホームページの会社住所も全て削除しました。韓国と表示されていたでしょうから。ホームページのリニューアルは完全に日本人の方に任せました。アプリストアのイメージ、サービス紹介も日本語が得意な韓国人が書いたものではなく、日本の現地人が直接作った作品です。」
「そして、サービス開始から3ヶ月後にツイッターに投稿された文章です。日本のとあるスタートアップの代表が、日本の企業が本当に日本らしいアプリを作ったと書いていました。当然、日本人がこのサービスを作ったのだろうと思ったのでしょう。そんな消費者からのフィードバックを受けて初めて成長することができました。今でもユーザーと直接対面したり、オンライン上でも顧客との接点を務める方は「無条件に現地人が運営する」を原則としています。」
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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