企画記事

【ちょい事情通の記者が送るキュレーティングレター】

アイキャッチ
目次

ちょい事情通の記者が送るキュレーティングレター

 ちょい事情通の記者はスタートアップが世界を見る「窓」です。スタートアップを愛する第3者の目線から、とても忙しないスタートアップ業界を見逃さないよう記事を集めてお届けします。


1.ディープラーニングの父ヨシュア・ベンジオ教授インタビュー、彼の不安は

モントリオール大学のヨシュア・ベンジオ教授は、トロント大学のジェフリー・ヒントン教授、ニューヨーク大学のヤン・ルカン教授、スタンフォード大学のアンドリュー・ン教授と共に「AIの教祖」と言われています。2018年にコンピュータサイエンス界のノーベル賞と呼ばれるチューリング賞を受賞し、SAMSUNG(サムスン電子)とも着実に協力している教授です。恐ろしいスピードで発展するChatGPTを見ながら、AIの教祖たちは、あまりにも急速に発展するAIに対して懸念の声を上げたり、急進的な発展と導入を主張したりしています。代表的にヒントン教授は慎重派、ルカン教授は「AIのルネッサンス」を主張し、急進的な研究と導入を主張しています。

そんな中、韓国日報がベンジオ教授にインタビューを行いました。彼は、AIが悪意のある人の手に渡った場合、過度に強力なツールになることを不安に思っていました。インタビュー内容の一部です。短いインタビューですが、AIに慎重にアプローチすべきだという彼の主張にはかなり説得力がありました。

「例えば、AIを利用した選挙結果の操作などが考えられます。AIによるフェイクニュース、選挙操作は、過去に人間が組織的に行ってきたよりも大きな規模で、広範囲に行われる可能性が高いです。以前は高額で不可能だった個人に合わせた世論操作も可能です。AIがあなたの知人であるかのように見せかけてアプローチすることもできるのです」 


原文を見る:ディープラーニングの父の不安..「AIはあなただけに通じる「個人カスタマイズ」の偽ニュースも作れる」

モントリオール大学 ヨシュア・ベンジオ教授が2019年ソウルで開かれたSAMSUNG(サムスン電子)AIフォーラムに出席して講演している様子/SAMSUNG(サムスン電子)


2.ChatGPT、アプリマーケットにサービス拡大…万能AIになる

ChatGPT有料版を使っている2号は、随時増えていくGPTプラグインを使用する中で、感嘆を覚えています。よく使うプラグインはpdfリーダーとWeb Scraping(ウェブスクレイピング)、プレイリスト生成AIです。プレイリストプラグインは、Spotify(スポティファイ)と連動して希望の雰囲気と音楽を言えば、Spotifyアプリに一からプレイリストが生成されるというものです。

OpenAI サム・オルトマンCEOは最近、ロンドンの開発者会議で「アプリストア」を作る計画を明らかにしたといいます。外部企業とのコラボレーションで金融詐欺を摘発するAIから、専門的な市場情報を提供するAIのような企業向けB2Bアプリを例に挙げました。Apple(アップル)がAppStore(アップストア)を基盤に覇権を握ったように、様々なプラグインとアプリで拡張する計画のようです。すでにコラボレーションの意思を表明している企業も複数あるといいます。

プラグインで「korea」と検索すると、韓国関連のプラグインは4つ、まだ機能はあまり優れていません。しかし、アメリカ人には、かなり不思議な機能をいくつか提供しています。いくつかの機能を使ってみました。ニューヨークタイムズによると、先月13個のプラグインを開始したChatGPTは5月末基準でプラグインサービスが160個を突破したそうです。今はもっと速いスピードで拡大していることでしょう。

原文を見る:ChatGPT、アプリマーケットにサービス拡大…万能AIになる

イラスト=パク・サンフン記者


3.「息が詰まります」...「メンブレ」になったCEO達、どうすればいいのか

「最近、ある投資家と話をしました。スタートアップの代表の半数以上が不眠症やパニック障害を抱えているそうです。いつも何かに追われているようだ、と」

先日、ある創業者との会話です。スタートアップを取材する中で、創業者のメンタリティに敬意を表する一方で、彼らのメンタルヘルスが心配になりました。最近、Korea Startup Forum(コリアスタートアップフォーラム)、Asan Nanum Foundation(牙山ナヌム財団)、D・CAMP(ディーキャンプ)、STARTUP ALLIANCE(スタートアップアライアンス)の4機関が主管し、「創業者心の相談所」を発足しました。D・CAMPによる創業者の精神衛生実態報告書によると、不安感、憂鬱感、ストレス、さらには自殺衝動まで、創業者は一般人よりも80~90%高かったそうです。女性創業者のリスクは、6対4程で(女性の方が)高く、投資を多く受けた創業者ほどストレスが大きかったといいます。このような危機感から「何かしなければならない」という共通の思いが生まれ、スタートアップ団体が創業者のメンタルヘルスをケアする何かを考え始めたのです。

「創業者たちが他の人との会話の過程で傷つくこととして、「あなたの製品イマイチです。買えません。」という言葉が、まるで商品にではなく、自分に対する非難のように聞こえることがあるという。仕事と自分を切り離せないこと、「それはあなたの問題ではなく、製品の問題である」と境界を設ける必要がある(D・CAMP キム・ヨンドク センター長)」


今回の発足式で交わされた会話を韓国経済Geeks(ギークス)が生でお伝えします。

原文を見る : 「息が詰まります」...「メンブレ」になったCEO達、どうすればいいのか[Geeks]



4.ボルボもテスラNACS充電規格の採用を宣言 …「米標準化も時間の問題」

昨年12月、経済学者ポール・クルーグマンはニューヨークタイムズのコラムでテスラの株価を理解できないと毒舌を奮いました。内容はだいたい、このような感じです。テスラには「ネットワークの外部性」がないということです。

みんながAppleを使うからAppleを使い、MSを使うからMSを使うという風に。 (everyone uses their products because everyone else uses their products)。 MSについては、テック業界では結局すべての会社は「慣性的に」MS製品を使うようになる、と語りました。他の会社も使っているから、Word(ワード)、Excel(エクセル)を使わなければならないし、Windows(ウィンドウズ)を使わなければならないし...。クルーグマンはAppleの製品については、MSより「クール」だとしながら、経済的な観点からはメカニズムは同じだと見た。iPhone/iPad/MacBookのエコシステムに入ると、より大きな利便性を与えない限り、抜け出すことができないという話です。Amazon(アマゾン)をはじめ、他のテック企業も同じメカニズムで説明できるという。

 ここからテスラを攻撃します。彼の疑問は、「テスラがたくさん売れるからといって、スーパーチャージャーだけで電気自動車を充電できるのか?電気自動車はテスラでしか修理できないのか?」 です。つまり、多くの人がテスラを買っているからといって、より多くの人がテスラを買う理由はないということだ。彼は、テスラが売れた理由は「テスラがかっこよく見えたから」と断定する。そして、「マネーロンダリングの用途以外に効用を見いだせないビットコインと大差ない」とまで酷評した。

さて、ところでクルーグマンの前提が変わる兆しが見えてきました。テスラが電気自動車の充電の標準になる動きが見られることです。こうなると話が変わってきます。GM、Ford(フォード)、Rivian(リビアン)、Volvo(ボルボ)がテスラの充電規格を導入することになり、HYUNDAI(現代自動車)も検討中だといいます。

原文を見る:ボルボもテスラNACS充電規格の採用を宣言 …「米標準化も時間の問題」



5.ウクライナのハイテク戦争が始まった…「防衛テック」に注ぎ込まれる資金

最近、Sequoia Capital(セコイアキャピタル)がアメリカの防衛産業スタートアップである Mach Industries(マッハ・インダストリーズ)に570万ドルを投資したことが話題になりました。シリコンバレーを代表する、Sequoiaが防衛産業のスタートアップに投資するのは初めてでした。 Mach Industriesの創業者は、MITを中退した19歳のEthan Thornton 
(イーサン・ソントン)です。水素動力兵器を開発する計画だそうです。スタートアップのAnduril Industries(アンデュリル・インダストリーズ)も最近、Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)などのVCから15億ドルも資金を調達しました。

シリコンバレーが最近、防衛技術スタートアップに注目しているといいます。変化の起点はロシアのウクライナ侵攻。西側から補給された新兵器や技術を利用してロシアに適材適所で反撃するウクライナ軍の活躍を見て、防衛技術の可能性が再評価されているそうです。「邪悪にならない」というキャッチフレーズを掲げていたシリコンバレーも、防衛への投資に消極的でしたが、最近この分野への投資が大幅に増えました。Pitchbook(ピッチブック)によると、昨年のアメリカの防衛技術に対するVC投資は333億ドルで、3年前の2019年(160億ドル)の2倍の水準になったといいます。


原文を見る:ウクライナのハイテク戦争が始まった…「防衛テック」に注ぎ込まれる資金


6.危機のGoogle...EUも「デジタル広告を売りながら仲介まで?一つは売れ」

Googleのコア収益源である広告事業が揺らいでいます。ヨーロッパとアメリカの両方がGoogleに「広告事業の一部を売却しろ」と直接要求している状況です。EU委員会は「Googleがデジタル広告市場の競争を歪めることで、EUの独占禁止法に違反した」と明かした。そうして「Googleが一部(広告部門)サービスを強制的に売却してこそ、独占の懸念を解消することができるだろう」としました。もちろん、このような決定が最終的にGoogleに対する制裁につながったり、法律が設けられるわけではありません。しかし、EUとアメリカの動きは今後数年以内にGoogleに直接的な打撃を与える可能性があります。

Googleの広告事業部門はかなり複雑です。オンライン広告の買い手と売り手を仲介するプラットフォーム「AdX(アドエックスチェンジ)」を保有し、広告を仲介プラットフォームに載せる業者「DV360」、市場に出た広告をウェブサイトに掲載するプラットフォーム「DFP(DoubleClick for Publishers)」も運営しています。なぜEUとアメリカ政府はGoogleの広告事業を独占と解釈し、これを指摘したのでしょうか。難しい構造を中央日報が簡単に紐解いて説明しました。

原文を見る: 危機のGoogle...EUも「デジタル広告を売りながら仲介まで?一つは売れ」



7.「Toss(トス)」も「TADA(タダ)」を救えなかった...結局はリストラに、2つの決定打

TADAのリストラはすでに広く知られています。TADAがここまで来るまでの紆余曲折をまとめた記事です。2021年に公開されたドキュメンタリーの「TADA:韓国のスタートアップの肖像」は本当に良い副題だと思います。TADAの3回目のリストラはないことを願い、短く記します。

/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
記事を書いた人
ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)

朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。