5人に1人が早期退職…スタートアップの退職ラッシュを防ぐHRソリューション
5人に1人が早期退職…スタートアップの退職ラッシュを防ぐHRソリューション
[スタートアップストーリー]PULSENのバン・ソンユン代表
就職ポータルサイトのJOBKOREA(ジョブコリア)によると、昨年の小規模企業(50人未満)における新入社員の1年以内の早期退職率は17.1%だという。つまり、5人に1人が1年以内に退職するということだ。このうち56.4%が入社後3ヶ月以内に退社したことが分かった。人材不足に悩む小規模企業にとって、新入社員の早期退職ラッシュは大きなリスクだ。
早期退職の最も大きな原因は、HR(人材管理)システムの不備による給与・報酬体系の不明確さだ。連日続く徹夜にもかかわらず支払われない残業代、基準が定まっていない勘頼りの成果報酬は、新入社員の離職につながる。HRの専門人材が不足しているスタートアップでもよくある問題だ。
2018年7月に設立されたPULSEN(パルソン)は、HR SaaS(サービス型ソフトウェア)「weperson(ウィーパーソン)」でこの問題の解決に乗り出した。パン・ソンユン代表は、「企業の中枢メンバーとなったMZ世代は、画一的な従来の制度や不合理に対する抵抗がある。」とし「会社の制度・方法を押し付けるのではなく、社員中心の人事が必要だ。」と述べている。
労働契約から給与管理まで自動化
バン代表はSamsung Engineering(サムスンエンジニアリング){33,000 ウォン ▼450 -1.35%}の人事企画チームでの経験をスタートに、米国ペンシルベニア大学で組織開発の博士号を修了し、スペインのIEビジネススクールで研究員としての経験を積んだ。その後、韓国に戻り、HRコンサルティングファームのAon Hewitt(エーオンヒューイット)でHRコンサルティングディレクターとして活動した。
バン代表は、「HRコンサルタントとして活動しながら、HR統計・分析分野に大きな関心を持った。特に、組織診断事業を担当する中で、毎回、問題が発生した後に原因を把握する企業のアプローチに疑問を抱いた。そのため、常時診断を通じて問題を事前に予測・対応するソリューションを作るべきだと思った。」と述べた。
考えられた解決策は、△システム的管理、△自動化、△公正性・透明性などだ。これについてバン代表は、「社員が5人以上の企業も労働基準法の影響を受けるため、義務的に遵守しなければならない規定が多い。そのため、これをシステム的に整えることに注目した。」とし「小規模企業だからといって大企業に比べて人事業務が少ないわけではない。むしろ管理人員が少ないため、自動化による生産性と効率性の向上が重要だ。」と述べた。
wepersonは自動化のため、健康保険公団やHometax(国税庁HP)などの公共機関だけでなく、給与振込のために金融機関のAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)とも連動している。労働契約から給与情報、年次有給休暇の付与、残業手当など、様々な管理業務を自動化できる。例えば、新入社員が入社時、wepersonに労働契約の内容を入力すると、労働基準法に基づく年次有給休暇と手当が自動で表示されるようにした。
また、社員が企業の人事運営システムを直接見ることができるように公開した。バン代表は、「wepersonによって、社員は本人の人事情報や変更履歴などを直接確認し、要請・承認、勤務時間管理、教育の履修、目標設定・進行管理などを、会社と共有して管理することができるようになった。」と話した。
/写真提供=PULSEN
OKR中心の成果管理…モジュール化で海外進出もOK
PULSENのパン・ソンユン代表/写真=イ・ギボム
目標と成果指標(OKR)に特化した成果管理と評価・報酬プロセスもwepersonの特徴だ。OKRは、協業プロジェクトの進捗状況を定期的に追跡し、実行結果を測定するシステムだ。数量的目標、特に財務指標の達成に焦点を当てた従来の重要業績評価指標(KPI)とは異なる。
バン代表は「OKRで、企業が目標を立てて担当者を指定すれば、現在どのような業務を進めているかをお互いに把握し、常時フィードバックすることができる。」とし「成果評価も1年に1回ではなく、随時行うため、実際の業務に基づいた成果評価が可能だ。」と述べた。
wepersonは現在、無料版とベーシック版(1人当たり月額4,000ウォン{約440円})でベータテストを実施している。利用企業は700社以上で、そのうちの15%は有料で加入している。バン代表は「顧客数は着実に増えており、有料顧客の離脱率も1.4%と非常に低い。」とし「年内に成果評価と報酬シミュレーション機能まで搭載したスタンダードバージョン(1人当たり月額7,000ウォン{約770円})を正式にリリースする予定だ。」と述べた。
PULSENは業務提携にも積極的だ。今月初めに教保生命と、スタートアップ・中小企業の退職年金導入に関するMOU(了解覚書)を締結した。教保生命のオープンイノベーションプログラム「イノステージオン(ON)3」に選ばれたことがきっかけとなった。
バン代表は「小規模企業も退職年金を簡単に理解できるように教育プログラムを提供し、導入手続きを簡素化した。」とし「教保生命の顧客には、wepersonを一定期間無料で提供するプロモーションを行った。」と話した。
PULSENの次の目標は海外進出だ。このため、サービス開発初期から△人事管理、△教育、△成果など、様々なHR機能をモジュール化した。バン代表は「各国の労働基準法が異なるため、HR SaaSの海外進出は容易ではない。一から変えるにはかなりの時間がかかる。」とし「しかし、wepersonはそれぞれの機能がモジュール化されているので、労働基準法を適用しなければならない人事管理さえ現地化できれば、比較的海外進出は容易だ。」と述べた。
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<画像=PULSENのパン・ソンユン代表/写真=イ・ギボム>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2023082813390634326
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