【ちょい事情通の記者】 [そのとき投資]EXTRIBER、パッケージ旅行の偏見を打ち破る
[そのとき投資]EXTRIBER、パッケージ旅行の偏見を打ち破る
- KakaoVentures(カカオベンチャーズ)チャン・ウォンヨル首席
多くのスタートアップが新しい市場を創出しようとしている。新しいアイデアと発展した技術を組み合わせて、従来にない市場を作り出し、急速に成長するケースもよく見られる。VCなどの投資家の関心も高まり、投資につながることもある。逆に既存市場を革新しなければならない場合もある。この時、成長難易度自体が高くなる。既存の協力会社との関係も重要であり、多くの牽制も乗り越えなければならないからだ。資金調達の過程で偏見と戦わなければならないこともある。トラベルテック企業であるKakaoVenturesファミリー、EXTRIBER(エクストリバー)が代表的なチームだ。
EXTRIBERは、tripstore(トリップストア)を通じて、私たちがよく旅行会社を経由して行くパッケージ旅行市場を革新しようとするチームである。従来のパッケージ旅行はメリットも明確だが、デメリットも明確だった。細かいスケジュールを気にすることなく気軽に旅行に行くことができるが、自分の希望する条件の商品を見つけるのが難しかった。供給者中心の市場として形成されているため、需要者の立場では、旅行会社が提供する限られたデータだけで少なくても数十(約数万)、多くは数百万ウォン(数十万)払って旅行に行かなければならなかった。自分にピッタリの日程や宿泊などで進められれば満足度も高く、疲労感も少ないが、過度なショッピングスケジュール、予想より低い宿泊施設のグレードなどで二度と行かないというケースもしばしばあった。
EXTRIBERはtripstoreという製品を通じて旅行需要者の視点を忠実に反映した。tripstoreアプリを通じてパッケージ商品を一度に検索できるようにした。新しいUI/UXを通じて、割引を含む包括的な情報を提供し、迅速で簡単な予約と決済を可能にした。従来の旅行会社では体験できなかったナビゲーションと検索機能を提供しながら、旅行の最も重要な出発点の一つである「商品選択プロセス」を革新したのだ。この過程で、データ標準化という技術力を加え、韓国で唯一主要旅行会社の商品全体をAPIで連動させた。そのおかげで、tripstore内の様々なメタ検索が可能になった。わざわざ旅行商品を探すのに多くの時間を費やす必要がなくなった。MAU100万人突破をはじめ、高い成長率を維持できた秘訣である。
EXTRIBER キム・スグォン代表 /KakaoVentures提供
パッケージ旅行という偏見にぶつかる
会社の成長とは別に、EXTRIBERは2つの試練を乗り越えなければならなかった。第一は、誰も予想していなかったコロナだった。これはトラベルテック全体に該当する問題であり、今は全て過ぎ去った状況である。二つ目は、パッケージ旅行という偏見だ。実際、一時期トラベルテックを率いたスタートアップは、ほとんどが自由旅行関連の企業である。旅行経験が蓄積され続け、多様な情報に簡単に接することができる状況で、自由旅行の成長は当然のことであり、この過程で核心機能を基盤に成長するスタートアップを目にすることができた。そのため、ほとんどの投資家は「パッケージ旅行は古いんじゃないの?中高年層しか行かないんじゃないの?私が以前行ったときはとても良くなかったんですよ」など、パッケージ旅行に対する偏見を持たざるを得ない。
しかし、数字を見ると状況が変わる。コロナ以前である'19年度に820万人が旅行会社のパッケージ商品を利用するほど大きな市場である。また、旅行の出発前に発生する検索の過程の疲労感、言語や現地交通などの不安からパッケージ旅行をする人のことを考えると、自由旅行がパッケージ旅行の全てに代わることはできないのは自明であった。EXTRIBERはパッケージ旅行への信念があり、偏見を自社なりの対応で変化させたいと考えていた。コロナで旅行がオールストップになった状況で、危機をチャンスと考え、新たなアプローチを取ることにしたのだ。
KakaoVentures提供
自社のみのパッケージ旅行商品を制作...ユーザーのニーズを把握し、パーソナライズされたパッケージ商品へ
EXTRIBERは様々なデータを保有していた。最も多いパッケージ商品の構成性、ユーザーの購買パターン、旅行者の旅行構造を理解していた。これにより、各ユーザーごとに最適化された商品を製作することができた。代表的な例として、20,30代向けのパッケージ旅行、乳幼児を含む家族旅行、1週間~2週間の長期旅行商品などのニーズがあることを把握し、それをパッケージ旅行として制作しようとした。希望する旅行の詳細条件を入力してもらい、足りないデータはユーザーの行動データを抽出し、類似度を追加して新しい商品を生成した。これにより、それぞれのパーソナライズされた商品とスケジュールを自動生成した。これが既存市場にない商品を制作できる秘訣である。
他社ではなかなか出せない機能だ。通常、商品構成はできても制作はできないと言われる。EXTRIBERのように独自のデータも必要だが、コロナ期間中に蓄積した現地の観光会社、旅行会社との信頼関係が絶対に必要であるためだ。EXTRIBERはさらに、独自のユーザーデータを通じて人気商品を簡単に把握することができ、一括購入を通じてパッケージ旅行のもう一つの弱点である「出発保証」まで解決した。
スタートアップやVCを率いるのも結局人間であるため、自分の経験や更新されていないデータなどから偏見を持たざるを得ない。しかし、この過程で偏見を解消する最善の方法は、継続的な革新を通じて自社の成長を示すことである。新しい市場でも多くのユニコーンが登場するが、既存市場の偏見を打ち破り、ユニコーン、さらにはデカコーンとして登場したスタートアップも簡単に目にすることができる。既存市場を革新する多くのスタートアップにとって、EXTRIBERが一つの成功事例を示すことを期待している。
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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