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【2023年上半期】韓国スタートアップ資金調達動向まとめ

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この記事は、韓国のスタートアップメディア「startuprecipe(스타트업 레시피)」が発行する「月間スタートアップレシピ(월간 스타트업 레시피)」の情報をもとに、資金調達状況や動向を掲載し、企業情報を紹介しています。

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【2023年上半期】韓国スタートアップ資金調達動向まとめ

2023年上半期:韓国スタートアップ企業投資概要

投資市場は年初から凍結、上半期の調達資金の総額は2兆768億1,000万ウォン

2023年の投資市場は、2022年に始まった投資環境の悪化により、1月から急激な投資減少が見られた。1月のスタートアップへの資本流入は2,000億ウォン(約219億8,100万円)にとどまり、前年同月比 80%、12月比 60% 減となった。2020年1月と比較しても、投資資金の減少により、投資市場は年初から凍結し始めた。上半期に調達された資金の総額はわずか2兆768億1,000万ウォン(約2282億8,600万円)にとどまり、昨年下半期比 36%減、昨年上半期比 57% 減となった。世界経済は依然、活気を取り戻していないため、韓国内も上半期は低迷が続いた。

成長段階のスタートアップが打撃

有望なスタートアップでさえ、投資の悪化は避けられなかった。投資が円滑に進まず、リストラを通じて経費削減を図り、経営難から企業の売却に乗り出すところもあるなど、上半期は暗い話題が相次いだ。最も大きな打撃を受けたのは成長段階のスタートアップだ。

1,000億ウォン以上の資金を調達できたのは3社にとどまる

昨年上半期には、投資上位15社中、全てが1,000億ウォン(約109億9,000万円)以上の資金調達に成功したものの、今年上半期は1,000億ウォン以上の資金を調達したのは3社にとどまり、500億ウォン(約54億9,500万円)以上の調達金を確保したころも少なかった。企業価値が下がるにつれて、調達できる調達金も減少した。

生成型AIスタートアップが台頭 フィンテックサービスにも注目集まる

投資が集中した分野は特になかったが、投資家の関心がB2CプラットフォームからB2B対象のソリューションに移っていることが明白となった。また、生成型AIスタートアップは今年新たな投資先として急速に台頭している。コンテンツIPを主力とするメディア・コンテンツ企業、コンテンツ投資・取引、分割投資など、金融分野で新たに登場したフィンテックサービスも注目を浴びた。そのほか、環境・持続可能性をベースにしたESGスタートアップも相変わらず投資家の関心をひきつけた。一方、昨年、ビッグテック市場でブームを引き起こしたメタバースとWeb3はふるわなかった。

FADUとAPRの2社がユニコーンに

今年上半期にユニコーン企業となったのは、半導体ファブレス企業のFADU(ファドゥ)とビューティー企業のAPR(エイピーアール)の2社で、いずれも今年中に上場を控えている。

買収・合併は減少

投資の悪化により、以前まで活発だった買収や合併は、第2四半期以降減少している。これは、スタートアップが緊縮政策を採用していることに加え、大企業も買収を減らし、市場で様子見の姿勢をとっていることによるものとみられる。

低迷した雰囲気は下半期まで続くか

投資は引き続き悪化しているが、スタートアップが成長よりも収益獲得に集中し、黒字達成のニュースが聞かれることは明るい要素だ。しかし、景気回復のペースが鈍化するにつれて、低迷した雰囲気は下半期まで続くものとみられる。


2023年上半期:スタートアップ資金調達TOP15

資金調達額トップはBeyond Music

上半期に最大の調達額を記録したのは、音源IP投資会社のBeyond Music(ビヨンドミュージック)で、2,000億ウォン(約219億8,200万円)を調達した。コンテンツIPの価値が高まるにつれ、この分野に資金が集まっている。上場から撤退したKurly(カーリー)は2位で、1,200億ウォン(約131億9,300万円)を調達した。電気自動車の充電部門で首位のDAEYONG CHAEVI(テヨンチェビ)は1,100億ウォン(約120億9,200万円)を確保し3位だった。


/media/KORIT編集部
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KORIT編集部

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