【Lawfully】創業者アン・ジュンウク、年収2億ウォン、スタッフ10人のスタートアップ アメリカ移民4500万人のプラットフォームへ挑戦の夢
【Lawfully】創業者アン・ジュンウク、年収2億ウォン(約2200万円)、スタッフ10人のスタートアップ アメリカ移民4500万人のプラットフォームへ挑戦の夢
- Lawfully | アン・ジュンウク
韓国のスタートアップがアメリカ市場の一つのバーティカルを丸ごと、つまり独占的なレベルで掴むことができるでしょうか。実際には不可能でしょう。アメリカ市場はアメリカ人が一番よく理解しています。パク・セリの1998年のUSオープン優勝のような「意外な事態」が起こることはありません。ビジネスはスポーツよりもはるかに冷静で、原因・結果がはっきりしており、ビジネスチャンスの差別も当然のこと。
しかし、候補者はいて、Lawfully(ローフリー)もその一つです。ニューヨークに本社を置くLawfullyは、アメリカに来る世界中の人々のためのサービスです。現在130万人(累計)が利用しています。月間利用者は40万人程度。目標は、年間1000万人の移民準備者が利用するプラットフォーム。例えば、アメリカへの移民は、厄介な移民手続きを行う数年間、Lawfullyのサポートを得ます。
そしてアメリカに定住するわけですが、周りは知らないことだらけです。クレジットカードも必要だし、自国への送金もしなければならないし、仕事も探さなければならないし、さらには周辺のレストラン情報も必要です。Lawfullyは「誰がいつ、どのような滞在資格でアメリカに入ったか」を知っています。その入り口にいるのです。アメリカ移民というバーティカルを支配する位置としては、最適です。
もちろん「大変すぎる移民プロセス」というペインポイントの解消、まだLawfullyはその過程にありますが。しかし、成功に向けての長所が明らかに一つあります。アメリカ市場ですが、アメリカの創業者よりも、韓国人移民の方が市場をよりよく理解することができるということです。
ちょい事情通の記者たちが見たLawfullyのポイントは、実はスタッフの数でした。 2018年に創業したLawfullyは、「投資金が溢れる、良い時代」にも社員を増やしませんでした。現在10名。 2018年の創業時は3人、そして毎年1~2人ずつ増えています。
-[ちょい事情通の記者] 現在の組織はどのように構成されていますか?
「(Lawfully アン・ジュンウク代表)「10人です。私を除く5人が開発者です。もちろん、私は開発者とは言えませんが、データ分析をしています。機械学習エンジニアが一人、デザイナー、プロダクトマネージャーがいます。Lawfullyのコンテンツ側の担当者がいて、共同創業者は全体的に法律面を統括しています。データ分析は私と機械学習エンジニアが主に行います。分析された結果を開発して製品に移すのは、開発者が行います。」
-10人だと少なすぎませんか?マーケティング担当者は全くいませんね。
「もちろん少ないです。ただし、Lawfullyの10人は本当に少数精鋭です。Lawfullyはたくさん採用して、たくさん仕事をしようという主義ではありません。Lawfullyも30億ウォン(約3.3億円)ほどの投資を受けて、売上も250万ドル(約3.6億円)出ています。実のところ、10人というのはとても小さな規模です。しかし、多くの人を連れてきたからといって、仕事がうまくいくとは思っていません。Lawfullyはすごく人を選びます。その代わり、機械学習エンジニア、開発者にお金をたくさん払っています。給料は高いですが、本当に優秀な方でなければ採用しません。」
-年収はいくらですか?10人規模のスタートアップ社員の年収は?
「具体的には難しいですが、(エンジニアの方は)2億ウォン(約2200万円)以上です。ドルだと20万ドル(約2900万円)弱ですね。」
-損益分岐点はクリアしましたか?
「BEPを少し越えました。」
-規模が大きくなっても現在の理念通り?いつ100人を超えるのでしょうか?
「いえ、スタートアップがスケールアップする際、30人のとき、50人のときで、大きく変わりますよね。Lawfullyは100人にするつもりはありません。50人を超えることはないでしょう。なぜなら、Lawfullyの目指すプラットフォームは、人を投入して運営するようなものではないからです。すべてを最大限に自動化します。実際、開発者も100人は必要ないと思っています。」
-逆にお聞きします。年収15万~20万ドル(約2100万円~2900万円)なら、アメリカでもそれなりに優秀な開発者ではないでしょうか?なぜ彼らは韓国のスタートアップに来るのですか?
「涙と労力の結果です。今までインバウンドで入ってきた方は一人もいません。全てアウトバウンドでコンタクトしました。良い方を私の方から見つけて、こちらから声をかけて、お話ししています。今の状況だとダメであれば、もう一度連絡します。現在もそのような方が何人かいらっしゃいます。そのような方が、ある瞬間に状況が合い、また本人の考えが変わったような時にチームに参加します。時間がかなりかかるので、すぐに20人になることないでしょう。」
1.移民法は判例がない。弁護士の勘だけを信じる、誰もがイライラする「永住権」取得
-アメリカ移民のためのビジネスですよね?
「アメリカに住んで長くなります。ちょうど20年経ちました。私も移民ですし、アメリカに住む人にとって、常に身分問題はとても重要な問題です。アメリカだけでなく、実のところ、どこに行ってもそうですよね。自分の国に住んでいない限りはそうです。私もそのような過程を経験しました。周りに移民はたくさんいます。アメリカに住んでいると、身分問題に関する様々なエピソードや難しい問題をたくさん耳にします。ちなみに、共同創業者は妻です。移民弁護士ですが、それなりにアメリカで有名な弁護士です。私はデータを扱う電子工学を専攻しました」(※アン代表は1996年にKAIST(カイスト)を卒業後、1998年に東京工業大学、2003年にインペリアル・カレッジ・ロンドン(PhD-Physics)を卒業。ポスドクをワシントン大学マディソンキャンパス(University of Wisconsin-Madison)で行い、カリフォルニア大学サンディエゴキャンパス(UCSD)で上級研究員を経て、2008~2017年にオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)で責任研究員を務めた)
-電算物理ですか?調べてみると、オークリッジ国立研究所は2023年の世界スーパーコンピュータランキングで1位ですね。
「私は計算してコードを回して、その数字からインサイトを出すという仕事をずっとやっていました。Lawfullyの創業のきっかけは、博士号を取得し、ナショナルラボで働いていた2015年ですが、ナショナルラボで新しいアルゴリズムの開発や、新しい計算方法でより効率的にやろうというチームができ、メンバーとして参加しました。時間が経つにつれて、それがすごく応用範囲が広いということがわかりました。
単なる理論的、物理的、科学的な部分ではなく、非常に大きな応用範囲。移民出身の私が共同創業者と話しているうちに、「移民法」という分野ではこのような技術が適用されていないことを知りました。アメリカのアイデンティティ問題に関連する様々なデータを収集・分析して、何らかのインサイトを導き出すことができないだろうか、と考えるようになりました。」
-法律関連の起業なら、判例分析?
「共同創業者の助けを借りて、小さなデータセットに適用しながらサブで行っていました。良い結果が出ましたが、問題がありました。このようなデータをどうやって大規模にできるのか。(※移民法の独特な特性上、関連データを集めるのが難しいという意味)通常、法律関連では、分析をするとなると、結局判例をたくさん集めることになります。アメリカ、韓国も同様ですが、判例をたくさん集めて分析して導き出すという方式が主流です。移民法はそれができないんです。なぜなら、事件が終わったら、その事件に関連する様々な情報は、本人と担当弁護士のみが持つことになるのです。」
-移民に関しては判例というものはないのですか?こういう場合にはOKされ、こういう場合には断られたというような。
「法律というのは、一般的に法廷で判決が下され、記録が残りますよね。移民ケースは最初から裁判所に行くわけではありません。移民ケースは、移民法ではありますが、司法部ではなく、行政部所属の移民局が扱います。判決というよりは、承認の可否の決定です。結局、本人と弁護士しか知らないのです。どこにも記録が残りません。ただ、拒否され、本人が移民法廷に行けば、判例として記録に残るので、とても一部に過ぎません。本当に1%もありません。」
-移民を準備する人が感じるペインポイントは「もどかしさ」でしょうか?
「ほとんどのケースで情報を得るのが困難です。結局、入国管理局の具体的な承認と拒否の基準などの、トレンドがわからないんですよね。どのようにデータを集めるかという悩みを抱えていました。実際、人々が入国管理局に申請してから、とても時間がかかります。1~2年は普通で、数年かかることもあります。非移民ビザもかなり時間がかかることがあるんです。
長く待っている間にも展開はあるはずなのにと、みんなイライラします。どうなっているのか分からないので。Lawfullyはまず公開されている公共データを取り込み、このような方達の疑問を解消する分析結果を送り、アップデートします。利用者はそのような疑問を解決するためにLawfullyを利用するのですが、その過程で自然にこうした方々のケースが記録として残ります。人々が必要なサービスを提供しながら、またLawfullyが必要なデータを確保し、より有用なサービスを提供できる道です。それがLawfullyという考え方です。」
Lawfully アン・ジュンウク代表/Lawfully提供
2.データも知らずにただ「H1B」で就労移民申請?...実際の承認率は低い
-2018年に創業しましたが、データがなければサービスもなかったのではないでしょうか。
「サービス自体は2019年11月からスタートしましたが、最初はベータテストだったので、本格的なスタートは2020年です。創業当初は、ユーザーが役に立つと感じるデータを集めようと、ものすごくオンラインを回り、人々が共有している情報を集めていました。その作業に実は2年以上かかりました。最初に創業してから。今ではアメリカで移民に多く知られています。韓国の方ももちろんたくさんいらっしゃいますが、全体で見ると韓国の利用者は1~2%程度です。」
-ローンチ4年での成果は?
「総ユーザー数は130万人程です。現在MAU(Monthly Active Users)は約41万人です。特筆すべきはDAU(Daily Active Users)が高いことです。MAUの3分の1程度がDAUです。13万~14万程です。」
-移民申請してから、すごくイライラするんですね。ゲームでもないのに、毎日アクセスするなんて。
「そうです。Lawfullyが毎日更新する機能もあるし、コミュニティもあるので、たくさんアクセスされます。コミュニティでは、お互いに質問したり、答えて。利用者の50%程は毎日コミュニティに参加しています。Lawfullyも人々が頻繁に使う機能を開発し続けています。」
-Lawfullyはアメリカへの移民を準備する韓国人のためのサービスだと誤解していました。韓国人の利用者は少ないですね。
「1万人弱ですね。2%弱ですから。4000~8000人程。」
-収益モデルはどうなっていますか?
「Lawfullyの多くの機能は無料で提供しています。一部の細かなサービスは有料です。プレミアム機能は有料です。 95%程度は無料ユーザー、5%程度がお金を払っています。例えば、自分のケースの進行状況について、様々なディテールを無料で見せてくれています。ただ、本当に似たような条件の人たちだけを集めて比較分析した結果はプレミアムです。同じ条件、つまり、同じ入国管理局に同じ時期に申請し、本人の条件も似ていて、そういう人同士を比較して「あなたの進捗状況がどの程度に該当するか」を統計的に分析した資料を提供します。トップ10%、またはボトム10%というように。Lawfullyはアルゴリズムである程度以下に落ちると、当事者に「アラート」を入れます。アプリにプッシュ通知が行きます。人々は、自分が今、じっとしている場合ではなく、何か行動を起こさなければならないんだなと思うようになります。」
-利用料金はいくらですか?
「月15ドル(約2100円)です。 MAUが40万人ですから、そこから5%だけ出ても、売上面では悪くありません。」
-承認拒否の比率はどのくらいですか?Lawfullyのビジネスではそれが重要だと思いますが。
「ケースバイケースです。アメリカには入国管理局のオフィスがいくつかありますが、そこによっても違います。 細かいレベルでは担当の審査官によっても違うでしょうが、Lawfullyが審査官が誰なのかまではわからないものの、審査官が所属する移民センターの傾向などを知ることができます。」
-家族移民、就労移民それぞれの承認率はどのくらいでしょうか?
「一般的に見て、家族移民などはかなり承認率が高いです。家族移民は家族間の関係などによって決まるものですからね。 90~95%くらいです。就労移民は少し低いです。アメリカでの就労移民は、無条件にスポンサーとなる会社が必要です。その会社がどれだけ堅実な会社か、過去の実績はどうなのかが考慮されます。会社によって大きく異なるので、承認率は少し下がります。70~90%程度と考えてください。韓国人がよく知っているH1Bはすごく落ちます。70%前半から中盤程しかありません。H1Bは、少なくとも大学の学士号以上を持っていなければならないビザです。大学教育で習得した専門知識でできるような仕事だけが、今やビザが出るカテゴリーです。通常家族は高く、就労移民は低くなります。」
3.毎日2000万件の新規データ認識...弁護士の暗黙の了解を超えた進化
-Lawfullyを使うと承認率が高くなるのですか?お金を払っている人の期待は結局それじゃないですか?
-来年、新しい機能を出すんですよね?
-成功の可能性が高いビザの種類と申請する移民局センターを選んでくれるということですか?
-修士号取得者であればEB-2ビザを申請できますが、実際にはワンランク下のEB-3が有利かもしれないということですか?
-300万件のケース以外に追加の分析データはないのでしょうか?
Lawfullyのアメリカ創業チームの写真。右端がアン・ジュンウク創業者、その隣が共同創業者であるジュディ・チャン弁護士/Lawfully
4.米国永住権申請書提出市場の規模...130万件×1万ドル(約140万円)
-永住権申請を弁護士なしで本人ができるようにする機能ですよね?
-弁護士の反発はないでしょうか?弁護士の仕事を奪う、と。
-ユーザーの立場からすると、弁護士費用が減りますよね?
-結局、現在の月15ドル(約2100円)の商品よりも、より大きな市場を見ることになるのでは?申請書だけ代わりに書いてくれるのでも、すごく大きいですね。
-Lawfullyの現在の売上と今後の見通しは?
5.アメリカの移民は4500万人...「移民プラットフォーム」の誕生は可能か?
-夢はありますか?
-Lawfullyはただ、誰が今移民を許可されたのか、その人たちの情報を全部知っているんですね。他のサービスをしても、マーケティング費用はもっと安くなりますね。
-Lawfullyの最終目標は「すべてのアメリカ移民のプラットフォーム」ですね。アメリカの移民市場はどれほど大きいのでしょうか。
-訪問ビザ?韓国はビザなしなので、訪問ビザを取得してからかなり経ちますが?
-来年以降の資金調達計画は?
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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