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【ちょい事情通の記者】 東京スタートアップフォーラム第2回、Channel Talkのグローバル進出期 「Day1からグローバル」

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【ちょい事情通の記者】 東京スタートアップフォーラム第2回、Channel Talkのグローバル進出期 「Day1からグローバル」

東京スタートアップフォーラム|Channel Talk

22日、東京・麻布台ヒルズで「第2回東京スタートアップフォーラム」が開催されました。ちょい事情通の記者と東京スタートアップフォーラム実行委員会が共同主催し、日本の森ビルが協賛したこの日のイベントには、日韓のスタートアップとVC関係者約140人が参加しました。イベントが行われた麻布台ヒルズの33~34階のスペースからは、東京都心や東京タワー、お台場が一望できます。

今年のイベントには、Karrot(キャロット)、The pinkfong(ザ・ピンクポン)、SpoonRadio(スプーンラジオ)、Healing Paper(ヒーリングペーパー)、カンナムオンニ、KAFLIX(ケフリックス、済州パス)、MEGAZONE CLOUD(メガゾーンクラウド)、Channel Talk(チャンネルトーク)、Bespin Global(ベスピングローバル)、Rebellions(リベリオン)など35のスタートアップとLB Investment(LBインベストメント)、Stonebridge Ventures(ストーンブリッジベンチャーズ)、Premier Partners(プレミアパートナーズ)、SBI Investment(SBIインベストメント)、GS、Altos Ventures(アルトスベンチャーズ)など10のVCが参加しました。日本からはロッテホールディングスの玉塚元一代表をはじめ、SalesforceVentures(セールスフォースベンチャーズ)、オリコン、U-NEXT(ユーネクスト)ホールディングス、i-nest capital(アイネストキャピタル)が来ました。

今年のイベントのメインスピーカーは、Channel Talk(チャンネルトーク)のチェ・シウォン共同代表とDG Daiwa Ventures(DGダイワベンチャーズ)の中島淳一代表が務めました。特にチェ・シウォン代表は、日本に進出した韓国のスタートアップを代表する立場として、Channel Talkの率直な日本進出記の経験を約30分間共有しました。本日のレターは、Channel Talkのチェ・シウォン代表の日本進出記をお届けします。

今年2回目のイベントに参加してくれたスタートアップの起業家、関係者の方々、そしてスタートアップの日本進出を積極的に支援することになり、イベントに参加してくれた先輩起業家、VC、関係者の皆様、ありがとうございました。もっともっと準備して、来年の第3回はより充実したイベントでお待ちしております。

日本進出経験を共有するChannel Talkのチェ・シウォン代表。その背後に東京都内が一望できる 

/東京スタートアップフォーラム実行委員会

「売上の25%が海外で、日本が中心」

  • 「Channel Talkの創業者Redです。この場にいませんが、ジョシュと一緒に起業しました。14年間で何度も失敗しました足りないところも多いですが、この場で経験を共有できることを光栄に思います。」
  • 「私とジョシュのニックネームは、2人合わせてIQ100です。私はこの席にいる起業家の方々がとても羨ましいです。ほとんどの人は1人で1人分こなされていますが、Channel Talkは2人で1人分やっているためです。私は主に製品開発を、ジョシュはビジネス領域を担当しています。」
  • 「ChannelTalkの製品は、顧客とビジネス過程でコミュニケーションの問題に耳を傾けていなかった会社とチームがサイトに気軽にチャットをつけて、顧客がいつでも企業と対話できるようにするソリューションを提供しています。製品の案内、電話機能などもリリースし、世界中の16万人のお客様に選んでいただきました。日本でも多くのお客様にご利用いただいています。」
  • 「Channel Talkの最大の誇りは、海外ビジネスをするにしても、どのようなビジネスをするにしても、『製品が良いことが一番重要』という原則を持ち、製品中心でビジネスをしていることです。そして、ありがたいことに、(海外)売り上げが順調に伸びていることです。」
  • 「お客様からすると、以前は困ったときは電話帳を利用していました。今後はChannel Talkだけで問題の大半が解決できる、未来の電話帳を作れば、成長できるだろうという観点を持っています。現在、売り上げの25%が海外から来ていますが、次の挑戦国はアメリカです。」

この日の東京スタートアップフォーラム第2回には、日韓のスタートアップ関係者約140人が集まった。 

/東京スタートアップフォーラム実行委員会

「目標はグローバルビッグテック、Day1からグローバルへ」

  •  「Channel Talkの道のりを簡単に説明すると、2010年の創業当時、私とジョシュの目標は一つだけでした。 『グローバルビッグテックカンパニー』を作ろう。当時、私たちの最初のアイテムはAdbyMe(アドバイビー)という広告インフルエンサープラットフォームでした。広告主をセールスして連れてきて、皆さんがFacebookやTwitterを利用する際に広告を掲載すると、リンクを共有して収入を分配する方式でした。」
  • 「このモデルを最初に起業したとき、生意気なことを考えていました。韓国は小さい。グローバルに行かなければならない。法人をデラウェア州に持って行き、広告収入を韓国からアメリカで決済しなければならない。それをPayPal(ペイパル)で処理しました。今思えば、あまりにも愚かなことです。でも、初日から私たちが決めたことは、グローバルに行くべきだということでした。当時貰った投資金は5億ウォン(約5700万円)でしたが、アメリカで2人だけ採用して、非常に苦しい時期を過ごし、最終的に破綻しました。」
  • 「2014年に再出発しました。店舗にセンサーを設置して統計を出してくれるサービスでした。実際の市場でも良い反応があり、センサーを設置する店舗も続々と登場しています。日本にも進出しました。ところが、危機がやってきました。2016年にApple(アップル)のMACアドレスがランダム化されました(ちょい事情通の記者記者の説明:端末情報の取り込みが難しくなり、来店客の分析やターゲティングができなくなる。当時の起業モデルのビジネスモデルが無力化).」
  • 「このような大きな危機が来た時、やってみようと創ったアイテムがChannel Talkでした。もちろん、再出発した会社が新しいアイテムをやると言ったので、投資家は大反対しました。しかし、Channel Talkの方向性は最初から今まで揺らぐことなく、『グローバルビッグテックを作ろう』。その気持ちで耐えてきたようです。最初からグローバル進出を目指すことがとても重要だと思います。」

Channel Talk チェ・シウォン代表 /東京スタートアップフォーラム実行委員会

「韓国はPMF、日本はマネタイズに適した市場」

  • 当社のやり方は「韓国でテストして、日本でマネタイズして、グローバルで行こう」というものでした韓国の長所は、とても早くテストできることです。開発も早いし、動きも早いし、良い製品があれば導入も早い。実質的なフィードバックも早いですね。ですから、PMF(プロダクトマーケットフィット)を作るのにとても良い市場です。」
  • 「2つ目は、几帳面で気難しいけれど大きな日本市場に一度は、入ることです。市場規模的な面、ウィリング・トゥ・ペイ(支払い意思)文化を見ると、マネタイズするのに非常に役立ちます。しかし、問題はスピードです。ここにいらっしゃるJiran(ジラン)のオ・チヨン代表に『日本市場は10年はかかる』というアドバイスをされました。『自分なら3年でいけるんじゃないか』と内心思っていたのですが、今振り返ればちょうど10年かかりました。それでも、ソウルと東京はスタートアップをするのにとても良い場所です。」
  • 「3つ目は人です。初期のスタートアップに誰が来るのでしょうか。来てもこの3人でしょう。家族か、友達、もしくはバカ。3F, Family, Friend, Foolと言います。すごく賢い人や能力のある人が来たら疑うべきです。そのため、グローバルビジネスは難しいです。みんな海外が、日本市場がうまくいくと言いますが、日本で直接スタートアップを作るのは本当に難しいことです。そして、その数人のチームメンバーを失ったときに、新しいチームメンバーをどう見つけるかが、海外進出のほとんど全てだと思います。優秀な人を一度に手に入れられるという考えは捨てなければなりません。優秀な人が海外進出の問題をすぐに解決することはできません。」
  • 「Channel Talkの日本のリーダーシップについてもう少し話しますと、ずっと前に日本のチームメンバーであるアヤさんがインターンとして入ってきたときの話です。私はアヤさんをフルタイムでお迎えしたかったのですが、他の会社からもオファーがあった状況でした。当社は無名のスタートアップ、他の会社は良い会社でした。悩みが多い中、『日本でビジネスするなら、富士山の頂上は一度は行くべきだ!』と周りの知人からアドバイスされました。そこで、アヤさんに「富士山に行きましょうか」と聞いたら、「ああ、とてもいいですね!」と言われました。富士山に行く日が他の会社のオファーに応じる日と重なったので、私はアヤさんが「ああ!Channel Talkに来ようと思っているようだ」と思いました。登ることを決めて当日富士山に行ったら、アヤさんから『他の会社に行くことになった』と連絡がありました。結局、富士山は私とジョシュと3人で山頂まで行きました。頂上で決心しました。頑張ってまた連れてこようと。結局、アヤさんはChannel Talkに戻ってきましたが、まだ富士山には行っていません。」
  • 「この逸話を別のビジネスをしている方に話したら、『富士山に登る必要はないだろう...富士山は遠くから見るものだ』と言われました。でも、私は富士山頂上登山を強くお勧めします。」

 

チェ・シウォン代表が語った富士登山記念写真 /Channel Talk提供

「失敗しない決断の繰り返しが重要、拒絶は日常茶飯事」

  • 「グローバルビジネスは簡単ではないのですが、うまくいっている時にエネルギーを出すのは誰でも簡単にできます。一番難しいのは、辛い時にどれだけ一緒に耐えられるかです。Channel Talkチームが好きなフレーズです。 (SAMSUNG(サムスン電子) 故イ・ビョンチョル会長 :私はいつも若者の失敗を興味深く見ている。若者の失敗こそ成功の尺度である。彼は失敗をどのように考え、それにどう対処したのか、落胆したのか、後退したのか、それともさらに勇気を出して前進したのか。これで彼の生涯が決まるのである。)グローバルビジネスは常に失敗の連続であるため、失敗したときにどう立ち向かうかが最も重要です。賢い人は本当に、耐えることが不得意だと思いますし、長く耐えられる人と一緒にいることがとても大切です。」
  • 「もう一つの話は、Channel Talkは(グローバルビジネスを)早くやろうとしましたが、うまくいきませんでした。ビジネスを早く拡大し、パートナーシップを作り、採用もしようとしましたが、うまくいきませんでした。そこで考えました。ビジネスで一番大切なことは何だろう。大当たり(少ないお金を使いながら急成長)を狙うのは、選択できないオプションであり、なかなか来ません。結局、Aのオプション(お金をたくさん使って早く成長する)とB(お金を少なく使ってゆっくり成長する)のどちらかを選択しなければなりません。Channel Talkの結論は、『失敗しない選択を繰り返すことが重要』ということです。」
  • 「そのためChannel Talkを早くやろうとしたらうまくいかず、ちゃんとやって失敗しないようにしようとしたらうまくいきました。」
  • 「4つ目は、『拒絶は日常である』ということです。Channel TalkがGlobal Brain(グローバルブレイン、日本のトップVCの一つ)から投資を受けなければならないと決心したのですが、何度も断られました。それでも3ヶ月に一度、30分のティータイムを確保しました。訪ねて行って『投資はしないだろうけど、私たちの状況をお知らせします』と話しました。それから2年後に投資を受けました。そして、当社が日本で受けたアドバイスの一つは、『一度助けてあげたいチームになること』でした。そうすると、重役の大人たちも手伝ってくれるし、手伝いたくなる、何だかわからないけどこのチームの夢を手伝いたいという気持ちにさせることが大事です。」

 

チェ・シウォン代表が語った決定のディメンション /Channel Talk提供

記念品の耳かきを作り、スタートアップを訪ねた理由、「ソフトウェアのグローバル輸出が可能」

  • 「5つ目は『ファンを作ろう』です。日本の初期にパートナーシップ構築に全て失敗しました。この時に着眼したのが、キャズムマーケティング理論でした。 (ちょい事情通の記者の説明 :新製品が市場に初期参入する際、主流市場と断絶があり、大衆に普及するまでの低迷期に耐えなければならないということ。このキャズムを超えると爆発的な成長と普及が続くという理論)このキャズムを超えるには、初期にファンを作る必要があり、当社と似ていて親しいスタートアップから攻略しました。そこで作ったマーケティング製品が、日本の職人が作った耳かきです。 『耳をかっぽじる気持ちで、お客様の声を聞く』という意味を込めて日本のパートナーにアピールし、日本のスタートアップとの関係がしっかりと築きつづけ、今は積極的にネットワーキングをしています。」
  • 「日本市場についてChannel Talkが出した結論は、『日本だからと変わらない』です。日本市場でうまくいくためには、日本に答えがあり、それを探さなければならないと思いますが、うまくいきません。この問題は自分たちが一番よく知っており、自分たちの中に答えがあります。それを見つけられないとアプローチしたとき、むしろヒントを見つけられるでしょう。ビジネスで行き詰まったとき、答えは他の外部にあるのではなく、各チームが一番よく分かっているはずです。」
  • 「最後に、先日ニュースを見ました。韓国の海苔の輸出額が1兆ウォン(約1100億円)、日本の輸出額が1500億ウォン(約172億円)だそうです。私たちソフトウェアメーカーがもっと頑張らないといけないと思いました。韓国は製造、流通に強く、日本も同様です。アメリカはソフトウェアが強いです。左は韓国のロッテタワー、左はアメリカ サンフランシスコのSalesforceタワーです。私は、ソフトウェアこそが真のネクストインダストリーだと思っています。」
  • 「なぜかって?韓国と日本でお会いする方。みんな本当に熱心なんですよ。アメリカで働いてみると、彼らは、私たちより特に熱心なわけではありません。それにアメリカの人材は(人件費が)高いです。私たちが2倍頑張れば、4倍の効率があるのではないでしょうか。Channel Talkのグローバルビジネスも簡単ではありませんが、諦めなければチャンスは来ると思います。子供の頃、海外に親戚がいる友達が本当に羨ましかったものです。韓国、日本のスタートアップ業界もグローバルに進出し、お互いに助け合えるパートナーになれるよう、Channel Talkも努力していきます。ありがとうございます。」

晩餐会兼ネットワーキングの様子 /東京スタートアップフォーラム実行委員会



/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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