マンガ大国日本、ウェブトゥーン大国韓国#1:日韓電子コミック市場とマンガアプリの普及
第一回 日韓電子コミック市場とマンガアプリの普及
-マンガを何で読んでいますか?「電子書籍」や、「電子コミック」、「マンガアプリ」などの言葉をよく耳にするようになりました。近年、日本では、電子コミックと紙の漫画の売り上げが逆転し、今や電子コミックがマンガを読むときの主流になりつつあります。さらに、コロナによる巣ごもり需要も加わり、利用者は増え続けています。またこの電子コミックの利用者増加と共に広まりつつあるのが、スマホでスクロールしながら、手軽に見られる新たなマンガ「ウェブトゥーン」です。このウェブトゥーン、韓国発祥であることをご存じでしょうか。韓国でもマンガアプリが広く普及しており、3人に1人が月に一回以上ウェブトゥーンを見ているそうです。
日本、電子が紙の売上を超える
まずは日本の電子コミック市場についてみていきましょう。紙、電子を含めたコミック市場全体では、2018年から連続で拡大しています。また、2020年には、これまで市場のピークであった1995年を抜いています。低迷気味であったコミック市場の拡大につながったのが、電子コミックの存在です。
直近3年では、電子コミックの拡大幅が非常に大きく、2017年頃から市場は拡大し始め、2019年の市場規模は2,593億円でしたが、2020年には3,420億円となり、前年比31.9%の増加を見せています。また、2019年には、紙のコミック売上と電子コミック売上が逆転し、ここ数年で日本国内の電子コミック利用者が増加していることが分かります。(図1)
また、電子コミック市場が拡大し始めた2017年頃何が起きていたかというと、電子コミックの海賊版サイト問題です。2018年に運営者の逮捕によってこのサイトは閉鎖されました。この事件をきっかけに、正規のルートで電子コミックを利用する人が増えたとも言われており、電子コミックの市場拡大につながったとされています。
韓国、日本より電子コミック市場は小さいが…
韓国の電子コミック市場規模について整理すると、近年、韓国も電子コミック市場規模の拡大が続いています。韓国における電子コミックの市場規模は2019年には、8,805億ウォン(約845億円)、2020年は、1兆億ウォン(約967億円)です。日本は元来マンガ大国であることから電子コミックの市場も日本の方が大きいようです。このように数字で見ると、日本の市場の半分以下なのですが、電子コミックを見る際に利用するマンガアプリの利用経験者について注目してみると、大きな違いがあります。
マンガアプリ利用経験で見る日韓比較
マンガアプリを利用したことのある人の割合に注目して、日韓比較すると大きな差があることが分かります。
まず、マンガアプリを利用したことのある人は日本で35.7%であることに対して、韓国では74.9%と日本の2倍以上なのです。年代別では、日本では10代の利用が一番多く67.2%、韓国では20代が一番多く83.7%です。日本では全世代において70%を超えず、30代では46.6%、50代になると19.9%です。一方韓国では、50代までの全世代で60%を超え、50代でも64.1%の人がマンガアプリの利用経験があります。(図2)
この結果は「スマートフォン普及率」、「マンガの入手方法の違い」が要因の一つであると考えられます。韓国ではスマートフォン普及率が9割を超えており、2018年にはスマートフォン普及率世界一になっているのに対し、日本は2019年に8割を超えたばかりであるのです。また、日本では「マンガは買う」ということが当たり前でしたが、韓国では「マンガは借りるもの」という文化があるようで、この2つの要因から韓国で電子コミック、マンガアプリが普及しやすかったのではないでしょうか。
現在、日本でもスマートフォン普及率は高まり、「紙離れ」が進む中、数多くのマンガアプリや、サービスが存在しており、各社様々なキャンペーンや広告を出すことで、利用者の増加を試みています。中でも2020年、日本・世界市場ともに売上1位になったマンガアプリが、「ピッコマ」です。この「ピッコマ」の運営会社であるカカオピッコマは韓国系の企業であることをご存じでしょうか。次回は、株式会社カカオピッコマとはどんな会社なのか、ピッコマが人気の理由は何かについて深堀していきます。
まとめ
- 日本、電子コミック市場が急速に拡大中
- 韓国では、マンガアプリの利用経験者が日本の2倍以上
- 日本で売上1位のマンガアプリ「ピッコマ」は韓国系企業が運営している
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