マンガ大国日本、ウェブトゥーン大国韓国#2:新たなマンガ時代を築く韓国系マンガアプリ運営会社
第二回:新たなマンガ時代を築く韓国系のマンガアプリ運営会社「カカオピッコマ」
前回は日韓電子コミック市場、マンガアプリについてご紹介しました。今回は、新たなマンガ時代を築く韓国のマンガアプリ運営会社の中でも、日本国内で売上1位となった「カカオピッコマ」についてご紹介していきたいと思います。
カカオピッコマ、どんな会社?
「カカオ」という名前に馴染みがない方もいるのではないでしょうか?株式会社カカオピッコマは、韓国企業である株式会社カカオという会社のグループ会社です。株式会社カカオは、韓国No.1メッセンジャーアプリ「カカオトーク」の運営会社です。このカカオトークは日本におけるLINEにあたり、ほとんどの韓国人がカカオトークを利用しています。また、入社したい会社、ブランド評価ともに韓国内で1位であり韓国では、知らない人はいない大企業です。そんな「カカオ」のグループ会社、カカオピッコマが日本で提供する代表的なサービスが「ピッコマ」です。
日本でピッコマの人気がある理由は?
2020年、日本国内「ピッコマ」新規ダウンロード数、年間セールスはともに1位です。他にもマンガアプリがある中で、なぜ「ピッコマ」に人気が集まっているのでしょうか。
- 無料で読める
「待てば¥0」「¥0+」など無料で読める仕組みがあります。無料であることは利用者にとって最大のメリットであり、気軽に読めることも利用者増加の一因と言えます。なぜ、無料で提供できるのでしょうか。「ピッコマ」には日本の作品と、韓国作品をローカライズしたものがあります。日本の作品を扱う場合は版権料がかかりますが、韓国原作のものであれば、この版権料をかなり抑えられるのです。また従来のマンガよりスマートフォンで気軽に読める「ウェブトゥーン」作品は、その気軽さから、サクサク読めてしまいます。そうすると、課金をしてでも読みたい読者も多いようです。「待てば¥0」「¥0+」というビジネスモデルが成功しているということも無料でマンガを提供できる要因と言えます。
- 広告なし
広告がないことも「ピッコマ」の特徴であり、利用者に好かれる要因です。「ピッコマ」は現在のところ、広告を入れる考えはないと説明しています。理由は、スマートフォンの広告にはゲームアプリの広告が多いからです。では、なぜゲームアプリの広告を表示させたくないのでしょうか。マンガアプリとゲームアプリの使用タイミングは非常に似ているそうです。従って、マンガアプリの競合相手は紙のコミックではなく、ゲームアプリということです。競合相手の広告を流さないということで、利用者は「広告なしに快適にマンガが読める」、ピッコマからすれば「利用者を離さない」、「ゲームアプリに流れさせない」という仕組みができているということです。
- データ活用
「ピッコマ」では、作品ごとの専用有料チケットがあります。このチケットによって、作品ごとにユーザーの行動をデータ化しているそうです。このデータをもとに、他の作品への誘導、継続した閲覧につなげているのです。また、AIを駆使し、独自のレコメンドエンジンを開発しています。このエンジンを活用し、利用者が好みそうな作品を提案し続けることで利用を継続させる仕組みができており、一度「ピッコマ」を利用した人を離さないのです。
利用者のニーズと運営側の戦略が組み合わさった、この3つの要素が「ピッコマ」の独自性であり、人気の集中と爆発的な利用者増加に至った理由だと考えられます。
これからどのように進んでいくのか?
「カカオピッコマ」に社名を変更した理由は、グローバル市場に活動の範囲を広げるためです。社名とサービス名を一緒にすることでブランド認知度を上げる狙いがあるようです。
既に、2021年9月にはフランスで「ピッコマヨーロッパ(Piccoma Europe)」を設立しています。知的財産権(IP)の活用、日本におけるデジタルマンガコンテンツとデジタル化されたフランス現地のマンガを提供することで総合デジタルマンガプラットホームを作る計画をしています。
カカオピッコマのキム・ジェヨン代表によると、「ヨーロッパのマンガ市場においてもデジタルマンガへの転換傾向があり、中でもフランスはヨーロッパのコンテンツ市場の中心地だ」と述べています。日本で培ったピッコマの成功ノウハウを活かし、ヨーロッパに進出、そしてグローバル進出の土台となることを計画しているようです。
まとめ
- 「カカオピッコマ」は、韓国の大企業「カカオ」のグループ会社である
- 「無料で読める」、「広告なし」、「データ活用」によって利用者増加、日本国内売上1位
- ヨーロッパ進出からグローバル進出土台を築く
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