【そのとき投資】vtov、既存配送料で当日配送を可能にしたイノベーション
【そのとき投資】vtov、既存配送料で当日配送を可能にしたイノベーション
ハン・ソユンTBTチーム長
@そのとき投資(私はその時、投資することを決めました)では、現役の投資家がなぜこのスタートアップに投資したのかを共有します。
イーロン・マスク(Elon Musk)がビジネスを始めた時、初期投資することができれば、絶対に有益な投資になったはずだ。2021年夏、 vtov(ブイトゥーブイ)のチェ・サンス代表とクォン・ミング理事に会って事業計画を聞いたとき、 イーロン・マスクが思い浮かんだ。
イーロン・マスクがすごいのは、大きな問題を簡単なアイデアで解決するという点だ。ロケットをリサイクルして宇宙行きのコストを下げ(SpaceX)、 交通渋滞を避けて素早く移動できるようにトンネルを掘り、The Boring Companyを作った。
これらの解決策はある意味本当に簡単なアイデアなのに、 スケールがあまりにも大きくて誰もできなかった。それをイーロン・マスクはやったのだ。vtovも同様に簡単なアイデアに着目し、大きな問題を解決しようとしており、その点でイーロン・マスクが思い浮かんだ。
チェ・サンス代表(写真左)とクォン・ミング理事 /vtov
問題:宅配便は遅く、 速い配達方法は高い。
宅配便を利用すると、 松坡(ソンパ)から江南(カンナム)に物を送るのにも、京畿道(キョンギド)郊外の物流ハブを一旦経由するという非効率を経験したことがあるだろう。ほとんどの宅配便は大型Hubに全国から集荷物を集め、配送先別に分類する。
大量の物品を最小限の拠点数で処理するため、 配送動線は非効率的で、 分類待ちで積まれたままの時間が長く、分類には非常に長い時間がかかる。また、1日に約1回の出荷であることから、通常宅配便は2~3日かかる。
しかし、翌日配送と深夜配送を経験したことにより、人々は今やオンラインで頼んだものが届くのに2〜3日かかっていては満足できない。
だが、当日配送は高い。現在物流業者が導入している当日配送の方法は大きく2つで、マイクロフルフィルメントとバイク便だ。マイクロフルフィルメントは、都心に作った小さな物流センターを活用する方法だ。
この方法は、市内中心部に物流センターを確保するための高いコストがかかるだけでなく、 倉庫まで物品を移動させる追加費用が発生する。また、小さな倉庫に合わせるために制限的な品目と数量しか収容できないという限界点も存在する。
バイク便は、商品ごとに配送担当ライダーに個別の経路を走らせるため、多くの人材を必要とする高コスト構造で運営されている。また、遠方地域に配送する場合、 費用が急激に増加するため、都心の近距離配送のみをサポートしている。
現在、当日配送は十分な資本力を持つ一部のeコマース企業がサービス差別化、という意味で赤字を飲みながら提供するサービスだ。これまで持続可能なソリューションのない状況と見ることが出来る。
解決策:公共交通網に着目した「公共物流網」で、配送を乗り継ぎ、安く、迅速に
vtovは解決策として、 「人は公共交通機関を乗り継げば、ほぼすべての地域に数時間以内に行くことができるのに、 物はなぜそうできないのか」 というアイデアに着目した。こうして首都圏の公共交通網のように乗り換えを行いながら移動できるよう、物のための公共物流網を考案した。
物品も、決まった路線を循環する車両を乗り継ぎ、当日配送されるようにするのだ。他の物流企業がより大きな物流倉庫を建て、高価なオートメーション機器を導入する中、vtovはむしろ出荷前の過程から「倉庫」をなくし、 車両の有機的な運行および物品配達方式(Vehicle to Vehicle)を通じて配送を行う。
公共物流網は、物品受付がされると、物を各路線の時刻表に合わせて乗せ、 「停留所」である小規模な場所で物品が乗り継ぎできるようにする。近距離内に、小さいが多くの停留所があり、一箇所に物品が集まりすぎないよう、分散させている。
効率的な移動のために区単位の広域停留所間の移動を担当する広域トラック、 広域停留所と地域停留所を移動する地域トラック、 そしてラストマイルトラックがある。ラストマイルトラックは地域バスのように地域を絶えず回りながら物品を配送し、 受付を行う。
vtovは、低コストで多くの人々が利用できるようにする、「汎用的で持続可能な当日配送サービス」を作ることをVisionとしている。
coupangロケット設置物流システムを構築した創業メンバー
vtovは既存の宅配便と同価格帯で当日配送を行うため、宅配便の顧客がvtovサービスを利用しない理由は少ない。すでに多くの主要大型荷主と契約を結び、運ぶことになっている物量がかなりあり、 多くの荷主が自ら連絡をとってきている。
すでに確保している荷主の、約束物量を履行するために投資金が使われる予定であったことから、不確かな将来の売上のためのCAPEX投資よりも心理的に楽な部分があった。
大きな物流倉庫を建て、 大型オートメーション設備を備えるよりも、公共物流網を通じ停留所を構築するコストの方が相対的に少ない。特にvtovの公共物流網は、最初はソウル全域にまばらに作り、 物量が多くなるに従って細かく構築するため、物流量が増えることに合わせてインフラを増やしていくことができる。
これであれば序盤のCAPEX負担が緩和される部分もある。
公共交通網のように公共物流網が機能するためには、物品移動の需要が十分なくてはならず、 移動経路の中に共通経路を効率的に設計できなければならない。公共物流網を構築し、物品が時間に合うように乗り継ぎさせるのは容易なことではない。最初にラストマイル区画を設定し、 路線をきちんと決めることが重要である。
そして時間に合わせて乗り継ぎするために、物流量、 交通量、 運転手の行動などを予測しなければならない。これには十分なデータやシミュレーション、 そして実際の実験を通した技術力とノウハウが必要だ。
物が乗り継ぐ小さな空間(地域停留所)ですぐに物品が分類されることも重要だが、 そのためにはハードウェア的技術とオペレーションノウハウ、 現場データが必要である。短期間にvtovが積み重ねてきたことを真似するのは難しいと判断した。
創業者たちは冷蔵庫、 エアコンなどの大型家電製品を翌日に設置してくれるcoupang(クーパン)の 「ロケット設置」 物流システムの構築に成功した経験がある。また初期スタートアップ、 特に物流分野であるにもかかわらず、どのようにこのような華麗なスペックの人々が集まったのかと思うほどチームメンバーの多くが韓国内外のTop-Tier大学で勉強し、 科学高校、英才学校を出ている。
単にお金というよりは、挑戦的な問題に興味を感じたチームメンバーが続々合流したのだという。オフィスを訪問すると、凄まじい熱気を感じることができる。
vtovが解消しようとしている問題は本当に難しいものであるため、これからの道は平坦なものではないだろう。しかし、その問題を解決するために、立派な人材が集まり情熱と誠意を尽くしているため、必ず解決できると信じている。そして解決できた日には本当に多くの人々の日常を変えるだろう。
vtovチームの挑戦を応援し、 今後、翌日配送、 深夜配送よりも当日配送が当たり前の日が来ることを楽しみにしている。
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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