【番外編】Bluepoint Partnersのイ・ヨングァン「やっと本格スタート、ディープテック創業者の比率を現在の2%から20~30%までパッと増やしたい」
【番外編】Bluepoint Partnersのイ・ヨングァン「やっと本格スタート、ディープテック創業者の比率を現在の2%から20~30%までパッと増やしたい」
「働く楽しさの中で最大のものは、サービスや製品を提供したとき、顧客が喜んでくれることです。ところが、意外にそんな事業が多くありません。以前やった事業(PLASMART(プラスマート))はB2Bでした。企業を対象としているため、否定の言葉が行き来します。
100回のうちたった1回の不良を防ぐために全力を尽くさなければなりません。不良が出なかったからといって誰かが褒めてくれるわけでもありません。当然です。
しかし、ここは違います。肯定の言葉が行き来しています。10%?いや、1%程の可能性に飛びつく方々いますから。スタートアップの創業者たちは『もしこれがうまくいけば、この市場がすべて変わるのに』という可能性を感じて飛びつく方々ですから、すべての創業者は肯定そのものです。
そんな創業家たちと会話してみると私の方にエネルギーが湧きます。『これは私が見ても難しいんだけど?』という問題に挑戦する彼らのエネルギーから再び私はまたエネルギーを得るのです。だから面白いです。面白くて、意味があるからこんな風にしがみついているんです」
去る25日、ソウル江南(カンナム)でBluepoint Partners(ブルーポイントパートナーズ。以下、ブルポパ)のイ・ヨングァン代表に会いました。上場予備審査通過の約4日後でした。 冒頭は「なぜこの仕事をしているのですか?」と尋ねた、それに対するイ・ヨングァン代表の答えです。
ブルポパは先週、KOSDAQ上場予備審査を通過しました。2014年の設立から約8年でのことで、上場手続きが終われば韓国国内アクセラレータの中で上場第1号となります。
ブルポパはディープテック、つまり技術を深く掘り下げるスタートアップを発掘し、育成を助け、投資しています。アクセラレータとしてはSparkLabs(スパークラボ)やFuturePlay(フューチャープレイ)に遅れをとっていますが、違いがあるとすればディープテックに集中していることです。
例えば、ちょい事情通の記者が出会ったブルポパのポートフォリオ社リストだけ見ても、EN2CORE technology(プラズマ技術を利用した有害ガス分解)、QuTope(同位元素技術素材)、klleon(バーチャルヒューマン)などです。このようにブルポパはこれまで255のスタートアップに投資しました。
Bluepoint Partnersの創業者イ・ヨングァン代表/Bluepoint Partners
ブルポパは2年前と何が変わったのか、1万のスタートアップを1箇所に集めたいという夢
-2年前も上場を試みたがうまくいきませんでした。 (結局自ら撤退) その間、ブルポパは何が変わりましたか。
「自らのこの仕事、アクセラレーターアップに対する理解度が高まりました。承認の観点からは持続可能性が高まりました。審査の際に最も懸念を受けた部分が『初期スタートアップへの投資でブルポパが持続可能か』ということでした。
アクセラレーターは会計上投資した資産(投資したスタートアップの持分)価値の増減分が会社の利益と損失として反映されます。
審査委員の懸念は、まず、投資企業の価値評価がきちんとできているのか、信頼できるのか。第2に、たとえその価値評価が信じられるものだとしても、まだ実現されていない帳簿上の利益なのではないか。
そのため、ブルポパが運営する費用や投資元金を上回る投資金の回収が実際にできるのかを見せてほしいというものでした。それで昨年証明を1度行いました。今年も投資市場は凍りつきましたが、第3四半期からは実績が改良されています。
だからこういう状況においても、ブルポパがアクセラレータの持続可能性を見せたという点がアピールになったようです。」
- ブルポパの実績は昨年の売上385億ウォン(約40億円)、営業利益241億ウォン(約25億円)で、2020年の実績(売上186億(約19.4億円)と営業利益72億ウォン(約7.5億円))と比べ2倍以上に成長した。
-主幹事がいるでしょうが、上場過程で記憶に残っている厳しい試練はありますか?これを説明したり納得させることは本当に難しかった、だとか。
「海外のアクセラレーターの似たような上場事例を話してもらいましたが、当然ブルポパと同じ事例企業はありませんでした。VCは典型的な事例が多いですが、アクセラレータは国と運営する会社によって異なります。
例えば、創業家を育成して創業チームを作るカンパニービルダーに近いアクセラレーターがあり、創業家教育のみ、あるいは大企業と連携して育成に主に焦点を置くアクセラレーターもあります。それぞれすべてが置かれた環境と会社が追求する方向によって異なる方法で活動しているからです」
-ブルポパが焦点を置くアクセラレーター業の本質は何でしょう?
「資本の供給より結局はスタートアップに『value add(バリューアド)』、彼らの成長に寄与したり価値を加えることができるかが核心であり、体系的な支援が重要であるという点です。すべてのスタートアップは成長を切望しており、切実で必死ですが、特に初期ステージが一番切実です。欠乏要因も多いです。
それを手助けすることができるのが本質に近いです。スタートアップも私たちを必要としていますが、私たちも収益を最大化できる段階でお互いに出会うため、サポートを上手くすれば収益の最大化も可能です。」
-ブルポパの家族がぐんと増えたようです。オフィスももう複数箇所にありますね。
「現在75人です。昨年に比べて2倍程になりました。スタートアップチームがすべて作られてから来る場合には良いチームもありますが、残念な場合もあります。もっと早く行って、彼らが企画する時から手助けしていれば成功確率がより高かったチームもあります。
たとえば、解決したい問題やビジネスモデル、創業チームの役割分配などを1からです。それで「同創」のようなプログラムを始めました。
アイテムは不明確だけれど解決したい問題があったり、ビジネスモデルに対する検証はできなかったけれど、意志と能力のあるチームメンバーのみが集まって、当社がモデルを精巧に整えられるようにお手伝いします。今年400カ所ほどが応募をし、このような育成プログラムを支援する人材も大幅に増えました。」
-このように育成段階からあるVC方式の投資は、ファンドを作ってLP資金を集めシリーズB、C段階で大きなお金を投資するのに比べて比較的非効率的ではないでしょうか。
「未来への投資は現在の投資とは異なります。VCの方式は、現在までとても効率的で、かなり効果を見据えたものです。問題はVCの投資方式はパーソナルでプライベート、代表と審査役の個人的な人脈と紹介、苦労の末に投資が決まるということです。
100個のスタートアップへの投資について考えるには、100個すべてに別々に会わなければならないという意味です。費用の問題が付きまとわざるを得ません。
アクセラレーターの走りといえるY Combinator(ワイコンビネーター)は、一種の公開募集(batch)で1度に1万個のスタートアップが参加する場合もあります。Y Combinatorは座ったまま途方もない母数、それも世界中から来た創業者に会うわけです。そのため、コスパが良く、収益が上がります。
統計的にも創業1年未満の初期スタートアップの投資利回りが1番低いです。これをVC方式で投資するには、その分リスクもとても大きいです。プライベートでパーソナルなチャンネルであり、接点も少ないためです。Y Combinatorのように多くのスタートアップに1度に会ってこそ、初期スタートアップ投資のリスクを減らすことができます。
例えば、エネルギースタートアップに投資をするとなれば、エネルギーをよく知る審査役を数人採用するよりも、ブルポパがGSと協力しているように、エネルギースタートアップ育成プログラムを作り、GSとブルポパの戦略的な支援と投資を期待しているチームを公募し、それらを育てる方が、速い方法です。」
初期のBluepoint Partnersでイ・ヨングァン代表とチームメンバーが会議する様子。おそらく2015年ごろと推定。 /Bluepoint Partners
大田とソウルのアービトラージ(Arbitrage)?メタ認知力を最初に見る理由
-他のアクセラレータとブルポパは何が違うのでしょうか。
「ディープテックです。当社より先にこの業界に飛び込んだ他の素晴らしいアクセラレーターは多いですが、彼らは市場に近いサービスに主に投資をしています。サービススタートアップは常に市場に近いところにいるため、市場のニーズに悩み、市場の問題から事業を開始します。
ところがディープテックスタートアップはガラパゴスのようです。市場の近くになく、研究所から始まります。地域としても大田(テジョン)、浦項(ポハン)、蔚山(ウルサン)、このような場所からです。
そのせいで、市場について断片的なことを知っており、技術があるという理由で創業に挑戦したものの、結局技術にのみ拘り、ますます市場から遠ざかってしまうというのをたくさん目にしました。私が創業したとき、そのようなペインポイントがあったので、私が解決したかった問題でもありました。」
- イ・ヨングァン代表が博士課程の中で創業した会社は「PLASMART」といい、PLASMARTは関連特許技術を利用して半導体プロセス制御装置を作る会社。技術のみがあり、きちんとした商品を作り出せず、6年のデスバレーを経て完成品を作り、2012年にアメリカ、NASDAQ上場社に300億ウォン(約31.2億円)で売却した。
-代表もKAIST(カイスト)出身です。このような評価があります。ブルポパは、KAISTのある大田(テジョン)とソウルのアービトラージ(Arbitrage、価格格差を利用した差益取引)、情報の格差を最も賢く利用するアクセラレータである、と。つまりソウルのVCやアクセラレーターに知られていないKAISTの初期スタートアップを大田に近いブルポパがうまく利用するという話ですが、そうなると公募育成を大々的に行うのではなく、ブルポパだけが「知り、こっそり投資」すればいいのではないでしょうか。
「投資業を長くしているわけではありませんが、一般的な投資業はパイゲームです。自分が他よりもシェア、株式や市場シェアをたくさん取らなくてはならないゲームです。しかし、初期投資は少し異なります。パイゲームではありません。なぜなら良いチームを見つけて創業するように作ればいいのですから。
投資できる創業チームの数が限られている状況やラウンドであれば、ブルポパは他人のパイを奪わなければなりません。ところが初期創業はそうではありません。
ディープテック分野で創業する人は全体の2%に過ぎません。そのため、技術分野で大学院を出たり、研究をしている人の98%は、創業せずに学校に残ったり、大企業の就職を選んだりしています。まだ創業を選んでいない98%が居り、この方々をスタートアップシーンに送って比重を20%、30%まで増やすことが目標です。
アービトラージを正しく使うには『他の人が気づかないうちに自分だけさっさと購入、自分だけこのチームに投資する』とならなければなりませんが、ブルポパは現在創業している2%が他の会社から投資を受けてもずっと多い98%が残っているため、気にしません。
金鉱が200ヶ所だけであれば、早く行ってやらなければなりませんが、金が埋もれている蜂がずっと伸びているなら?金鉱の金について争う必要があるでしょうか。より多くの起業家をシーンに出させることの方が長期的にブルポパに与える利益が大きいのです。実際のアービトラージ市場のように競争的にパイゲームをするのではありません。
他のアクセラレータ、VCとは異なり、ブルポパがより速くキャッチする情報値があります。ディープテックスタートアップは投資が容易ではありません。創業チームの構造、持分関係のようなものが明確にビルディングされていないのです。技術の可能性についての理解も難しいです。
ところが、ブルポパがそのような情報値の価値を先に調べて投資をするとなれば…そうした意味でアービトラージを使ったという評価であれば認めます。久しぶりに聞く鋭い評価ですね。」
-投資分野の割合を見てみると、産業技術(20%) 、データと人工知能(18%) 、ヘルスケア(16%) 、バイオとメディカル(10%)など...これまで多くのスタートアップに投資しました。投資をせずにミーティングだけだったスタートアップも含めて、ディープテックスタートアップたちから主に見られる惜しい点としては、何がありますか。
「私がこれを説明するためにとても長い間悩んでいましたが、最近YouTubeで映像を見て概念を整理しました。まさに『メタ認知』です。私はこれを『現実認識能力』と説明して回っています。勉強ができる学生たちの共通点を学者が研究したのですが、これまでの観点からでは、いくら探しても見つけられませんでした。
その時登場した概念がまさにこの『メタ』でした。たとえば、20の単語の暗記試験を受け、自分がいくつ当てたかを予想することができるのです。 『明日単語試験を受けたら私は、20個のうち12個正解すると思う』と考えたとして、次の日11個あるいは13個正解するのです。
勉強ができる学生は、自ら能力値に対する評価、予測値が実際のそれと大きく違わないということです。
状況、自分に対する冷静な認知力です。メタ認知力に優れ、『明日私は20個のうち9個しか正解しないと思う』と自らを暗記力が悪いと認知している学生は時間をさらにかけて単語を覚えて100点を取ります。
もしくは、普段から些細なことも覚えておこうと手帳を持って通ったりもします。これが優れたパフォーマンスの秘密だという話なのですが、事業にも適用されます。
ディープテック分野では、大部分の研究者や学界にいた方々が優れた学問的成果を出せば、それがビジネスでも膨大な成果を出すと飛躍的に解釈します。 『私が論文を出して、注目を集めた内容だから、これを早く事業化してお金も稼ごう』という考えです。これは前後がまったく異なる話です。この考えから早く抜け出した創業チームが成功します。」
-優れたメタ認知力はどのように把握できるのでしょう。創業チームや代表がメタ的な人なのかテストを受けさせることはできません。
「会社の持分構造から見られます。結局、研究とビジネスは異なり、自分の不足した能力を外部の他の人を引き入れて補完する必要があります。
例えば失敗するテックスタートアップの典型として、技術を研究した自分が持分の100%、90%を持っており、経営に関することは親しい経営学科の教授に手助けしてもらうことになっている、と答えるというものがあります。このようにお手伝いしてくれる方には、全力を尽くす、オールインをする理由がありません。
最初から正しく動作しえないチームビルディングであるわけであり、このような持分構造ではいくら優れた技術も事業にはなりません。だからこそ、面接時は、これらの部分を最も念を入れて確認します。果たして、創業チームは事業の冷酷な現実を認識しているのかについて、です。」
メタ認知に関する講演/tvN
シリーズBで30~50%を必ず回収する理由、不況の中でもB2B SaaSと素材・部品・装備スタートアップにはチャンスがきた
-これからも引き続きディープテックスタートアップ投資にこだわられますか?
「外縁の拡張が必要ですし、様々な試みをしようとしています。既存の会社の育成、投資をしてこなかった業種に挑戦したりもします。依然としてメインはディープテックスタートアップですが、サービススタートアップにも投資をします。
インパクトがあったり、サービスがポートフォリオの他の技術と相乗効果をもたらすことができたりする会社ですね。」
-リセッション、景気低迷が来るという懸念が多くあります。そうなると、ブルポパの投資戦略は変わりますか?このような状況でこそ光を放つスタートアップが別にあるでしょうか。
「投資市場が15年、20年前に戻りました。2007年に以前の事業を創業し、最初の投資を受けたのは、2008年ごろでしょうか。その時VCから最も多く聞いた言葉が『君たち、BEP、損益分岐点はいつか』という言葉でした。
当時VCたちにとって冒険資本のサイズは大きくなかったため、そうせざるを得なかったのでしょう。冒険的にリスクをかけて使うことのできるお金があまりなかったため、シリーズCラウンドが終わればスタートアップ自ら自生するモデルを探さなければなりませんでした。
しかし現在はシリーズD、シリーズEも行くことができます。収益よりはマーケットシェア、市場シェアを早く増やすことが目標です。成長の安定性よりも速い成長、スピードにもっと主眼点を置いているのです。このアプローチは10年間はうまくいきました。
マーケティングを利用した一種のポンピング、顧客をお金で買うというものです。この方法は過熱し過ぎており、今後このようなマーケティングでポンピングされた顧客のリテンションは大きな試練を受けるでしょう。
これからうまくいく分野は、インダストリー別に温度差が大きくなると思います。例えば、ソフトウェア分野のB2B SaaSが有望かもしれません。企業もコストをなんとか減らさなければならず、労働人口もどんどん減らすことから、ソリューション面で人に代わるソフトウェアを使うしかないためです。
サプライチェーンの再編もチャンスです。結局は、中国に依存していたグローバル素材、部品、装備事業からアメリカが独立するということ。そうすれば中国が引き受けていた素材・部品・装備の部分をより良い技術に置き換えられる会社には、アメリカで膨大な顧客を対象としたセールスの機会が開かれるからです。
半導体ファブレススタートアップのRebellions(リベリオン)のようなスタートアップを見てみてください。とても積極的にニッチな市場を掘り下げ、投資もたくさん受け取っています。不確実性の時代であり、危機の可能性の方が高くはありますが、それでもチャンスが全くないわけではないありません。」
Rebellionsは今年6月シリーズAで600億ウォンを超える金額を投資されました。韓国の半導体ファブレススタートアップです。彼らの話が気になれば、<こちら>
-ブルポパの投資スタイルは比較的保守的ではないでしょうか。とにかく目に見える完成した技術やハードウェアがあるスタートアップに投資していますよね。
「いえ。衝動的な投資をかなり沢山行っています。本当にチームメンバー、技術だけを見て投資したこともあります。完全に初期ステージに投資するからこそ可能な方法ですね。予想と異なる場合もあります。
医療機器分野は私の考えよりはるかに急速に成長しており、バイオや新薬分野は予想よりお金を稼ぐまでに時間がかかることもあります。」
-シリーズB段階になると、ブルポパが持っている持分の半分を回収するという話を聞きました。うまくいっている会社ならIPOまで持ち続けるほうが良いのではないでしょうか?
「正確には、持っている株式の30~50%を売却します。状況によって、です。グローバルルールであるかどうかはわかりませんが、Y Combinatorも同様の方法で投資金を回収します。
韓国で創業後、IPOまで平均12年かかります。 それまでずっと投資金がかかり続けざるを得ません。LPを連れてきて、ファンドを作ることで、投資金の規模が大きいVCと違って、当社はすべてのステージごとに投資金を設けることもできません。
結局、ある瞬間部分的にイグジットを行わなければなりませんが、VCのニーズと旧株を売るアクセラレータの需要が最もよく合う点がシリーズBであるため、そのようにしています。
持分持ち続けるべきだという意見もありますが、スタートアップは後になるほど成長のマルチプルが低くなります。アーリーステージでは数十、数百倍も大きいですが、シリーズB、Cで企業価値が数千億ウォン(数百億円)になると爆発的な成長は難しくなります。
アクセラレータの観点では、このお金の一部を回収して他のスタートアップに投資し、再び潜在力の優れた初期スタートアップに投資することが収益性レベルにおいても、より魅力的です。
そして、このように一部の資金を回収し、新たに創業したチームに使ってこそ、一般に知られていない宝石のようなスタートアップを発掘できます。このように資金が再びアーリーステージに行き、回ってこそVCや投資会社により多くのスタートアップを紹介することができます。」
-どのような場合においても、シリーズB投資金の回収に拘られますか?このスタートアップは無条件ユニコーンという確信があってもでしょうか。
「はい、無条件に旧株を売ります。」
最近、Bluepoint Partnersのデモデーで、当時のチームメンバーが集まって撮った団体写真/Bluepoint Partners
アメリカや他の韓国のアクセラレータ、ディープテックはまだアップサイドが大きい
-投資を行うのみではなく、代表にも解決したい問題があると思います。例えば、最近このようなスタートアップを集中的に探してるというのはありますか?
「人口と気候問題ですね。例えば気候問題でいうと、化学薬品ベースの農薬を置き換える技術会社に投資しました。化学農薬を使うと土壌が汚染されるという副作用がありますが、微生物の副産物で、この農薬成分を代替するという技術を持つスタートアップです。
他に投資したスタートアップは、自発的炭素排出権取引プラットフォームですね。炭素取引所では600社余りの企業が義務により炭素排出権の取引を行っていますが、このような取引に、義務づけられていない企業や民間も参加可能にするプラットフォームです。
最近、ソン・フンミンがプレーするイングランドプレミアリーグのサッカーチーム、トッテナムがゼロカーボンゲームを行いました。試合を開くと、自然に出る炭素量を測定した後、その分のクレジットを買って結果的に炭素の影響を最小化した試合を行ったのです。このようなキャンペーンが増えるにつれて、プラットフォームに対する需要も増えます。
人口問題も本当に大きな問題です。人口が減少する流れは止められず、生産年齢人口はますます減っていきます。人々が子どもを産まない理由は何か。恐怖感や躊躇を感じる理由は何で、その根源は何だろうか。制度の問題か人間のホルモンの何かが変わったのだろうか。そんな複雑な考えや想像をよくしています。
あまりにも難しい問題であるため、この問題を解決するには、教育や保育などの分野に至るまで、数千~数万のソリューションが1度に出てこなくてはなりません。この問題を新しい方法で、挑戦的に解決する初期チームを探しています。良いチームがあった際には、この問題についての意見を聞いてみたりもしています。」
-海外のアクセラレータと韓国のアクセラレータ、何が違うのか
「環境が違うので、やるべきことがより多くあります。韓国は、アメリカとは全く違う状況なのです。創業に対する社会的認識、ファウンダーたちのマインド、そして投資できる資金のリソースの大きさも異なります。 まず、景気後退が来ると、創業に資金を貸すことのできるリソース自体が減るため、再び過去に戻るかもしれません。
むしろこのような状況の中で、安定したものを探して、韓国のように、賢い人は全員医師になるという状況になるかもしれません。アメリカでは賢い人は創業をするため、環境が違うのです。韓国は、創業すると言えば、両親がすぐに『なぜ?』と聞くところですから。
そのため、アクセラレーターは創業に関するメッセージを出し続けなければなりません。意味のある仕事だということ、危険なものではないというメッセージです。アメリカではそのようなメッセージを送る必要がなく、韓国ではこのようなメッセージから送らなければなりません。やるべきことが、より多いですよね。
ディープテックであるために、他にもやることがあります。サービススタートアップは、創業と成長の経験共有が多くされています。すでにユニコーンになったりイグジットを行った会社、上場した会社もあります。
例えば、Eコマースのcoupang(クーパン)のように。ところが、ディープテック分野ではこのような情報の共有が少ないです。例えば『量子コンピュータで新しいアルゴリズムに挑戦する創業家』を創業するように説得し、支援する仕事、すべてがやるべきことです。
それで、むしろアップサイド、ブルポパが成長できる可能性がより大きいと思います。まだやるべきことがあまりにも沢山残っています。」
-最近YouTubeで代表の大学院生時代、創業初期の頃のカムジャタンのエピソードを楽しんで鑑賞しました。食べ物がお好きなようですね。上場準備過程は本当にストレスだったと思いますが、主に何を食べましたか。
「토란국(トラングク,さといも汁)です。正確には、さといもとエゴマの汁もの。両親が故郷で小さな畑をしているのですが、イノシシが降りてきて畑を全部掘り返し、香りの強いさといもとシソだけが残ったと、沢山送ってくれたんです。
だからそれをすべて入れてスープを煮込んだのですが、本当に昔故郷で食べていた味がしました。ソウルフードと言いましょうか。
そのため洋食も好きなのですが、ストレスを感じる際には、家のごはんを求めるようになり、カボチャコチュジャンチゲのような料理を自分で作って食べていました。もう年齢が50を超え、どんどんと昔の味を探すようになりましたね。」
朝鮮日報のニュースレター、「ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)」です。
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