#6 韓国スタートアップの福利厚生最前線|韓国在住エミカのスタートアップレポート
#6 韓国スタートアップの福利厚生最前線
韓国スタートアップの福利厚生や、社内の制度って意外と知られていない部分ですよね。
今回は私が通っている韓国スタートアップの制度はもちろん、韓国の有名スタートアップの凄すぎる福利厚生も合わせて韓国の福利厚生の最前線をご紹介してみようと思います!
①週4.5日勤務制:月曜午前は毎週お休み
週5日働くのが常識なのは韓国も日本も同じだと思います。そんな中、ここ数年で韓国スタートアップの中で流行しているのが勤務時間の短縮。
実は私が所属しているSpoonも、今年に入り週4.5日勤務制度を開始しました。월요병(月曜病:月曜日に出勤する際に憂鬱になること)をなくすことを目的に、毎週月曜の午前を全員固定で休みにしました。
勤務時間が短くなっても業務量は当然変化しないので、時間あたりの業務密度は超濃密。それでも集中しがいがあるのは毎週3連休の気分のおかげ。
月曜の午後何時から業務を始めてもいいので、週末にかなり余裕を持ったスケジュールを立てることができます!
週4. 5日勤務制(週35時間制度)は、会社によって運用制度は様々。
金曜に早期退勤するCJ ENM。35時間も多いということで週32時間制度を開始した、配達の民族を運営する우아한 형재들(優雅な兄弟たち)。更に教育事業の大手のエドウィルは週4日勤務制を導入しています!!(すごおお)
スタートアップも大手もこぞって実施する業務時間の短縮。韓国スタートアップのトレンドからスタンダードになるのか、要チェックですね。
韓国に広がる「週4.5日制」…2年前に先駆けて4日制を導入した企業の成果は(TheJoongAng)
②ワーケーション(workcation):旅しながら働く
ワーク+バケーションの造語であるワーケーション。コロナ禍でスタンダードになった在宅勤務によって、「全員がオフィスに出勤することは必須ではない」という認識が広まったのは周知の事実。
そこから更に一歩踏み込んで「オフィスor自宅」の2択ではなく3つ目の選択肢を加えたのがワーケーションだ。
実施方法は会社によって本当に様々。
会社がリゾート地にオフィスを用意し、利用を希望する社員が1〜2週間程度該当施設で仕事をしながら休息するパターン。
社員個人の旅行のスケジュールに1週間〜1ヶ月程度仕事をする期間を加えて、旅しながら仕事もしてくるパターン、など。
私の会社も最近導入され、既に数人が旅先からオンライン会議に参加している。行ってきた同僚に話を聞いたところ、ワーケーションがない場合は有給を使用しなければならないので、長期で旅先に滞在することは現実的ではなかったが、ワーケーションのおかげで1ヶ月程度、現地に暮らす気分を味わうことができて良いということ。
普段のオフィスと家の往復から脱出し、リフレッシュした頭からは新しいアイデアもどんどん湧いてくるそう。
在宅勤務終了、会社の代わりに旅先で…「ワーケーション」を導入するスタートアップ(Ajunews)
③無制限休暇付与:休みたいだけ休もう
基本的には1年に使える有給の日数の限界は決まっていることがほとんどではないでしょうか?なんと韓国のスタートアップの中には、有給が無制限に利用が可能な会社が存在します!
例えば金融系スタートアップTossも無制限休暇を実施していることで有名ですが、公式サイトには「別途の報告や上司の承認なしに自由に休暇を利用可能です」と書いてあり、社員の自律性と責任感に絶対の信頼を置いている感じが伝わってきて、かっこいいです。
Toss公式HP
④住宅ローン無利子支援:居住に関する心配0へ
不動産バブルでマイホームを持つのが遠い夢のようになっている韓国。賃貸だとしても、契約パターン(월세:月の家賃、전세:保証金制度)に関わらず、高い保証金は暮らしの大きな負担です。
様々な家の悩みを抱えている社員のために、会社が独自の住宅ローンを無利子で実施するスタートアップが増えています。(Toss、우아한 형재들(優雅な兄弟たち)、Spoon、네오플(ネオプル)などなど)
無利子で1000万円程度を限度にサポートする企業が多く、もちろん社員のための制度でもありますが、それによって優秀な社員の退職リスクを下げ、勤続に繋げる戦略にもなっているので、お互いにウィンウィンな制度のようです。
⑤その他:ここまでしてもらっていいんですか?
1個ずつ説明していたらキリがないので、韓国スタートアップあるあるの福利厚生を一気に列挙していきます!日本のスタートアップにもある制度もたくさんありますので、皆さんの会社の制度と比較してみてくださいね。
- 書籍購入代無制限支給
- 両親の日(日本で言う母の日&父の日)に会社からプレゼント
- 無料お菓子食べ放題&ドリンク飲み放題
- 在宅勤務に使う設備支援(モニター、マウスなど)
- 社内カフェ
- 社内コンビニ
- マッサージチェア・マッサージ室
- 仮眠室
- 精密健康診断
- チームのオンライン飲み会の食事代サポート
- 通勤シャトルバスの運用
- 誕生日は半休
今回は韓国スタートアップの福利厚生最前線をご紹介していきましたが、いかがだったでしょうか?
そして今回でこの連載は、なんと最終回です。韓国スタートアップで勤務している日本人だからこそお伝えできる、生の声をご紹介していきましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?
最後まで読んでいただいた読者の皆様、ありがとうございました!
私の韓国スタートアップでの奮闘はこれからも続いていきますので、またどこかでお会いしましょう!
川村絵美香(かわむら・えみか)‐Spoon Radio ジャパンカントリーマネージャー
<SNS・ブログ>
Twitter:https://twitter.com/by_emika
ブログ:https://monika-kj.hatenablog.com/
韓国のIT事情や、韓国で働く生活を紹介するブログを運営しています。
早稲田大学社会科学部卒業。2014年ヤフー株式会社に新卒で入社。アプリ運営や新規事業の立ち上げに携わった後、留学のため渡韓。渡韓中の2018年にSpoon Radio Inc.に日本人第一号社員として入社。Spoon日本サービスの立ち上げから携わり、現在はSpoon Radio ジャパンカントリーマネージャーを務める。
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