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NETFLIX・Appleなど大型OTTと、韓国「WATCHA」が奮戦できる秘訣は

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目次

NETFLIX(ネットフリックス)・Apple(アップル)などの大型OTTの間で「WATCHA(ワッチャ)」が奮戦できる秘訣は

  • 差別化されたコンテンツ… 生存6年目
  • 初めて自主制作した「Semantic Error(セマンティックエラー)」
  • 2月公開後7週連続1位と大人気
  • 6億5000万件のレビューデータ保持
  • AIモデルベースのデータ分析適用
  • 「完全自主制作コンテンツを大幅に拡大」


オンライン動画配信サービス(OTT)は「銭の戦争」が最も盛んな産業だ。消費者の注目をひきつける動画を確保するために、毎年大規模な資金を投じる必要がある。そのため、韓国OTT市場はNETFLIXとDisney+、AppleTVなどグローバル企業とwavve(ウェーブ(SKテレコム))、seezn(シーズン(KT))など韓国大企業の間で対決が続く。来月にはグローバルメディアグループであるパラマウントも上陸する。

ところが、このような大型OTTの間で孤軍奮闘するスタートアップがある。WATCHAがその主人公だ。差別化されたコンテンツをもとに、すでに6年間生存し続けている。最近は大規模データを活用したコンテンツで反撃に乗り出している。WATCHAの躍進がOTT市場の流れをどれだけ変えることができるかに業界の関心が集まっている。


「Semantic Error」のヒット

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WATCHAが今年2月公開したドラマ「Semantic Error」は公開以降、WATCHA内で週末基準7週連続人気1位を記録した。WATCHAで韓国コンテンツが人気1位になったのは異例だ。特にWATCHAが初めて自主製作したドラマなので意味深い。 「Semantic Error」はSNSのTwitterで、今年1月から3月まで110万回以上言及されて海外でも注目された。

「Semantic Error」は男同士の愛を扱った、いわゆるBL(Boy's Love)ジャンルのドラマだ。BLジャンルは最近女性消費者を中心に人気を集めている。だからといって、WATCHAが単純に人気にのみ便乗して「Semantic Error」を作ったわけではない。他の企業と同様に、コンテンツ制作前に数多くの検討過程を経た。ただ、コンテンツへのアプローチが競合他社と違った。

WATCHAは人工知能(AI)ベースのデータ分析を適用した。 「Semantic Error」と似たジャンルのコンテンツである「陳情令」「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」などの主要視聴年代、視聴データなどを徹底的に分析した。

20~30代の女性が主要ターゲット層である点、再生時間が従来のドラマより短いという点、「N回目再生(繰り返し再生)」が多いという点などを踏まえて「Semantic Error」を製作した。WATCHAのキム・ヘジョンマーケティング理事は「基本的にコンテンツの核心は完成度と斬新さなどだが、ここにデータを活用して従来よりは少し成功の可能性を高めることができた」と説明した。

WATCHAの分析技術は一朝一夕で出来たわけではない。WATCHAの始まりは、コンテンツレビューやレコメンドサービスである「WATCHAPEDIA(ワッチャペディア)」だった。WATCHAPEDIAは2011年から消費者が各種コンテンツに残した星評価と感想を集め、これを分析して一人一人に合ったコンテンツを推薦している。

WATCHAPEDIAは6億5000万個以上のコンテンツ利用者評価データを保有している。韓国はもちろん、海外でも同規模の関連データを確保している企業を見つけるのは難しい。


ビッグデータ戦略、成功し続けるか


WATCHAは2017年に本格的にデータを活用してコンテンツを流通し始めた。韓国内外のWATCHAPEDIA利用者が世界各国のドラマと映画につけた評価をもとに、海外版権を買い国内で独占公開した。 「Killing Eve(キリングイブ)」「Years and Years(イヤーズ・アンド・イヤーズ)」などが代表的だ。

WATCHAコンテンツ事業担当のキム・ヒョジン理事は「当時、WATCHA が韓国に流通させようとしたコンテンツは韓国でほとんど知られていなかったが、データ分析を通じてヒットを確信した」と説明した。

WATCHAは、データ分析レベルを高めるために最新の人工知能(AI)モデルを適用している。WATCHAマシンラーニングチームのユン・ジョンミンチーム長は「良いAIモデルが出たらWATCHAのシステムに合わせてカスタマイズし、レコメンドエンジンを進化させている」と話した。

WATCHAはGoogle(グーグル)のAI言語モデル、BERT(バート)も使うことにした。BERTは2018年公開当時「AIの言語理解・処理能力をワンランク引き上げた」という評価を受けた。データの順序と文脈を細かく分析するのが強みだ。ユンチーム長は「漠然と『この作品はヒットするだろう』という期待ではなく、広範なデータに基づいてコンテンツの導入可否を決定するため成功率が高い」と説明した。

WATCHAは今年、自主制作コンテンツを大幅に増やす計画だ。ドキュメンタリー「ハンファ・イーグルス:クラブハウス」、バラエティ番組「Join my table(ジョイン・マイテーブル)」、ドラマ「最終兵器アリス」などを公開する。ほとんどAI分析をもとに製作したコンテンツだ。

業界では、WATCHAのこうした戦略が収益改善につながるかにも注目している。WATCHAの売上は昨年708億ウォン(70.8億円)で、1年前より86.1%増えた。しかし、営業損失も同期間に154億ウォン(15.4億円)から248億ウォン(24.8億円)に増加した。


写真:WATCHAが自主制作して今年3月公開した6部作ドキュメンタリー「ハンファ・イーグルス:クラブハウス」の1シーン。 /WATCHA提供

原文:https://www.hankyung.com/it/article/2022050911551 


/media/韓国経済新聞
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韓国経済新聞

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