【対談】韓国スタートアップの「韓国語×社内コミュニケーション」
韓国スタートアップの「韓国語×社内コミュニケーション」
韓国現地に居住しながらスタートアップで働く、Spoon Radioのジャパンカントリーマネージャー川村絵美香さん、Danggeun Market Inc.で日本事業を担当する佐々木祐衣さんの対談企画です!2回に渡ってお届けしていきます。
韓国就職を希望する方や、韓国のスタートアップが気になっている方、必見の内容になっています!
第1弾は「韓国語×社内コミュニケーション」です。現地韓国で働くお二人の「韓国語」にまつわるお話、そして「社内でのコミュニケーションここが難しい…!」についてざっくばらんにお話していただきました!
語学堂では教えてくれない⁈ 現場のビジネス韓国語
ゆうい:韓国で働き始めてから努力したことは、近くにいる上司の言葉をひたすらまねすることです。上司の話す韓国語がすごく分かりやすいなと思って、どういう文法で話しているのか、どういう話し方なのかを「聞いて、覚えて、話して」の繰り返しをしていましたね。
えみか:私はTOPIK4級くらいのレベルで会社に入ったので、正直最初は半分くらいしか言っていることが分からなかったんですよね。最初の1年は、全部録音して家で聞いてみて、分からない単語は調べなおしてというのをやっていて、そうすると何回も出てくる言い回しが見つかってくるんです。「あ、会議ってこうやって始まって、こうやって締めるんだ」とかですね。語学堂では出てこない韓国語です。
ゆうい:メールや社内のチャットなどの「書くこと」も最初は戸惑いますよね。
えみか:そうですね!最初は日本で働いていた時と同様にメールの最後に「よろしくお願いいたします」を韓国語で書いていたんですけど、「何をお願いしているの?」って言われて…他のメンバーのメールを見てみたらみんな「ありがとうございます」でした。「あ、感謝がなかったのか」と気が付きましたね(笑)
社内に味方をつけることは大事です!ニュアンスの部分や、失礼ではないかなど迷うのですが、なにか文章を書いたときなどに「これどうですか?」と気軽に聞ける人がいると学びは多いです。
ゆうい:私も気軽に聞けるメンバーがいます!韓国語のメールをチェックしてもらって、反対に日本語のメールは私がチェックをしてという風にお互いに教えあっていますね。
社内の文化によって変わる韓国語
ゆうい:私の会社では、「다나까(タナカ)体*」が禁止で「해요(へヨ)体」を使わないといけないんです。最初かなり戸惑いましたね。ならってきたのは、「~ハムニダ」などの「다나까(タナカ)体」なので、この人に「カムサへヨ(カムサハムニダより多少砕けた丁寧語)」って言っていいのかなって(笑)
※다나까(タナカ)体、해요(へヨ)体はどちらも丁寧語ですが、タナカ体のほうがより丁寧な表現で、目上の人はもちろん、初対面の人やメール、社内で一般的に使われる。
えみか:それにはどんな意図があるんですか?
ゆうい:私の会社では「水平的な文化」を大事にしていて、フラットな関係を築いて意見を出しやすくするという意図があると思います。名前も弊社では英語名を使っています!私は社内では「ヘイリー」です。
えみか:英語名、私の会社でも採用しています!スタートアップあるあるですかね!英語名について、実は若干やらかしていて…「エミカ」のままにしちゃったんです。韓国メンバーはエミカって呼んでくれるんですけど、日本のメンバーは呼び捨てしている感覚になるみたいで、「エミカさん」って呼ばれてますね。エミリーとかにすればよかったなって思ってます(笑)
ゆうい:たしかに、日本人同士だとちょっと呼びにくいかもしれないですね(笑)。いまから変更はできないんですか?
えみか:アドレスに反映されてしまってできないんですよね…なので、英語名を使っている会社に入社した際は絶対に英語名にすることをおすすめします(笑)
伝わればいいだけじゃない?!コミュニケーションの難しさ
ゆうい:社内でのコミュニケーションについては戸惑ったことがたくさんあります。そもそも「何と言って出勤して退勤するのか」からでしたね(笑)。
社内ですれ違ったときも「あれ、なんて言えばいいんだろう。日本みたいに『(韓国語で)おつかれさまです』でいいのかな」と悩みました。同僚たちを観察した結果「あ、『アニョハセヨ』でいいんだ」と気が付きました(笑)
えみか:そうですよね、最初はそういう細かいところで悩みますよね。あとは「すみません」にも違いがありますね。
具体的なエピソードを紹介すると、入社したての頃、バスが遅延して会社に遅れてしまうときに「(韓国語で)すみません。バスが遅延していて遅れてしまいそうです」ってメッセージを送ったんです。そうしたら「今後『すみません』は必要ないです」ってなぜか冷たく返ってきて、めちゃくちゃ怒られてるって思って、怖くてパニックになった記憶があります(笑)
後から、5分程度遅れることは「すみません」をつけて謝るレベルじゃないから、報告だけしてくれたらいいよ、と。こんな感じで「謝る」の程度が違いますね。
ゆうい:とてもわかります!私も、最近までよく考えてみると謝るレベルじゃなくても、なんとなくの癖で「○○でした。すみません」ってよく言ってたんですよね。でもまわりのメンバーを思い浮かべると、誰も謝ってないなって思って(笑)一人だけ謝っていたんだと気が付きました。
絵文字もです。泣いている絵文字や、お辞儀してる絵文字も使わないようになりましたね。逆にこれは謝ってくれてもいいんじゃないか、みたいなこともありますけどね(笑)。
えみか:そうですね(笑)。「次から気を付けますね!」くらいですね(笑)。日本だったらこの後ろに「すみません」って入れてると思うんですけど。あとは、メールやチャットの文章も簡潔ですよね。
ゆうい:そうですね。社内でSlackを送るときも、私だけ文章が回りくどいなって思うときがあります。でも、これをどうやって簡潔に言えばよかったんだろうって悩んだりしますね。
えみか:私も入社したばかりのころ、「もっとストレートに話してほしい」や「何を考えているかわからない」というフィードバックをよくいただいていました。本題の前に「申し訳ないんですけど~」などのクッション言葉が多いのかなと思いました。
ゆうい:やはり日本での文化が身についているので、コミュニケーションの試行錯誤はこれからも続くのかなと思っています。
いかがでしたでしょうか?現場での韓国語や、社内コミュニケーションについて、お二人で共感しながらとても楽しくお話してくださいました!ビジネスの場では「事実を伝えること」や「意味を理解する」ことに加えて、「ニュアンスや細部も理解し、しっかりと届ける」ことがより必要になってくるようです…!
次回は、採用担当もされているお二人に「韓国企業の面接、ここ見ています。」をテーマにお話ししていただいた内容をお届けいたします!韓国企業や韓国現地での就職を目指す方は必見です‼👀
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