(2/3)韓国大企業 VS スタートアップ徹底比較|韓国在住日本人サラリーマンが語る【"韓国で働く"にまつわる話】
韓国大企業 VS スタートアップ徹底比較
こんにちは。産業用AIのMakinaRocksで日本事業を担当している永井宏志郎です。今日は私の経験をベースにしながら、韓国の大企業とスタートアップの比較、それから韓国就職について書いていきたいと思います。
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韓国大企業とスタートアップの違いとは?
韓国で就職した方は増えてきましたが、私のように大企業とスタートアップの両方を経験した人は意外に少ないかと思うので、その両方を比較しながら書いていければなと思います。
ちなみに私のキャリア遍歴は、文系大学院→戦略コンサル(日本)→CJ4DPLEX(映画系大企業・韓国)→CLASS101(コンテンツスタートアップ・韓国)→Anua(化粧品スタートアップ・韓国)→MakinaRocks(AIスタートアップ・韓国)という流れになります。なので、サンプル数はスタートアップが厚めな点、ご了承ください。
まず、大企業とスタートアップの違いでよく言われるのは、社内カルチャーの違いです。ただ、私のいたCJはニム文化(さん付け)の会社で、服装も自由でしたしあまり堅苦しい感じはありませんでした。唯一大企業っぽいなと思ったのは、昼休み終わりに社内放送&軽くストレッチタイムがあることでしょうか。ストレッチを真面目にやっている社員は少なかったですが、私は恥ずかしげもなくやっていました。
スタートアップでは、「水平的な組織(フラットな組織)」を謳っている会社が多いと思います。ただこれは個人的な考えですが、ある程度規模が大きくなれば、組織立った意思決定は必要になります。そのスタートアップの現状が本当にフラットな組織なのかについては、面接やそれ以外の機会を捕まえて会社の人と多くのコミュニケーションをするしかありません。
また、これからもフラットな組織を維持できるかについては、経営層と入社前にコミュニケーションをとって理解しようとするしかありませんが、限界があります。カルチャーについては、大企業だからスタートアップだからというよりは、面接過程において会社とのコミュニケーションする中での見極めが大事だと思います。
あとは、スタートアップの方が意思決定のスピードが速く、大企業は遅いというイメージもあるかと思います。これは、それなりに正しいとは思いつつ、そもそもの意思決定プロセスの違いを考慮する必要があるかと思います。私がCJに入って最初の方に覚えた韓国語が「稟議(품의)」でした。承認が必要なものに関して稟議書を上げることです。これは確かに面倒な点がある一方、他の人も見えるプロセスを踏むことで意思決定が見える化される部分もあると思います。
逆にスタートアップでは、こういったプロセスが整備されていなく意思決定プロセスが明確でないこともあり得ます。社内の誰か偉い人を捕まえて口頭で確認したのをもって案件を進めた結果、「言った言わない」で大揉めになるなんてこともあり得ます。スタートアップでも、承認を得て進めることについては、Slackなどコミュニケーションツール上のオープンな場所で書き残しておくことが無難だと思います。
最後によく言われるのが、「スタートアップは裁量が大きい」です。ただこれは「業務の幅が広い」ということも同時に意味します。例えばスタートアップにおいては、明確な日本進出戦略もないのに、一人目の日本人社員として「あとはよろしく」ということもあり得るわけです。これに対して、腕まくりして「よーし、やってやろう」となるタイプなのかどうかも重要かと思います。ある程度役割分担が明確な中で仕事をする方がいい人もいるでしょうから、これも場合によりにけりですね。
これらのポイントを考えると、特に「韓国」大企業とスタートアップだからこの差が生まれてくるというわけではないと思います。ここまで挙げたポイントは、おそらく日本の大企業とスタートアップを比較するときにも同じようなことが言えると思います。なんの結論にもなりませんが、やはり個社別で考えて、しっかり面接過程でコミュニケーションする中で、自分に合った会社を見極めるしかないように思います。
ソウルのオフィス街(ソンルン)
新卒で韓国就職はあり?!
これもケバケ(ケースバイケース)としか言えないなと思います。
私は、駐在員を除いた韓国で働く日本人の傾向を見ると、大きく3つの世代に分けられるのではないかと考えています。
- 第一世代(1990年ごろ~):日本のメーカーから引き抜かれて、サムスンなど韓国のメーカーに転職。(韓国で働きたいというよりは、能力を買われてリタイア前に韓国に来たパターン。)
- 第二世代(2005年ごろ~):日韓W杯や韓流の影響を青年期や大人になってから受けて、韓国に渡ってきたケース。(私の場合はこれに近いです。)
- 第三世代(2020年ごろ~):子供の頃から韓国文化に囲まれて育った世代。韓国留学などにも抵抗がなく、自然の流れで韓国就職を志向。
ここにおいて、第二世代の人にとっては私のように日本事業の担当者として中途採用される流れが自然でしょうし、第三世代の方にとっては韓国企業の中核を担う人材として日本にとらわれないキャリア形成ができると思います。
新卒時点で韓国での学歴があり、韓国語もネイティブ並みに話せる人材であれば、新卒で韓国企業の王道を歩むというのが選択肢に入ってくると思います。逆に韓国語力に自信のないケースであれば、何か光る一芸を使って、新卒で韓国企業に入ることもできるかもしれません。ただ、私のようにそのどちらもない場合には、日本である程度の経験を積んで日本市場の担当者として、企業に入る方が現実的かと思います。
なので、自分の現状と目指したいキャリアを考えた上で、新卒チケットをどこで使うかの判断になるのかなと思います。
これから韓国就職を考えている人へ
その先がどこの国であれ、日本で長く育った人が海外で就職することは容易なことではありません。韓国で就職することを目標とすることはとても素晴らしいと思いますが、キャリアにはどんな出会いがあるか分からないものなので、あまり長期プランにとらわれないことも重要なのではないかと感じます。
いわゆる「プランドハップンスタンス理論」ではありませんが、キャリアの多くは偶然でやってきて、それを捕まえることが重要なのだと思います。(私もいろんな素敵な偶然がこれから起こることを期待している所です。)ただ、「韓国に行きたい」という思いがあるのであれば、すぐ直接につながらなくとも常にその思いを声に出し続けることが大事だと思います。
念仏のように「韓国に行きたい」と周りの人に話し続けていると、ふとした瞬間にチャンスが巡ってくるかもしません。また実際に韓国に行くことになったときに、周りの人がもし応援してくれなくても「まぁ、ずっと言っていたもんね」と半ば諦めムードになってくれます!「明るい根回し」が重要です。
韓国で暮らすサラリーマンの生活豆知識
私は実は3年近く、今日本でも話題のソンス(聖水)エリアに住んでいます。私が引っ越してきたときはコロナの真っただ中でそんなに賑やかな街というイメージはなかったのですが、今では至る所から日本語が聞こえてきます。
(左)ソンスと言えばDior前、(右)日本にも進出したタンバリンズ
(左)リノベカフェは清澄白河を思い出します、(右)ソンス・ソウルの森エリアでやっていたロート製薬のポップアップ
そんな変化の著しいソンスの街は、ポップアップストアの聖地でもあります。街を歩いていると多くのポップアップストアを目にします。
写真のポップアップストアは私の通勤路で昨年行われていたものなのですが、LE SSERAFIMのホン・ウンチェさんがモデルだったのでてっきり韓国企業かと思いきや、ロート製薬のブランドでした。このように日系企業にとっても、百貨店だけではリーチできない若者層にリーチするために、ソンスでのポップアップストアを利用しているのだなと勉強になりました。
永井宏志郎(ながい・こうしろう)‐MakinaRocks 日本事業開発担当
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Twitter:https://twitter.com/KoshiroNagai
ブログ:https://www.koshiro-nagai.com/
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