「創業は命と代えたイベント、執拗に行く」|Startup's Story #469
【Startup's Story #469】「創業は命と代えたイベント、執拗に行く」
キム・ヨンウク ProxiHealthcare(プロキシヘルスケア)代表の人生劇場は平凡なものではない。蔚山(ウルサン)大学医科大学医芸科に通い、再び大学受験をし、ソウル大学工科大学電気工学部に入学して卒業し、米国メリーランド大学で修士課程を終えて工学者になった。
その後、サムスン電気、 Seegene(シーゼン)で研究員であり、チームを率いるリーダーとして、キャリアパスを続けるなか、大腸がんという壁に直面した。生死の分かれ道で選んだのは創業という挑戦だった。彼は「創業は命と代えたイベント」であり、「求める人生を生きるための選択」だったと話す。ProxiHealthcare本社でキム・ヨンウク代表に会った。
人生叙事詩は平凡ではない。医大に通っている中で工学部に転科し、海外で修士過程を終えた後、大企業とバイオベンチャーでキャリアを成功裏に築いた。大腸がん診断という腹病に直面したにも関わらず、休むのではなく、創業を決心した。どんな心境の変化があったのか。
創業はいつかやろうと決めてはいたものの、恐怖を感じる領域だった。試験のようなものは1、2回上手くいかなくても次があるが、創業にはそうはいかない不確実性がある。会社という枠の中で実力を積み重ねれば、後にその恐れから自由になるのではないかと漠然と考えていた。ところが、癌診断を受けて「It's about to die(死が近い)」という宣告を受けると、これまで愚かだったと感じ、恐怖も消えた。あとどのくらい人生を生きるのかは分からないが、後ろに隠れているのではなく、自分の仕事を始めなければならないという意思が固まった。その瞬間、引き金を引くことになった。
通常、体に異常がある場合は休憩を選択する。
性格だろうが、これまであまり楽に生きたことがない。私は日々、自分がしている仕事に付与される意味を重要に捉える人間である。だから熾烈に生きていた。何らかの問題が生じたら、徹夜で取り組んで、解決してこそ、両足を伸ばして寝られる。ともすれば自分でちょっと辛い方にいくスタイルだ。
病院に行く直前の自分の姿を振り返ってみると、午前6時に出勤して8時にチームをパートエリア順に呼び、30分間業務指示をし、9時から会議し、ランチを食べながらミーティングし、午後5時になって報告を受け取った。指示したことが時間通りに進んでいなければ、再び指示し、その後他の部署の人々と夕食を食べるという順だった。ある日は朝9時から午後5時まで電話を叩きつけながら、一日中怒っている私の姿があった。
病気と知った後、想い始めたのが「誰のために生きるか」だった。私が本当に欲しいもの、自分の仕事を始めるということもできていなかったと感じた。検査を受けて結果を待ちながら、自分の事業を行うと決めた。予想通りがん診断が出た後、早くやりたくてすぐに動いた。病院で事業計画書を書き始めたが、チームも率いていたし、毎日やっていた仕事を表してみると、すぐに仕上げることができた。殻を捨てて怖くとも自分の道を行かなければならないと判断し、スタートした。
創業は決心だけしたからといって叶うわけではない。創業準備期間が長くなかった。
会社は2019年に設立したが、準備しだしてからは長かった。アメリカで就職のチャンスを断って韓国に戻って会社生活をしたのも創業を念頭に置いていたためだ。ProxiHealthcareの技術の基盤である「電磁波を利用したバイオフィルム除去技術」は、博士課程で研究したものだ。しかし、創業は技術だけあれば良いものではないと感じた。人事、財務はもちろん、技術を適用して私が考えた商品で実装まできちんと行わなければならない。ただ机の前で論文だけ書いていても、上手くいくものではないと感じた。
それをきちんと行おうとすれば組織に入らなければならなかった。そのため選んだのが韓国内の大企業で、周辺業務ではなく、すぐに核心業務を行うことができたからだった。入社するやいなやチーム長としてフィリピン法人を引き受けて管理し、実際の開発提案書も書いて、発表もたくさんして経験を積んだ。誰かにさせられたというよりは、そういうことをやるところを探して勤めた。以降、Seegeneでは新しい事業を作る部署チーム長として勤務した。後に創業する時、絶対に役立つという考えで熱心に取り組んだ。
韓国の大企業での経験は創業にどのような影響を与えたか。
責任感を持って成果を出す方法、摩擦なく共同の目標に向かって率いていく経験は、組織管理のような部分でかなり役に立った。この世に一人でできることはない。特に工学分野の仕事はさらにそうだ。そこで合理的だと感じた経験をもとに、今の会社の制度も作成した。そうした経験なしに創業すれば試行錯誤が多かっただろう。
ハードウェア事業は初期からお金がたくさんかかる。初期資本金はどのように準備したのか?
がん保険金として受け取った7,500万ウォン(約750万円)が初期資本金だった。Seegeneの上司だった常務と医大の同期が私を信じてエンジェル投資をしてくれた。そして保証基金から開発費2億5千万ウォン(約2500万円)の貸出を受けて試作品を作った。幸いにも6億ウォン(約6000万円)のシード投資も誘致した。実は、創業初期はそこまでお金の心配をしなかった。 「どうにかなるだろう」という楽観のマインドだったし、計画通りに進んでいたため、創業も大したことないなという生意気な考えまでしていた。
しかし、製品の販売が始まるとすぐに、全く別の世界が開かれた。消費者コンプレインが発生し、在庫が生じ、それによってお金が縛られてしまう状況が発生した。それを補完するには、人を入れなければならないのに、私はよく精通していない分野のため、どういう人が能力者なのかもさっぱりわからなかった。私が働く方法が正しく、信頼できる人であれば、権限をすべて与えてしまうのだが、それを自信を持って行うのは難しかった。さらに人事管理をしなければならない状況も起きた。
プレシリーズA投資ラウンド時も難航だった。初期の売上が芳しくなかったからか、投資を約束したVCが決定を覆した。上手く行きかけていたディールが終盤で覆ったりもした。歯ブラシという言葉を聞くやいなやと首を振ったVC代表もいた。このままだと会社を畳まなければならない可能性があるという危機感が大きく近づいてきた。幸いなのは、LOTTE Accelerato、FuturePlay、AI Angelclubが投資を決定してくれたことだ。残高よりも多くの未払金があり、給与日をすぐそこに控えた切迫した状況だったため、今も記憶が鮮明だ。お金による切迫感を痛感した後、いつも危機意識を持ちながら生きている。今私の日々の日課の1つが会社の通帳の残高確認することだ (笑)。
資金調達、人事管理など様々な問題があったと思うが、創業後最も大変だった部分は何か。
会社代表としては人気がないだろうが、過去、組織で生活をする時、チームメンバーには少し人気のあるチーム長だった。チームメンバーに「なぜ仕事をしなければならないのか」を非常に詳しく説明し、動機づけをしようと努力した。私自身もいつも動機づけがなければ仕事ができないスタイルなので、その部分に執着していた。当時、会社に適応できないスタッフがうちのチームに送られてきたりしたが、みんな成果を出してスポットライトを受けたりもした。だからそれなりに人材育成に対して確信があった。そのため、他は知らずとも人はよく育てることができると自負していた。
ところがチーム長から会社代表になると、全く違う話が広げられた。1年前、紆余曲折の末にプレA投資をクロージングして危機を乗り越えたと思っていた瞬間、開発者5人が退社すると言った。初期から一緒にやってきた開発人材が辞めるというものだから、青天の霹靂だった。そして、会社の中を見回すと、職員の不満が見えた。
売上など数字と結果を気にしている私を、職員は変わったと感じていた。代表と職員は体感的な立場が異ならざるを得ない。スタートアップ代表はいつも危機状況で寝つけないが、職員たちにそれだけの切迫感を期待するのは無理がある。ある意味当然のことだ。彼らと別れる中で、自分の不足を感じ、反省もたくさんした。その時が、創業して最も大変だった瞬間だ。
人は教育によって為るのではなく、経験するまでは学べないのだと思う。私が過去にやっていた人材育成は小さな枠の中でだけで可能であって、創業での適用はまったく違うとやっと分かった。自信があると思っていた人事部分が食い違ってしまう中で、会社運営は難しいと感じた。そこで見つけた結論は、私よりもキャリアを積んだ人材を迎え入れ、中間の役割をするようにすることだった。以前まで、うちの会社は、代表一人で決定し処理する逆三角形構造だった。今はチーム長および役員が意思決定をする菱形の構造に変わっている。今後意思決定をする仕組みがさらに下に降りていく予定だ。
願わくば、1年前のように大変なことがもう起きなければいいと思う。私の長所の1つが、私が書いた本のタイトルのように「パーシスタント(persistent)」することだ。執拗に掘り下げて、一度は間違ったとしても二度の間違いはあまりしない(笑)。
歯ブラシを最初のアイテムとして選んだ。数多くの応用製品を作ることができるのに、なぜ250年の間変化が遅かった歯ブラシなのか。
私たちの技術は多様に応用できる。歯ブラシを考えたのは、消費者が簡単に体験できるようにするためだ。2016年に183万ウォン(約18.3万円)という呼び水を置き、早々に特許申請もした。
ProxiHealthcareは多数の特許を保持している。韓国だけでなく海外でも出願した。特許は会社にとってどういう意味があるのか。出願するときに注意することは?
特許を論文のように感じる人も多いが、私にとって特許はメールを書くのと同じだ。特許に詳しい人々もそう認識している。だからといって1つでできることはなく、重複的に進めなければならない。クオリティの高い特許が重要だともいわれるが、個人的な考えとしては絶対に量だ。特許が会社の核心価値であれば、電子メールのように書き続けなければならない。こちらの分野への進入障壁を高めるのだ。
大企業は、同じ方法でもアイデアを変える形で特許をうまく取得して、分け入ってくる。私たちは今創業してから2年半しか経っていないが、特許を84個も持っている。他の企業は技術をこじ開けられずにいるのだ。いくら進入障壁が粗末でも、特許を80個以上出しておけば、迷路を抜けるのは難しい。今年の年末までに300個の特許を出願する計画だ。
TIPを挙げるとするなら、特許は明確なものよりも曖昧な方が良いかもしれない。実例として、バイオフィルムのような微生物膜のための特別な電磁周波数は10メガヘルツである。しかし、特許に10メガヘルツと書くと隙がある。他の人が10.1メガヘルツと書けば特許を回避できるからだ。
だからそのヘルツ範囲を非常に大きく広げておく方が有利だ。特許を高次元的に考える必要はないが、弁理士は会社の技術分野に精通している人を選ばなければならない。例えば、わが社のTROMATZの技術はバイオテクノロジーのように見えるが、事は電子工学である。そのため電気工学を専攻した弁理士と話をすれば話もよく通じ、特許のポイントも沢山把握させてくれる。
製品がコピーされる可能性はまったくないのか?
あってもいい。ただ死に物狂いでこそ真似でもするだろう。実は私も簡単に考えてアプローチした側面がある。数千万ウォン(数百万円)の医療機器やスマートフォンのように華やかで複雑な製品を作った経験があったので、やってきたようにすれば良いと思った。
ところがいざやってみると歯ブラシは本当に難しかった。ブラッシング時に人がどれだけたくさん力を入れるだろうか?歯ブラシを数回しかしていないのに、歯ブラシの毛が横なったり、折れたりすることも多い。歯ブラシが折れたら口の中に傷がつき、私たちには大きな事故だ。そこで元々は製品試験評価項目ではなかったが、歯ブラシの強度、弾性度も全てチェックした。思ったより凄く難しい領域だ。
歯ブラシは人体と直接当たるものであるため、簡単に変えない。マーケティングなしで売上を上げた背景にはどのような要因があるのだろう?どのように消費者を説得したのか?
歯のことで悩む人々は思ったより多く、うちの製品を使えば効果があるということだ。実は、一般消費者がうちの製品をすぐに認識して使用するのは難しい。オフラインで販売されているところもなく、実物を見ることができないインターネット上にしかない製品である。だが誰かが使って周りの人におすすめする、枝に枝を打つロジックでゆっくりだが確実な方法で拡張してきた。
2020年9月にTROMATZ歯ブラシを市場に初めて披露した。最初消費者の反応はどうでしたか?
最初の製品は本当にコンプレインが多かったが、そのフィードバックに基づいて昨年9月に2つめの製品を発売し、さらに改善した製品を最近出した。多くのVOC(Voice of Customer)が反映された製品だが、完璧な製品になるようにリニューアルを続けていく。
序盤は浮き沈みがあったが売上が安定してきていると聞いた。製品も4万個も売れて。その間の成果を数字で言うと?
税金を含めて話すべきですか?(笑)序盤は月1千万ウォン(約100万円)も越えられなかったが、今は1億5千万ウォン(約1500万円)ほど記録中だ。過去17ヶ月間の累積売上は18億ウォン(約1.8億円)規模だ。米国アマゾンでも3万ドル(約382万円)を記録するなど善戦中だ。ここで重要なのはマーケティングを全くせずに出した数値だということだ。逆に解釈すれば製品を販売する会社に体系がなかったということだ。今後はマーケティングも行う計画で、昨年11月に職員を迎え入れた。もう少し良くなる見通しだ。
今年MWCにも参加した。パートナーシップのために訪れる企業もあったと聞いた。現場の反応はどうだった?
以前に海外学会で行われたイベントが参加していたが、何千ものブースの中で直接歯ブラシに言及するのはわが社を含めて3ヶ所しかなかった。歯ブラシには変化がないという認識が蔓延していることを感じた。人々の関心は大部分がインプラントや手術道具のようなものにあった。
絶対的な比較臨床、電動歯ブラシよりどれほど良いのか、価格がどれくらい低いのか、消費者たちのレビューはどのくらいか、歯科医がどれくらい好きなのかなど、やや枠にはまったアプローチだったため苦しい側面があった。MWCに参加した理由がここにある。バイオ、ITなどの分野で仕事をしてみて体感したことだが、IT業界ほどオープンマインドな領域はない。また、協業に対するコラボレーション文化もとてもよくなっている。そこでVR会社をはじめ、いくつかのスタートアップが連絡をしてくれた。今、互いにコミュニケーションしながらどのように協業するかを議論している。
ニュージャージーに現地法人を設立した。昨年、D.CAMP D.DAY(ディーキャンプ ディーデー)で3年以内に企業公開(IPO)を行うという計画を明らかにしたが、NASDAQを念頭に置くのか。フリップ(flip)の可能性もある?
私が韓国人だから絶対に韓国で上場をしなければならないとは思わない。もしうちの製品が大当たりする国があるなら、その国に行ってやる。人の命を生かす技術ならどこでもやっても良いのだが、うちの製品は少し余裕がある人々にアピールするのにより適した製品である。そのため開発途上国より先進国で、お金を使う集団に訴求される側面がある。今ソウルでうちの歯ブラシを最も多く買う地域は江南(カンナム)3区だ。
データを見ると4つずつ購入する消費者もいるのだが、40万ウォン(約4万円)も出して購入するのは誰にでもできることではない。アメリカは歯ブラシやオーラルケア業界で最大の市場であり、私たちはビッグフィッシュを握らなければならないという考えでアメリカのことを考え続けていた。アメリカ側の売上がよりよく出れば本社を移転することもできるだろう。たった1つの正解はない。状況に合わせて最適化された道を探そうとしている。
アメリカ現地で披露するのはペット用歯ブラシだ。
韓国での経験をかみ砕いてみると、人用歯ブラシで事業をするのは非常に難しい。伝統的な電動歯ブラシ企業の本拠地であるアメリカでは、当社は認知度がほとんどない。だから選んだ戦略がペット歯ブラシで市場を開拓することだった。韓国でもペット用歯ブラシを販売してみたが、清潭洞(チョンダムドン)の動物病院でのみ消費が発生した。飼料は必ず買わなければならないが、歯ブラシはなくとも、ただ人用の歯ブラシで磨けば大きく無理はないと考える。
アメリカの店舗に行ってみると、一般の歯ブラシも30ドル(約3830円)ほどする。そして犬に1,000ドル(約12万円)のスケーリングを多く行う。対面インタビューを行ってみると、稼いでいても、スケーリングにそれだけ払うのは負担になるため、他の代替案があれば嬉しいと答えた。それで、この部分を私たちが掘り下げればよいという判断をした。電動歯ブラシは動物には使用できまないが、私たちの歯ブラシは動物に適用可能だ。アメリカでペットの歯ブラシでブームを起こせば、後に韓国でも適用が可能になると感じる。
医療展示会でよく聞かれた質問だと思うが、臨床結果はどうだったか。
韓国では有名大学病院で臨床をすれば通じるが、アメリカでは通じない。それで、ワールドトップ大学歯科病院で臨床をしようと考えている。そのために法人を設立した側面もある。ペット用歯ブラシは昨年動物非臨床専門会社でテストを行った。
レポートを見ると、犬の口臭は大きく減り、1週間で歯石も除去されることが分かった。併せて現在市場にあるレビューを見ると、確かに効果は良い。動物用の方はもう少し臨床をしようと考えている。ただし、人の臨床のように病院で行うのではなく、100匹以上の犬を訓練させる場所とMOUを結んで進める計画だ。訓練時に歯を磨くようにし、その分析を獣医師に任せる方式になるだろう。
今後、肌の美容管理製品のローンチも計画していると聞いた。船舶にTROMATZ波技術を接木させるプロジェクトも進行する予定だ。
化粧を振動超音波で拭き取る振動超音波クレンザーがあるのだが、振動を抜いてTROMATZ技術を入れる形で開発中だ。また、政府課題となっている船舶に貼るフィルムを開発している。船底面にフィルムを貼り、フジツボが付着するのを根本的に防ぐものだ。今年第4四半期の頃に鼻炎治療器も発売する計画だ。 私たちがこれをする理由は、単純に歯ブラシを作る会社ではないというイメージを与えるためだ。歯ブラシは良いプラットフォームではあるが、それだけでは不足していると感じる。領域を拡張していき、リファレンスを積んでいくと歯ブラシに対する価値も上がるはずだ。
最近80億ウォン(約8億円)規模シリーズAラウンド投資誘致を確定した。感想を教えてほしい。
今年の会社の売上目標は240億ウォン(約24億円)だ。昨年水準くらいだったら、これほどの投資を受けなくても良い。自分たちの事業に対する自信もあり、そのビジョンを投資家たちが信じてくれたため投資が進められた。韓国では人用歯ブラシでブームを起こし、ペット用歯ブラシでアメリカで挑戦する。その次に、鼻炎治療器として次の成長モデルを確保するのだ。そして多くの臨床研究を通じて、船舶と自動車方面で確実なデータを得ようと考えている。絶体絶命の気持ちで臨む勝負どころに来ている。
VC資金が豊富であっても、すべてのスタートアップが投資を受けるわけではない。投資誘致に苦しむ初期スタートアップに助言してあげるなら?
投資を受けるのを結婚で例えることがある。運命の人に出会うためには、会い続けてみなければならない。私もこれまでVCに約70カ所以上に会ったが、8:1の割合で拒絶された。 「歯ブラシには絶対投資しない」という人もいたが、「現在の製品には十分に可能性がある」と確信する人もいた。縁に巡り合うためにはずっとアプローチし続けなければならない。だから諦めないことが重要だ。ただし、可能性を見て投資する冒険資本がますます減っていくのは残念だ。誰が見ても良いチーム、良いアイテムだけ探す傾向がVCになくはない。
キム代表にとって創業はどういうものだったか?
創業は命と代えたイベントだ。大腸がんにかかり、がん診断金7千5百万ウォン(約750万円)を貰え、そのお金で退院してすぐに会社を建てることができた。創業は私にとって宿命であり、命と代えたもう1つの命である。命と代えた宿命なため、仕事は自然に受け入れられた。大変だが諦めるべきだと思ったことは一度もない。切実だからだ。絶体絶命の危機もあったが、なんとかプランBは作っておいた。今でもマイナス通帳を開いておき、クレジットスコアもちょっと上げて管理している(笑)。
今の仕事ではなく挑戦したい分野はないのか?
私の欠点は少し散漫なところだ (笑)。歯ブラシが今私にとって一番重要なのは自明の事実である。だが、心の中で一味違うことをしてみたいと思う事も多い。そのため、後に会社が成長して安定期に入ったら、研究をしたいという気持ちがある。その研究で可能性が発見できれば事業になることもあるだろう。おそらく生涯発明家を夢見ていると思う。
最後に、伝えたい言葉や提案があれば。
創業者が尊重される社会になってほしい。創業者は人生をかけて何かを試みるが、非難よりは応援する雰囲気になってほしい。社会が大きく変わりはしたが、依然として冷酷な視線がある。堂々とした創業者は多いが、何度も傷つけられれば傷は開く。胸に傷を負った状況は、誰かが共感してくれるだけでも、大きく解決されるだろう。
写真:キム・ヨンウクProxiHealthcare代表ⓒPlatum
Platum is a media service that specializes in startups, and its motto is "Startup's story platform".
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