韓国スタートアップ投資誘致動向レポート:2022年4月
この記事は、韓国のスタートアップメディア「startuprecipe(스타트업 레시피)」が発行する「月間スタートアップレシピ(월간 스타트업 레시피)」の情報をもとに、資金調達状況や動向を掲載し、企業情報を紹介しています。
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2022年4月:韓国スタートアップ企業投資概要
スタートアップ投資市場鈍化 総投資金、件数とも前月比減
今年はじめ、活発に始まったスタートアップ投資市場だが、4月になり鈍化している。下落の流れのまま第1四半期を終えたスタートアップ投資は4月も減少し、総投資金は3月よりさらに少ない8,811億ウォン(約887億5,200万円)だった。これは過去5ヶ月で最も少ない調達金額だ。投資件数も116件で、3月比減となった。今年に入って投資実績は右肩下がりだが、2021年同期比では400億ウォン(約40億2,900万円)の投資増で、2020年同期比では275%以上増加しており、投資環境が大きく悪化した様子は見られない。
musicow、FASSTOに勢い
4月に最も多くの資金を確保したのは音楽著作権共有スタートアップのmusicow(ミュージッカウ)だ。STIC Investment(スティックインベストメント)のPEF(私募ファンド)から1,000億ウォン(約100億4,000万円)の資金を受けた。musicowに次ぎ資金を確保したのは物流企業のFASSTO(ファスト)だ。800億ウォン(約80億4,600万円)を確保、これは、在庫の保管や商品の発送などといった「フルフィルメント」の専門スタートアップの中で最も多い。
初期スタートアップへの投資活発
全体の投資金は減ったが、シードやプレシリーズAなど、初期スタートアップに40%以上の投資が行われ、初期段階は依然として勢いが活発だ。一方、1,000億ウォン(約10億2,600万円)以上の投資を誘致した企業は、毎月3社以上出ていた第1四半期と比較すると4月は1社にとどまり、成長段階への投資は低迷している。
ヨギオッテカンパニーがユニコーン企業に
4月にはユニコーン企業1社が誕生した。旅行・余暇プラットフォームを手がけるヨギオッテカンパニーが500億ウォン(約50億円)を確保し、1兆2,000億ウォン(約1,204億2,800万円)の企業価値を認められ、2019年に私募ファンドに買収されてから3年でユニコーン企業に上り詰めた。
買収合併は7件
買収合併は7件だった。スタートアップが同業のスタートアップを買収するケースがほとんどを占め、大企業によるスタートアップの買収はなかった。
女性企業への投資金流入額、今年最多
18社の女性企業が1,257億ウォン(約125億9,300万円)の資金を集め、今年に入って最も多くの投資金が女性企業に流れ込んだ。
分野別投資分析
- フィンテック分野への投資、依然活発
- 教育分野への投資も目立つ
- Web3.0への関心の高まりで、ブロックチェーンスタートアップに投資増
フィンテック分野は第1四半期に続き、4月も勢いが見られた。この市場で新たに浮上した、高価な資産を何人かの投資家が持ち分を分け合って投資する方式の投資プラットフォームが1,000億ウォン(約100億2,500万円)を誘致し、フィンテック全体の投資金を引き上げた。
その他、資産管理へのデジタル転換を図る金融プラットフォームが依然として投資家の関心を引きつけた。また、4月は教育分野への投資も目立った。オンラインベースのエドテック企業が300億ウォン(約30億円)以上の投資誘致に成功した。ブロックチェーンも投資件数、投資誘致金ともに増加した。Web3.0(ブロックチェーン技術を用いた分散型インターネット)に対する世界的な関心とともに、ブロックチェーンスタートアップへの投資が増加している。
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