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韓国のリーガルテック市場とスタートアップPart3|リーガルテック徹底分析

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現在、韓国のリーガルテック企業は判例・法令・記事検索から、法律文書の自動作成、法律文書の翻訳まで各種法律サービスを提供しています。依頼者が自分に合った弁護士を探すことや法律文書の作成でサポートを受けることはもちろん、弁護士が法律文書を作成したり諮問したりするなど、法律サービス関連のあらゆる面にリーガルテックが導入されています。

韓国の法律サービス市場にも、約30社のリーガルテックスタートアップや企業が出現しています。そこで、韓国で有名なリーガルテック・スタートアップ企業である、弁護士・司法書士などの専門家紹介及び見積比較サービスを提供する「ロートーク(LawTalk)」と、判例・法令・法律文書などの検索サービスを提供する「エルボックス(LBox)」の2社を紹介します。


私にぴったりの弁護士をマッチングしてくれる「ロートーク(LawTalk)」

「ロー·アンド·カンパニー(Law&Company)」が2014年に発売した弁護士マッチング・プラットフォーム「ロートーク(LawTalk)」は、依頼者がキーワードを検索し、その分野の専門弁護士やその弁護士のキャリアを確認した後、自分に適した弁護士を探すことができるサービスです。法律問題は一度判決が下されると、取り返しのつかない問題になるかも知れないため、依頼者は自分の問題について一緒に悩み、解決してくれる弁護士の選択に慎重にならざるを得ません。 しかし、韓国では、法律サービス市場の情報非対称のため、依頼人に提供される弁護士に関する情報は非常に不足している状況でした。 ロートークは、このような法律サービス市場の情報非対称を解消するために作られた弁護士仲介プラットフォームです。 ロートークは相談と事件一件あたりの価格を策定する仲介手数料の形ではなく、弁護士からの広告収入を徴収するモデルで運営されています。 弁護士は無料でロートークに登録ができますが、弁護士検索での上位表示を希望する弁護士は、約100万ウォン(約10万円)の広告費用を払っています。 


ロートークのメインサービスは、上で説明したようなBtoC(弁護士とユーザー)仲介サービスですが、ロートークは最近、BtoB仲介サービスも開始しました。 

B2B仲介サービスは、企業と法律事務所とをつなぐもので、 

  1. 企業が問題の状況に関する問い合わせを含む提案要請書を登録
  2. 法律事務所がその提案要請書を閲覧したのち、企業に提案書を送付
  3. 企業が提案書を閲覧して法律事務所を最終的に選択

という流れで行われます。


公開方式により運営されるBtoC仲介サービスと異なり、BtoB仲介サービスは、企業の匿名処理、会員同士の提案書の閲覧不可、法律事務所の範囲設定可能など、徹底的に非公開方式で運営され、営業機密に敏感な企業のニーズを捉えて提供するサービスです。

ロー·アンド·カンパニーは、2017年に数億ウォン規模のシリーズA投資を誘致し、さらに、2019年には140億ウォン(約14億円)規模のシリーズB投資の誘致に成功しました。 国内法律関連のスタートアップ企業にこれほど大きな金額が投資されたのは初めてのことで、ロートークに対するこのような投資をきっかけに、韓国のリーガルテック産業にも本格的な投資が期待されます。

リーガルテック業界の関係者によると、シリーズBの投資には計10社の投資会社が最低10億ウォン(約1億円)以上を投資したといいます。 


以下のシリーズA投資をした5社が再投資を行いました。

  • 「クーリッジ・コーナー・インベストメント(Coolidge Corner Investment)」
  • 「DSCインベストメント(DSC Investment)」
  • 「DAEKYOインベストメント(DAEKYO Investment)」
  • 「スプリング・キャンプ(Spring Camp)」
  • 「D3ジュビリー・パートナーズ(D3 Jubillee Partners)」


そして、以下が新規投資会社として合流しました。

  • 「プレミアパートナーズ (Premier Partners)」
  • 「スマイル・ゲート・インベストメント(Smile Gate Investment)」
  • 「DS資産運用(DS Asset Management)」
  • 「新韓代替投資運用(Shinhan Alternative Investment Management)」
  • 「ジーアンドテックベンチャー(GN Gech Venture Capital)」

2019年には、ユーザーと弁護士との累積相談件数は約20万件、月平均では約8000件に達し、2年前に比べて4倍以上に拡大しました。また、直近のデータによると、現在ロートークに加入している弁護士の数は約3900人、累積相談数は39万件、そしてロートークのウェブサイトを訪問する総訪問者数は約1600万人であることから、ロートークは韓国を代表する弁護士仲介サービスとして定着していると言えます。

ロー·アンド·カンパニーのキム代表は「法律消費者の弁護士に対する接近性を高め、市場の敷居を低くして法律市場全体の規模を拡大する一助にしたい」と語っています。そして、「最新の人工知能技術と新しいアイデアを融合させ、次の世代のリーガルテックを披露する計画です」と強調しました。


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/media/安基盛(アン・ギソン)
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安基盛(アン・ギソン)

安基盛(アン・ギソン) 慶應義塾大学 経済学部 経済学科 少し面白い話を共有しようと思います。ある本で読みましたが、過去1万年の期間のうち9900年間の科学的進化速度が10だとすれば、1946年に最初のコンピューターができてから2000年までの進化速度はなんと100だそうです。 そして、2000年から2010年までの進化速度は4,000、その後の10年の進化速度は6,000、そして2030年までの進化速度は78,000以上になると専門家は述べています。 今後10年の世界では、我々は想像すらできないことが現実されるかもしれません。ますますデジタル化するこの世の中で、みんながエンジニアになる必要はなくても、少しでもI T技術の勉強に振れることは重要じゃないかなと思いました。 そこで、私の記事を通じて読者の皆さんに少しでもITの世の中に関心を持っていただけたら本当に幸いです。

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